
ストリートからレッドカーペットまで、2026年春以降、欧米のファッション業界で存在感を増しているキーワードがある。「Peek-a-Bra(ピーカ・ブラ)」、和訳するなら「チラ見せブラ」だ。
胸元を開いたトップスや透け感のあるシアー素材のインナーから、素肌に重なる繊細なレースブラをあえてのぞかせる。かつては「見えてはいけないもの」とされてきた下着が、いまではファッションアイテムとして積極的に取り入れられつつあるのだ。
このトレンドを象徴する存在のひとりが、モデルのヘイリー・ビーバーだ。Saint Laurent、Magda Butrym、DKNYなどのモードやモダン系のアウターの胸元から、ブラをチラ見せする着こなしを、インスタグラムでたびたび披露しており、ピーカ・ブラの浸透に大きく貢献している。
一方、歌手のサブリナ・カーペンターは、同じピーカ・ブラでもコケティッシュなコーディネートを発信。今年4月に公開された「ハウスツアー」のミュージックビデオでも、彼女らしいガーリーな装いに、ピーカ・ブラを巧みに取り入れている。
欧米で流行するこのスタイルを、アジア圏に橋渡ししているのがBLACKPINKのジェニーだ。2025年7月に行われたロサンゼルス公演では、彼女のソロ曲「ライクジェニー」を歌唱中に大胆に胸元を開き、ブラを見せつけるパフォーマンスを行い、話題となった。その後も彼女は、インスタグラムでピーカ・ブラのステージカットやプライベートカットを多数投稿している。
セレブリティたちが大胆に胸元を開き始めたこのムーブメントは、突如生まれたものではないという。海外事情に詳しいファッションライターが解説する。
「ここ数年、海外のファッションシーンでは、ローライズパンツからショーツやボクサーのウエストバンドをのぞかせる着こなしや、ズボンを穿いていないかのような、パンツレススタイルが定着してきました。2020年代前半には、MIU MIUをはじめとする世界的メゾンがローライズスタイルを復活させ、ケンダル・ジェンナーをはじめとするセレブリティやインフルエンサーが実践したことにより、下着を隠すものではなく、コーディネートの一部として見せるという発想は、すでにボトムスでは一つの潮流となっていました。その流れがブラジャーへと対象を広げたのがピーカ・ブラです。2026年春夏コレクションでは、MIU MIU、GIVENCHY、VALENTINOなど世界的メゾンが、シアーなドレスやガウンからブラをのぞかせたり、ブラをトップスの上から重ねたりするスタイルを相次いで発表しています」
いわゆる“見せブラ”といえば、2000年代、日本でもY2Kファッションの一種として流行したことがあるが、どう違うのか。
「日本で2000年代に流行した“見せブラ”は、カラフルなブラや装飾的なストラップを大胆に見せ、ブラそのものをアクセサリーとして楽しむスタイルでした。しかしピーカ・ブラは、黒レースやブラレットなどをシャツやジャケットの隙間から少しだけのぞかせ、コーディネートの一部として取り入れる着こなし。前者が“ブラを主役に見せる”発想なのに対し、後者は全体のスタイリングやレイヤードを重視し、さりげない抜け感や洗練された印象を演出する点が異なります」(前出・ファッションライター)
そんなピーカ・ブラは、今なお進化の途中で、名だたるファッショニスタたちが新たな着こなしを模索しているという。