健康・医療

「ハム・ソーセージ」「コンビニ弁当」は避けた方がいい?寿命を左右する「腎臓力」を高める最新養生法を医師が解説、“腎臓長持ち体操”も

ウオーキングで血流促進

加えて、毎日の生活に取り入れたいのが運動習慣だ。日頃から運動を行うことが腎機能の向上に役立つと、上月さんは説く。

「腎不全と心不全を患って透析治療を受けていた62才の男性に、運動療法を行っていただきました。すると、入院時には起き上がることも大変だったのが、退院時には楽に歩けるまでに体の機能が回復したのです」

腎臓長持ち体操【1】準備体操の手順イラスト
腎臓長持ち体操【1】準備体操(イラスト/喜多啓介)
写真4枚
腎臓長持ち体操【2】ウォーキングのイラスト
腎臓長持ち体操【2】ウォーキング(イラスト/喜多啓介)
写真4枚
腎臓長持ち体操【3】筋トレのイメージイラスト
腎臓長持ち体操【3】筋トレ(イラスト/喜多啓介)
写真4枚

腎臓の健康を保ち、腎臓病予防、改善に効く「腎臓を元気にする体操」。【1】準備体操 【2】ウオーキング 【3】筋トレを1日3セット行う。

その後、運動療法を2~3か月継続すれば、腎機能に改善がみられるという研究結果も示された。こうした成果をもとに上月さんが開発した運動療法は、【1】準備体操【2】ウオーキング【3】筋トレの順に行うというものだ(図参照)。

「慢性的な運動不足のかたは筋力が落ちていることが多いので、まずは体を動かすことを習慣づけることから始めてください。1日3セットが理想ですが、難しい場合は1セットでも構いません」

最初にかかと上げ下げなどの準備体操で体を柔らかくしてから、ウオーキングを開始する。ウオーキングは週に3~5回、1日20~60分、合計4000歩以上、歩けば歩くほど効果が高いとされる。

「ウオーキングには心臓の働きを活性化させ、腎臓に届く血液の量を増やす効果があります。また、長期的に行うと血圧や血糖値も下がり、コレステロールも減っていくので、腎機能を悪化させる生活習慣病の防止につながります」

ウオーキングで心がけたいのは正しい姿勢や腕の動き、そして継続して行うことである。これまであまり運動習慣がなかった人は無理をせずに、1日の運動を小分けに行ってもいい。

ウオーキングの後には筋トレを行う。いくつかあるメニューの中から、「壁押し」と「ひざ胸突き」を紹介するが、いずれかひとつをウオーキングと組み合わせて行うのがよい。繰り返すことで、腎臓の血流を改善する効果が期待できる。

「万が一、腎機能が低下しても、運動療法によって寿命を延ばせる可能性もあります。腎機能が低下しているといってあきらめずに、運動を継続していただきたいですね。ただし、運動のやり方は医師の指導下で行ってください」

私たちの体を健康に保つ、縁の下の力持ち・腎臓。腎機能の向上は、さまざまな病気の予防だけでなく、生活の質(QOL)の向上にもつながる。冬に向けて、“腎臓力”を上げることが、健康的な生活のカギとなる。

※女性セブン2024年12月5日号

関連キーワード