スキンケア

《日焼け肌にやってはいけない洗顔とケア》「お湯で洗顔」「美容液をたっぷり塗る」など“いつもお手入れ”が肌の老化を早めることに

日焼け肌にやってはいけない洗顔とケア
日焼け肌にやってはいけない洗顔とケアとは?(写真/PIXTA)
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朝晩に秋の気配がただよい始めたものの、昼間はまだまだ強烈な日差しが降り注ぎ、少し歩くだけで私たちの肌は強い紫外線にさらされて日々ダメージを受けている。そんな弱った肌を修復するには正しい知識が必要だ。

肌の老化の8割が紫外線による“光老化”

「昔は海やプールに行くときだけ塗っていた日焼け止めですが、いまは塗らない日はない。365日、毎日塗っています。それでも、シミやしわは増えるばかり。この間はちょっと暑さが和らいだかなと油断して、軽めの日焼け止めだけでガーデニング作業をしていたらいつのまにか太陽がジリジリ照りつけていて……。

家に入ってあわてて冷やして、夜はシートマスクもしっかりして保湿をしたんですが、ピリピリとした痛みと赤みがなかなかとれません」

そう話すのは、埼玉県に住むA子さん(52才)。1週間ほど経ってようやく痛みはひいてきたが、赤みはおさまらず数か所はかさぶたのようになってしまったという。

女性
ピリピリとした痛みと赤みがなかなかとれない(写真/PIXTA)
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渋谷あおぞらクリニック美容外科・美容皮膚科院長の鶴田優希さんが言う。

「日焼けは紫外線でジリジリと焼かれた、いわばやけどと同じ状態です。正しい対処をしないときちんと治らないどころか、肌の状態を悪くしてしまいます」

紫外線には3種類の波長がある。そのうち1種類はオゾン層に吸収されて地表には届かないため、私たちの肌に影響を与えるのは、紫外線A波(UVA)と紫外線B波(UVB)の2種類。波長が長く、紫外線の約9割を占めるUVAは家や車の窓ガラスも透過して肌に到達するため「生活紫外線」と呼ばれる。

一方「レジャー紫外線」と呼ばれるUVBは波長が短く、屋外での日焼けの原因となる。

「皮膚の真皮層まで到達するUVAは、コラーゲンやヒアルロン酸を産生する線維芽細胞を破壊します。そのため、肌はハリや弾力を失ってしわやたるみを引き起こす。UVBは肌表面の細胞を傷つけ、メラノサイトを活性化させ、シミや色素沈着をもたらします。

紫外線のダメージが長年蓄積されて肌が老化することを“光老化”といいますが、近年では肌の老化の8割が光老化と指摘されているのです」(鶴田さん・以下同)

2種類の紫外線が肌を攻撃する

2種類の紫外線が肌を攻撃する
2種類の紫外線が肌を攻撃する
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肌の乾燥を防ぐのに「お湯で洗顔」はNG

紫外線を浴びた肌は、目に見える以上にダメージを受けている。

「刺激に対して敏感になっていますし、乾燥して肌のバリア機能が弱くなっています。肌の状態を見極めながらケアしていくことが大切です」

まずは何よりも冷やすことがいちばん。しかし、ただ冷やせばいいというわけではない。トータルビューティーアドバイザーの水井真理子さんが解説する。

「保冷剤で冷やすのがいいのですが、肌に直につけるのはNG。薄手のガーゼやハンカチで保冷剤を巻いて、それをさらに水で濡らして肌にあててください。長時間冷やし続ける必要はありません。肌全体を満遍なく冷やしましょう」

冷やすのと同じか、それ以上に重要なのが保湿だ。紫外線を浴びて乾燥した肌をそのままにしておくのは絶対に避けて。

「時間が経てば経つほど、肌のターンオーバーがうまくいかなくなって、ごわつきや小じわができていく。保湿は日焼け後、早ければ早いほどいい。

乾燥を防ぐには洗顔をお湯でするのは間違いです。皮脂を落としすぎて余計に乾燥してしまいます。かといって冷水でも汚れや日焼け止めがきちんと落ちない。ぬるま湯で丁寧に洗うことを心がけて」(水井さん・以下同)

肌の乾燥を防ぐため、洗顔は「ぬるま湯」がマスト
肌の乾燥を防ぐため、洗顔は「ぬるま湯」がマスト(写真/PIXTA)
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洗顔と同様、お風呂も熱すぎない方がいい。

「頭皮や手足など、顔以外にも紫外線ダメージは全身にあり、熱いお風呂に入ると、全身の乾燥を促進してしまいます。日焼けした直後は、湯船につからずぬるめのシャワーですませるのも手です」

全身が日焼けしているならシャワーだけですませてもいい
全身が日焼けしているならシャワーだけですませてもいい(写真/PIXTA)
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クレンジングと洗顔と化粧水だけでは足りない

お湯の温度も大切だが、洗顔料にも注意が必要。鶴田さんが指摘する。

「紫外線を浴びた肌はとても敏感になっているので、ピーリングやスクラブ洗顔は避けた方がいい。肌のターンオーバーを促したいという気持ちでされるかたもいるのですが、摩擦はダメージを受けた肌への刺激が強すぎます」

洗顔後も、日焼けした肌にはいつもと同じお手入れではダメージは修復されない。

「いつも以上に保湿をしてほしいので、クレンジングと洗顔と化粧水だけでは足りない。そもそも肌がヒリヒリしているのなら、普段と同じ化粧水ではなく敏感肌用の化粧水を使用し、ワセリンで保湿するなど肌への刺激を極力抑えるケアが必要です。

水ぶくれや皮がむけたりしているなどあまりにもひどいようなら皮膚科を受診して薬や処置を受けて」(水井さん・以下同)

「美容液をたっぷり塗る」のは間違い

保湿をしなければと思うあまり、いつもは使わない美容液をたっぷり塗るという人もいるかもしれない。だが、それは間違いだ。

「肌にたくさん栄養分を与えた方がいいと、美容液をたくさん塗りすぎるのは栄養過多。日焼け後こそケアは引き算で、ワセリンやバームを使って肌の水分を閉じ込めるというシンプルな保湿に徹底すべきです」

同様の理由で、シートマスクもダメージ肌には刺激が強すぎる可能性がある。

「人気のシートマスクは美容成分が豊富に含まれていて、どの成分がどう影響するのかわからない。美容液と同じ理由で、栄養過多で肌トラブルが起こることもあります。

さらに海外からの輸入品だと添加物が入っていても気づかないことがある。肌が弱っているときに使うのは肌を傷めつけるだけです」

シートマスクに含まれる美容成分が肌に栄養を“与えすぎる”ことも
シートマスクに含まれる美容成分が肌に栄養を“与えすぎる”ことも(写真/PIXTA)
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いちばん最悪なのは、「シートマスクしたまま長時間放置する」こと。

「使用時間が設定より少しのびても問題はないですが、シートマスクが乾燥するほどつけっぱなしだと肌に潤いを与えるどころか、奪うことになります。また、お風呂でシートマスクをする人もいますが、せっかく汗をかいて老廃物を流せるのにシートマスクで蓋をしたら意味がない。お風呂の中よりも、上がった直後の肌がやわらかいときに使う方が効果は出やすいです」

日焼けした肌を冷やし、潤すためにシートマスクを使う場合は、低刺激のものを短い時間で活用しよう。

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