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《倉田真由美さんが語る最愛夫の死後の大問題2》「今も夫にLINEを送っている」「どうしても捨てられない魚のスポンジ」

抗がん剤をやっていなかったから

――ほかにも、亡くなる前日までシャワーを浴びられていたと聞いています。一般的な末期がん患者のイメージとは異なっていて、驚きです。 

倉田:夫の体が弱らなかったのは、抗がん剤をやっていなかったからだと思っています。いま、病院はがんの標準治療を拒否させてくれなくなっています。標準治療を断ったら、「うちでやることはありません」と冷たく突き放す病院もあるし。ネットでも叩かれるから、標準治療をしないと大きな声では言いづらくなっています。夫は抗がん剤を使いませんでしたが、もって半年、どんなに長くても1年と言われたのに、1年9か月生きました。 

夫の叶井俊太郎さんのがんについて語ってくれた倉田真由美さん
写真7枚

 

――叶井さんが亡くなる4か月前、渋谷でお会いしたことがあります。そのとき、普通に電車に乗ってきたと言っていたので驚いたのですが、声もハキハキしているし、とても末期がんの患者には見えませんでした。 

倉田:普通に元気だったでしょう? 私、がんで弱っている人に何人も会ったけれど、げっそりやせて、言葉もうまく話せなくなる人が多いんだよね。ところが、夫は最後まで普通に会話していましたから。 

――末期がんの患者のイメージが覆されました。 

倉田:そういえば、先日、森永卓郎さんにも会ってきました。森永さんもがんを患っているけれど、話し方もいままで通り。理由はわかりませんが、最近は40kg台だった体重が50kg台に戻ったそうです。 しかも森永さんは仕事量がすごい。YouTubeもやっているし、8月は12冊並行で本を執筆したそうで、いまも1日18時間仕事をしているそうですから。森永さんの場合、仕事に対する情熱が、生きるという強い動機になっていると思う。やりたいことがあるし、まだまだ死ねないという感じですね。ちなみに、夫は「いつ死んでもいい」とは言っていたけれど、最期まで仕事をしていたし、仕事が好きだったんですよね。きっと、仕事が生きる力につながっていたんじゃないかな。 

取材・文/山内貴範

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