上がり続ける物価に年末年始の出費が重なり、「家計防衛」に一層気合を入れるべき12月。コツコツ節約しているのに、どうしてお金が貯まらないのか──不思議に思っている人は、努力の仕方を間違えているのかも。マネーのプロが指摘する。
出費がかさむ12月を乗り切るには“ニセ節約術断ち”
12月は1年でもっとも出費がかさむ。2023年の総務省家計調査では、12月の世帯の平均消費支出は約33万円で、もっとも少ない2月と比べて約5万5000円も高かった。より一層財布のひもを固くしようと節約に励む人も多いだろうが、間違った節約法では、お金は出ていく一方だ。
エアコン代を制する者が冬の電気代を制する
まず目を向けたいのは、電気代をはじめとする水道光熱費。今年の冬はさらに家計の負担が増えそうだと、ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんが言う。
「水道光熱費の平均は2023年12月で約2万2000円。電気代の補助金が10月で終了(2025年1月から再開予定)したこともあり、この12月に電気代を抑えられるかどうかが、貯蓄がうまくいくかどうかを分けるかもしれません」
夏と冬はやはり、エアコンが家電の中でもっとも電気代がかかる。だからといって、暖房を使わず我慢したり、設定温度を低くするのは、間違った“貧乏節約”。消費生活アドバイザーの丸山晴美さんは「エアコンは高いからと電気ストーブを使うのは勘違い」だと話す。
「エアコンで電気代がかかるのは、部屋が暖まるまでの間のみ。最大出力で1時間46円ほどかかりますが、室温が安定した後は1時間3.5円まで下がり、以降は横ばいです。一方ハロゲンヒーターなどの電気ストーブは1時間あたり20~40円ほどになります。しかも、電気ストーブでは部屋全体が暖まらないので、効率はよくありません」
ファイナンシャルプランナーでオールアバウト家計簿・家計管理ガイドの二宮清子さんによれば、1時間あたりの電気代で比べれば、もっとも安いのはこたつ。
「こたつは5~6円、電気カーペットは15円、電気ヒーターは36円ほど。石油ストーブは電気代こそかかりませんが、1時間あたりの灯油代は40円ほど。いちばん安いのはこたつですが、部屋全体を暖めることはできないので、ほかのものと併用する必要があります」
また、使わない家電のコンセントを抜いて回る必要はない。いまの家電は自動で待機電力がオフになるものがほとんどだからだ。
「特にテレビは主電源を切ると、入れるたびにデータを取得するため、余計に電気代がかかる。また節電タップも、オンオフスイッチのランプを点灯させるためにムダな電気代がかかる。使わないときにオフにしないと意味がなく手間もかかります。節電タップを増設タップ代わりにしている人は潔く買い替えて」(丸山さん)
“もったいない”と古い家電を使うのは電気代がかさむだけ
「もったいないから」と、古い家電を何年も使い続けるのは、ムダな電気代がかさむだけだ。
「特に冷蔵庫は10年前のものと比べて、最新型では消費電力が約半分。301~350L型の場合、新しいものに買い替えれば年間で約8000円も電気代を減らせます」(黒田さん)
余裕があれば、洗濯機の買い替えや食器洗い乾燥機の購入も検討しよう。前出の二宮さんは言う。
「いずれも少ない水で効率的に洗うことができ、水道代の節約になります。水道代を節約しようと、風呂の残り湯を洗濯に使うのは残り湯に雑菌が繁殖するリスクや、それを洗い流すためにかえって大量の水が必要になることもあるのでおすすめしません」(二宮さん・以下同)
水道代節約のために湯船やトイレタンクに水を入れたペットボトルを入れるのも「ムダな努力」だ。
「ペットボトルを入れることで流れる水の量が減り、詰まりの原因になります」
※女性セブン2024年11月28日号