
食塩の摂取量の目安は「1日あたり、女性6.5g、男性7.5g」。だが実際には多くの人が毎日10g以上の塩分を摂っているという。摂りすぎた塩は水分と一緒に体にたまり、さらには脂肪まで増やす。余分な塩分を出し切れば、超短期間で体がスッキリ!?
体にたまった塩が脂肪を増やす
筋トレにジョギング、糖質・脂質制限、「○○を食べるだけ」……あらゆるダイエットを試しても効果が出ず、気づけば夏本番。だが、「やっぱり今年も間に合わなかった……」と、諦めるのは早い。夏が終わるまでにスリムな体形が手に入る“爆速ダイエット”の最短ルートは、糖質でも脂質でもなく「塩」を抜くことにあるという。
人間の体は塩分濃度を0.9%程度に保つ必要があるため、塩分を摂りすぎると体内に水分をためることで濃度を調節するようになっている。すなわち、塩分の過剰摂取はむくみに直結するということ。
一説では、10gの塩分を摂取するだけで、1L近い水分を体にため込むともいわれているほどだ。さらに最新の研究では、過剰な塩分は体に水分だけでなく脂肪もため込むことがわかった。内科医の工藤孝文さんが解説する。
「人間の体は、血中の塩分濃度が上がると、脱水などの“命の危険”が迫っていると判断し『サバイバル・スイッチ』がONになる。すると、生命維持のために体に脂肪を蓄えようとすることが、近年の研究で明らかになったのです」
現代日本人の塩分摂取量は1日約10g。他国と比較しても平均を大きく上回る大量の塩分を摂取し続けることによって、運動やカロリー制限をしても一向にやせられない体になっている可能性がある。
しかし裏を返せば、その塩を抜くだけで余計な水分が排出され、脂肪をため込みにくいスリムな体がつくられるということだ。
パンが欲しければパンケーキを食べればいい
料理家の庄司いずみさんは、体の塩分濃度を下げるには、普段の食事を見直すことから始めてほしいと話す。
「漬けものなど塩分が多い食品や、しょうゆ、みそ、めんつゆ、ドレッシング、ケチャップなどの調味料は避けましょう。また肉や生魚など、食材そのものに塩分が含まれているものは控えめに。パンは意外と塩分量が多いので、主食は米やパスタを中心にし、パンが食べたいときは食塩を使わないパンケーキを焼くといいでしょう」
減塩メニューを心がけつつ、すでに体にたまっている塩分を出すことも意識しよう。
「1日の塩分摂取量を厚生労働省が定める6・5g以下に近づけ、その上で塩分と水分の排出を促すカリウムを積極的に摂って」(庄司さん・以下同)
カリウムは野菜のほかきのこ類、海藻類などに豊富に含まれている。ただし乾燥わかめなどは塩蔵のものからつくられることが多いため、注意が必要だ。

「香りづけに重宝するのりも、味つけのりではなく無塩の焼きのりや青のりを使いましょう。物足りなさは、だしや酢、レモン果汁のほか、オリーブオイルやごま油、ココナッツオイルなど、旨みと酸味、香りでカバー。トマトなどのグルタミン酸の多い野菜もおすすめです。
酸味ばかりで物足りなくなったら、『甘み』を加えてみてください。実は、調味料の中でもスイートチリソースは『塩抜き』向き。スイートチリソースのように甘みと酸味を掛け合わせると“味覚のマジック”が起こり、不思議と塩味を感じられますよ」
90分に1回 200ml×10回で無理なく水分補給
塩分と水分をため込まないためには、庄司さんが言うように、何より塩分摂取量を抑えること。しかし味気ない減塩調理ではストレスがたまり、習慣になりにくい。だからこそ、短期間で余分な塩分と水分を出し切る『塩抜き』が効果を発揮する。庄司さんが提案するのが、「2日間の塩抜きレシピ」だ。
体にたまった余分な水分と塩分が排出され、1日1㎏、合計2㎏はやせられる場合が多い。中には最大で3.9㎏の減量に成功した人もいるという。
ただし、連続で塩抜きをするのは2日まで。大量の塩分と水分が排出されるので、長期間行うと熱中症のリスクが高まる恐れがあるためだ。
また、塩抜きを実践する際はしっかり水分補給することが鉄則。
「水分補給には、ミネラルが豊富な麦茶がおすすめです。熱中症になってからでは胃腸の働きが低下しており、体が水分を受けつけません。外出前など、暑さを感じたり汗をかいたりする前にたっぷり麦茶を飲むようにしてください。
もし頭痛や吐き気など熱中症の前兆が現れたら、塩抜きは迷わず中止して、経口補水液を飲みましょう。スポーツドリンクでも悪くありませんが、塩分よりも糖分の方が多いので、熱中症になりかけているときは経口補水液の方がおすすめです」(工藤さん・以下同)
工藤さんがおすすめするのは、90分に1回、200mlの水を飲む方法だ。
「1日10回に分けて2リットルの水を無理なく飲むことができます。2日間の塩抜きを終えた後も、塩分摂取量を6g以内に抑えた減塩食なら長期間続けても問題ありません。1、2週間ほど続ければ、脂肪の減少も期待できるでしょう」
エアコンのきいた涼しい部屋で過ごす週末は、お盆休みに向けた“駆け込みダイエット”の日にしてみては?
2日間のダイエットレシピを紹介する。
ダイエットレシピ1日目
【朝食】
●フルーツとヨーグルトの豆乳パンケーキ

《材料》
[生地]
薄力粉…65g ベーキングパウダー…小さじ2/3 きび糖またはてんさい糖…大さじ1・1/3 無調整豆乳…100ml 油…適量
[トッピング]
キウイフルーツ…1個(食べやすい大きさに切る) ぶどう(皮ごと食べられるもの)…7〜8粒(半分に切る) 無糖ヨーグルト…100ml お好みでジャムやメープルシロップなど…適量
《作り方》
【1】薄力粉、ベーキングパウダー、きび糖をボウルに入れて泡立て器で混ぜ、そこに豆乳を入れてざっくり混ぜる。
【2】熱したフライパンに油をひき、【1】を半量流し込んで両面焼き、皿に盛りつける。残り半分も同様に両面焼いて盛りつける。
【3】【2】にヨーグルトとフルーツをトッピングし、お好みでジャムやメープルシロップを添える。
【昼食】
●塩抜きカレーチャーハン

《材料》
油…適量 にんにく…10g(みじん切り) 【A】[ にんじん・玉ねぎ・ピーマン…各15g(みじん切り) 冷凍コーン…20g 切り干し大根…7g(洗ってみじん切り) カレー粉・レモン果汁…各小さじ1 ご飯…150g
《作り方》
【1】油を熱してにんにくを炒め、香りが立ったら【A】を炒め合わせる。
【2】野菜がしんなりしたらカレー粉とレモン果汁を加え、ご飯を混ぜ込んで火を止める。
●キャベツの甘酢漬け(2人分)
《材料》
キャベツ…100g(ざく切り) てんさい糖またはきび糖…小さじ2 酢…大さじ2 【A】[鷹の爪…1本(小口切り) にんにく…10g(みじん切り) ごま油…大さじ1]
《作り方》
【1】キャベツとてんさい糖をポリ袋に入れてなじませ、10分おく。
【2】【1】を絞って水分を捨て、酢と【A】を混ぜる。 ※冷蔵庫で約5日ほど保存可能
【夕食】
●長いもときのこのお好み焼き風

《材料》
長いも…100g(千切り) 片栗粉…大さじ1〜適量 えのきたけ…50g(ざく切り) 【A】[トマトペースト…大さじ2 レモン果汁…大さじ1 メープルシロップ…小さじ1] 青のり…適量
《作り方》
【1】 長いもとえのきたけ、片栗粉を混ぜ、油を熱したフライパンに流し込んで両面焼く。※まとまりにくい場合は片栗粉を少しずつ増やして調節する。
【2】皿に【1】を盛って混ぜた【A】をかけ、青のりをふる。
●ブルーベリーマヨネーズ風
《材料》
[マヨネーズ風ソース]
木綿豆腐…120g 冷凍ブルーベリー…20g 米油…大さじ3 酢…大さじ2 きび糖またはてんさい糖…小さじ1
[サラダ]
ベビーリーフ…適量 赤玉ねぎ…1/4個(うす切りにして水にさらす) ミニトマト…5個(へたを取って半分に切る)
《作り方》
【1】マヨネーズ風ソースの材料をすべてフードプロセッサーでペースト状にする。
【2】野菜を盛り、【1】をかける。
ダイエットレシピ2日目
【朝食】
●納豆ボウルオニオンソース

《材料》
ご飯…150g 納豆…1パック サニーレタス…1枚(ちぎる) ミニトマト…3個(半分に切る) ブロッコリースプラウト…1/2パック 【A】[市販のオニオンソテー…20g メープルシロップ…小さじ1 酢・ごま油…各15g]
《作り方》
【1】どんぶりにご飯を盛る。
【2】納豆を混ぜ、野菜とともに【1】にのせる。
【3】混ぜた【A】のソースをかける。
【昼食】
●トマトソースのスパゲッティ

《材料》
【A】[ カットトマト缶…200g(1/2缶) 玉ねぎ…30g(みじん切り) にんにく…5g(みじん切り) オリーブオイル…小さじ1] スパゲッティ…90g
【B】[オリーブオイル・バルサミコ酢…各小さじ1]
《作り方》
【1】【A】を鍋に入れて中火にかけ、沸騰したら弱火にし、時々かき混ぜながら半量になるくらいまで煮詰める。
【2】スパゲッティをゆでる。※ゆで湯に塩は加えない。袋の指示通りゆでたらざるにあげ、【B】を絡める。
【3】【2】と【1】を合わせて盛りつける。
●キウイドレッシングのサラダ
《材料》
[キウイドレッシング]
キウイフルーツ…1/2個(みじん切り) メープルシロップ・レモン果汁…各大さじ1
[サラダ]
レタス…1枚(洗ってちぎる) かいわれ大根…1/4パック(根元を落として洗う) 赤玉ねぎ…1/4個(うす切りにして水にさらす) 赤・黄パプリカ…各1/6個(うす切り)
《作り方》
【1】【A】を混ぜ、5分おいて味をなじませる。
【2】野菜を盛りつけて【1】をかける。
【夕食】
●エリンギのフリットとスイートチリソース添え

《材料》
エリンギ…100g(一口大に切る) 小麦粉…大さじ3 炭酸水…大さじ3・1/2 ガーリックパウダー・揚げ油…各適量 クレソン…1束(洗ってざく切り) 【A】[レモン果汁…大さじ1 にんにく…小さじ1/4(すりおろす) メープルシロップ…大さじ1/2]
《作り方》
【1】小麦粉とガーリックパウダー、炭酸水を混ぜたものにエリンギをくぐらせる。
【2】熱した油で【1】を揚げる。
【3】皿にブロッコリーライスを盛った上に②とクレソンを盛り、混ぜた【A】のスイートチリソースをかける。
●野菜の塩抜きスープ
《材料》
キャベツ…30g(千切り) にんにく…5g(みじん切り) オリーブオイル…適量 切り干し大根…5g(洗ってざく切り) トマト…50g(角切り) 水…200㎖ 酢…小さじ1 パセリ…適量(みじん切り)
《作り方》
【1】鍋にオリーブオイルを熱し、キャベツとにんにくを2分ほど炒める。
【2】切り干し大根、トマト、水、酢を加え、沸騰したら中火で3~4分、キャベツがくたっとなるまで煮込む。
【3】器に盛り、パセリを散らす。
●ブロッコリーライス(4人分)
《材料》
ブロッコリー…小1株(洗って茎の硬い部分は切り落とす) 米…2合 オリーブオイル…小さじ2
《作り方》
【1】洗った米を炊飯器に入れ、2合の目盛りまで水を入れる。
【2】【1】にオリーブオイルを加えた上にブロッコリーをかたまりのままのせて炊く。
【3】炊き上がったら軟らかくなったブロッコリーを崩して混ぜ込む。
※記載のないレシピの材料はすべて1人分
イラスト/いばさえみ
※女性セブン2024年8月8・15日号