
ロボット掃除機でおなじみ「Roomba(ルンバ)」から低価格シリーズが登場。2022年にもシンプル機能のエントリーモデル「Roomba i2」がリリースされて話題になったが、今回は吸引に加えて水拭きもできる新モデルを3万9300円と、よりお値打ちな価格で発売している。その実力は? 家電ライターの田中真紀子さんに解説してもらった。
今後は「一家に一台の掃除ロボット」を
4月19日、Roombaから低価格シリーズが新たに発売された。2年前に出た「Roombai2」(3万9800円)よりさらに低い金額で水拭きまでできるモデルも発売され、注目を集めている。

一台で吸引も水拭きもしてくれるモデルが3万円台で登場
「アイロボットは以前から、ロボット掃除機を一家に一台普及させたいという目標を掲げてきました。ただ、業界全体では高機能・高価格化が進み、ハイエンドモデルは20万円前後まで上がっています。そのため欲しくても手がでないという声もあったこと、既存のエントリーモデルである3万9800円の『Roombai2』がとても好評であることから、より間口を広げ、水拭き機能も備えつつ3万9300円を実現した『Roomba Combo Essential robot』(ルンバコンボ エッセンシャルロボット)』を発売したのです」(田中さん・以下同)
同等モデルの約半額で、クリーンベース水拭き機能もついたルンバが買える
同時に、高価格帯のモデルも発売されている。

「プレミアムモデルとして発売されたのは、『Roomba Combo j5+』(10万8700円)と『Roomba Combo i5+』(7万9000円)など。いずれもクリーンベースと水拭き機能付きですが、特に『Roomba Combo j5+』はスーパープレミアムモデルに位置付けられる『Roomba Combo j9+ SD 』(16万9800円)に近い機能を備えつつ、一部機能を省くことで、半額近くに抑えています」
クリーンベースとは、ダスト容器に溜まったゴミを、自動で吸い上げてくれる機能。自分でダスト容器を開けてゴミを捨てる手間が省けるとともに、ゴミを捨てる際に花粉やホコリが舞い上がってしまう事態を防ぐことができ、家事の時短面でも衛生面でも効率的だ。ルンバでは、機種名の末尾に「+」がつくモデルが、標準オプションとしてクリーンベースがついている。
なお、機種名に「Combo」とついていたら、吸引と水拭き、両方の機能が搭載されていることを表す。
アイロボットは今後も新モデルを次々発売予定
気になるのが、ルンバの今後の展開。

「アイロボットは、『Roomba Combo i5+』や『Roomba Combo j5+』の登場により、今後は徐々に入れ替えながら6つのモデルで展開予定と発表しています。たとえば下は、エントリーモデルの『Roomba Combo Essential robot』の3万9300円、上はスーパープレミアムモデルの『Roomba Combo j9+』が19万9800円という幅広いラインナップになっているので、要注目です」

注目の新モデル2機種について、従来モデルとの比較やおすすめしたい人を、田中さんに教えてもらった。
吸引と水拭きの一台二役『Roomba Combo Essential robot』

「『Roomba Combo Essential robot』の類似モデルというと、同価格帯の『Roomba i2』と比較することになると思いますが、大きく異なるのは水拭き機能が搭載されたこと。掃除機がけと同時に、水拭きも行えるようになりました。また『Roomba i2』は、床に密着するゴム製のデュアルアクションブラシを搭載しているのに対し、『Essential robot』は毛とゴムを採用したV字型シングルアクションブラシを採用。シングルブラシになったものの、掃除力に関しては『i2』と同等以上とのことです」
価格を抑えた分、削ぎ落した機能もある。
「『Roomba Combo Essential robot』は、ダスト容器にモップパッドを取り付けると自動的に掃除機がけと水拭きを行ってくれます。ただ、床の素材を見分けることができないので、低いラグなら乗り上げてしまいます。そのため水拭きする場合は、ラグを片づけておくなどの事前準備が必要なのは少し面倒に感じるもしれません」
『Roomba Combo Essential robot』は忙しくても部屋をきれいにキープしたい人に
おすすめなのは、こういう人。
「あまり広くない家で、新社会人や新婚さんなど、新生活を始めるにあたってロボット掃除機を検討している人におすすめです。掃除する部屋の指定はできませんが、3~4部屋掃除ができますし、水拭きも同時にできるので忙しい人でも部屋をきれいにキープできます」
障害物を避けて掃除する『Roomba Combo j5+』

新モデルの『Roomba Combo j5+』に近い従来品は、『Roomba Combo j9+ SD 』。
「『Roomba Combo j5+』は、『Roomba Combo j9+ SD 』よりは吸引力が2分の1になる計算ですが、決して弱くはなく、日常の掃除には十分。間取りを記憶したり、障害物を避けたりと、賢く掃除してくれます。
ただしこちらも、水拭きの際にはダスト容器を付け替える必要があります。また、同社から出ている床拭きロボット『Braava』シリーズにあるようなゴシゴシ拭き掃除する『スマートスクラブ』機能や、汚れた場所を最初に清掃するといった細かい機能もありません。そうした機能を求めるなら、『Braava』などを使う方がよいでしょう」
『Roomba Combo j5+』はファミリー世帯にもおすすめ
「『Roomba Combo j5+』は、ファミリー世帯で活躍してくれる機能を備えています。障害物を避けてくれるので、掃除前に床のものを片付ける必要がないのはラクですね。また、掃除する部屋の指定もできるので、『今日はリビングキッチンだけ』など、自分の判断で掃除ができます。拭き掃除禁止エリアを設定できるので、水拭きの際にラグに乗り上げてしまう心配もありません。事前準備を省きたい人にもおすすめです」
田中さんは、「以上2機種とも、コードレス掃除機などとの併用」を推奨している。
「普段の掃除はルンバにお任せして、気になるゴミだけコードレス掃除機で掃除するとよいでしょう。また、水拭きしたモップを洗うのが面倒な人は、使い捨てのシートで水拭きができる『Braava』を使った方がいいかもしれません」
間取りや障害物の有無、水拭き機能に求めるレベルなどを考えたうえで、賢く選びたい。
◆教えてくれたのは:家電ライター・田中真紀子さん

白物家電や美容家電を中心に家電に詳しいライター。雑誌やウェブなど多数のメディアで、新製品などをレビューしている。https://makiko-beautifullife.com
取材・文/桜田容子
●ブーム継続中の「低温調理」、食中毒のリスクと家電製品を使うメリットを家電ライターが解説