お金が貯まる人になるための「毎朝15分」の習慣 読書、ラジオ体操、買い物メモ、レシート整理、掃除…“簡単なお小遣い稼ぎ”や“株式投資の勉強”に時間を費やす選択も

「早起きは三文の徳」の「三文」とは、現在の価値にしてわずか100円ほど。どうせ早起きするなら三十文、いや三千文は欲しいところ。いまの時代、毎日たった「15分」早く起きて、ちょっと工夫して過ごすだけで、お金が劇的に増える「お金持ち体質」になれる。
「お金が貯まる人」は「1日15分」を積み重ねている
「お金が貯まる人」と「いつまでも貯まらない人」では、何が違うのだろうか。
手取りの多さや住んでいる場所など、埋めることの難しい差はあるものの、もっとも重要かつ自分で簡単に変えられる要素が「時間の使い方」だ。ファイナンシャルインディペンデンス代表で『お金が貯まる人はなぜ時間の使い方がうまいのか』などの著書がある、たぐちともたかさんが語る。
「1日たった15分でも、ひと月450分、1年に換算すれば90時間。1日のうちの15分をどう過ごすかで、月に7.5時間分、年に4日分近い“差”がつく。お金が貯まる人はこうした少しずつの積み重ねで“稼ぐ力”や“貯める力”を身につけているのです」
今日からあなたの人生を大きく変える「毎朝15分間の習慣」をお教えしよう。
朝は「お金のゴールデンタイム」
たぐちさんは、1日のうちでもっとも頭がクリアな「朝」の15分を使わない手はないと語る。
「お金といい関係を築くには、できるだけ早起きして、朝、自由に使える時間を増やすこと。夜型の人はお金が貯まりません。実際に年収1000万円以上の人は8割以上が早寝・早起きを心がけているという統計もあるほどです」(たぐちさん・以下同)
たぐちさんがおすすめするのが「朝15分間の読書」だ。本を読んで鍛えられる読解力や想像力は仕事や家事の効率を上げたり、日々の家計のやりくりや資産運用で先を見通す力に通じる。

「いまはひと月に1冊も本を読まない人が多いといわれています。そんな中で1日に15分だけでも本を読み続ければ、1か月で3、4冊は読むことができ、お金を増やす基礎力が備わるはず」
特に起床後3時間は1日のうちもっとも脳が効率よく働く「ゴールデンタイム」ともいわれる。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんは、毎朝15分続けていた語学の勉強が、思わぬところで役に立った。
「毎朝『ラジオ英会話』と『まいにちフランス語』を15分ずつ聴いたり、『Duolingo』というアプリでフランス語を勉強していたところ、実際にフランスを訪れた際、『学生』という単語を聞き取ることができて学生の夫が学割を受けられ、得をしたことがあります」(風呂内さん・以下同)
毎朝のメモが財布のひもを固くする
かといって、ひまさえあれば読書や勉強ばかりしているわけではない。「体は資本」と考え、健康維持のために15分間体を動かす習慣をつけるのもいいだろう。アメリカの研究によると、1回20分以上、週3回以上の運動を定期的に行っている人は、そうでない人より6~10%収入が高い傾向にあった。
「もし病気になれば医療費がかかるだけでなく、収入が減る可能性もあります。健康維持は節約と貯蓄の第一歩ともいえるでしょう。私も語学とは別に、毎朝15分ほど、ラジオ体操を続けていた時期もあります」
読書や運動と同じく、お金持ちの多くが当たり前に毎朝行っているのが「メモ」。たぐちさんは、毎朝「目標金額」や「稼いだお金」、「使ったお金」を記録する習慣を20年続けている。

「具体的な金額を記録し続けることで“目標金額にいくら足りないのか”“達成するためにはどうすればいいか”など、改善策が見えてきます。
アナログな紙のノートでもスマホのメモ機能やアプリでもいいですが、私は脳に情報が定着しやすい手書きをおすすめします。ただ記録するのではなく、見返して反省や改善につなげるのが重要。もし達成できなくても、ダメだったで終わるのではなく、ここまでよくやったと自分をほめることでポジティブに切り替えられ、別の解決策が浮かびやすくなります」(たぐちさん)
一方、風呂内さんが朝に行っているのは「買い物メモのチェック」だ。風呂内さんは買い物に行く直前ではなく、生活必需品や必要な食料品が切れそうなことに気づくとその都度メモしておき、買い物をする日の朝に見返しているという。
「メモに書いてあるものが本当に買わなければいけないものなのか、見返して精査しています。
また、夜は財布の中を整理します。レシートを出して“買ってよかったかどうか”を振り返る。レシートの枚数や長さだけでもお金を使いすぎていないかどうか、おおよその目安になると思います」(風呂内さん・以下同)

また「今週の予定」も書いておくといい。特に年末は週末などに支出がかさむことが多いため、忘年会や家族で出かける予定をリストアップしておくだけでも目算が立つ。
「週末の出費の予想がつきやすくなります。また先々の旅行の計画もメモしておくこと。ホテルや航空券の値段は日々変わるので、時々チェックしておけば、よりお得な値段で予約し直すこともできるかもしれません。お得なチケットが発売されることが多い、“出発1か月前の日”をカレンダーに書いて忘れずにチェックしています」
身の回りを整理整頓することでムダ遣いは減る
15分もあれば、財布の中だけでなく、机の上やリビングの簡単な掃除もできるだろう。毎朝15分かけて身の回りを整理整頓したり、いらないものを手放していくと、自分に必要なものが見えてきて、ムダ遣いが減るはずだ。たぐちさんは「ミニマリストになったことでお金が貯まりだした人は少なくない」と語る。
ファイナンシャルプランナーの山野祐介さんも「部屋が汚い人は絶対にお金が貯まらない」と続ける。

「散らかった部屋では必要なときに必要なものが見つからず、いらないものを買ってしまう。これは『モノ』に限った話ではなく、保険商品やスマホの料金プラン、サブスクなども、自分がどんな契約をしているかよくわからずにいらない特約やサービスをつけている人もいるかもしれません。
そこで、毎朝15分を『契約内容のチェック』に使うのはどうでしょうか。15分もあれば約款や注意書きを隅々まで読めるはず。その上で、不要なものは解約や乗り換えを。例えば、ネット回線の契約は2年縛りのものが多く、それ以上契約している人は、相談すれば割引プランをすすめてくれる場合もあります」(山野さん・以下同)
指先ひとつでお小遣い稼ぎ
15分あれば、簡単なお小遣い稼ぎもできる。代表的なものが「メルカリ」などのフリマアプリで不用品を販売すること。
「フリマアプリでできるだけ高く不用品を売るコツは、写真のきれいさ。床や食卓の上に無造作に置いて撮影するのではなく、100円ショップなどでパーテーションを買って即席の撮影ブースをつくれば、明るくきれいに撮ることができます。背景をごちゃごちゃさせず、生活感のない写真にするのがポイント」
15分でできる副業の中でもっとも簡単なのが「ポイ活」。最近は歩くだけで移動距離に応じてポイントが貯まったり、アンケートに答えることでポイントがもらえるポイ活アプリが続々と増えているため、朝の散歩や移動中のすき間時間など、15分間でザクザクポイントを稼ぐことも可能だ。
「私はコカ・コーラ公式アプリの『Coke ON』を使っています。あらかじめ自分で設定した1日の目標歩数を1週間達成し続けることでスタンプを1個もらえて、15個貯めるとドリンクチケット1枚と交換できます」(風呂内さん)
15分×365日で投資の基本が身につく
上級者になれば、毎朝15分の積み重ねで大きなお金を手にすることも可能。こころトレード研究所所長の坂本慎太郎さんは「朝の15分を賢く使えば、株式投資の基本が学べる」と話す。
「まずは毎朝経済ニュースをチェックすること。初心者は日経平均株価とドル円相場だけで大丈夫です。できれば毎日ノートに記録して、前日との差をチェックしましょう。最初は難しいかもしれませんが、わからないなりにも、とにかく毎朝15分見てみることが、投資スキルの向上につながります」(坂本さん・以下同)

そうして知識をつけたら、持っているだけで配当金を受け取れる「高配当株」を探す。「配当利回りランキング」を参考に、配当金が高い銘柄を探せばいい。ただし、ランキングが上位であればいいわけではないので、注意が必要だ。
「配当利回りは企業の業績に直結しているため、業績が飛躍的に伸びた年は配当も高くなる。高配当が単年のみの場合や、業績が悪化した株も含まれている可能性があるので、ランキング上位50位まではあえて外し、51位以下から、通信会社などの『内需系銘柄』で、安定した利益を上げ続けている銘柄に絞り込んでください。1銘柄だけに集中投資せず、10銘柄くらいに分散投資するのが基本です」
配当の権利がもらえる日を「権利付最終日」といい、主に3月などの決算月の月末である「権利確定日」の「2営業日前」。この日までに株を持っていれば配当金がもらえることを覚えておこう。
15分で「何をするか」も大切だが、たぐちさんは「とにかく続けることがもっとも重要」と語る。
「どんな方法でも、とにかく毎朝15分、お金について考えることを習慣にすること。それを365日続けていれば、必ず大きな変化が訪れます」(たぐちさん)
お金持ちも、そうでない人も、すべての人が等しく持っている「毎朝15分」。ボーッと生きていては、貯まる機会をみすみす逃してしまうだろう。


※女性セブン2024年12月5日号