俳優と、ミュージシャン。それぞれの分野で活躍し、同い年、そしてハワイ好きという共通点から、プライベートでも「パイセン」「悦ちゃん」と呼び合い親交が深い豊川悦司さんと藤井フミヤさん。滅多にない2人のスペシャル対談が実現。12月5日発売の大人女性に向けたムックシリーズ『reShine冬号』から豊川さんと藤井さんのインタビューを一部抜粋して紹介する。
売れない役者と人気絶頂の大スター ふたりの距離が縮まる90年代
豊川悦司(以下、豊川): (誕生日)7月でしたっけ?
藤井フミヤ(以下、藤井): そう。同じ寅年だけど、悦ちゃんが早生まれだから、本当は悦ちゃんの方がパイセンなの(笑)。
豊川:僕が芝居を始めたばかりの頃には、すでに大スターでしたから。本当に遠い世界の人。雲の上の存在だった。
藤井:初めて悦ちゃんと会ったのは、目黒通りの……。
豊川:居酒屋じゃない?
藤井:そうそう! 地下の部屋から悦ちゃんが出てきて、「あ、トヨエツだ」って(笑)。
豊川:パイセンが僕のことを知ってくれた頃は、たぶん30歳くらいだと思う。『NIGHT HEAD』っていう深夜ドラマで初めて名前が認知されて。で、その後が月9の『この世の果て』。あれが1990年代前半だから、その頃、チェッカーズはもう解散していたよね?
藤井:そうだね、ソロになって『TRUE LOVE』が売れたのが1994年くらいだから。
豊川:あの頃はドラマと主題歌のヒットがセットだった時代。どんなビッグなアーティストを引っ張ってこれるか、みたいな。パイセンは、とにかく音楽一筋できたわけじゃないですか。
藤井:まあ、でかい柱はね。
豊川:僕は、芝居以外にも面白いことがあるかもって、常にブレながらやってきたタイプだから。たとえば会社員とか?
“役者1本”、“歌1本” すぐそんなふうには決められなかった
藤井:!! いや無理だって(笑)。我が道を行くタイプなのに。でも言ってみれば、俺もブレブレよ。それこそ90年代は、恥ずかしながら役者もやったし、プロデュース業とか、絵も描いてたし。それら全部、何もかもやめて歌で生きていこうって決めたのは、ここ十数年くらい。画家とかにも憧れるけど、やっぱり歌。歌に勝るものが探せないというか。悦ちゃんは、ずっと役者1本で全然ブレてないじゃん。だってあの『笑っていいとも』にも『徹子の部屋』にも出たことないでしょ?
豊川:何度も声はかけていただいたんだけど……。若い頃は、本当にとんがっちゃってて。素を見せたくないというか、とにかくバラエティとかには出たくなかった時代があったの。今考えると、本当に嫌な奴だったなと思います(笑)。
藤井:今年はまたハリソン(Netflix『地面師たち』で豊川さんが演じたハリソン山中)で、時の人だったしね。あれだけの悪役なのに、ダークヒーローで。あれは豊川悦司でないとできない演技。悦ちゃんだからああなったんだろうなって。
豊川:ありがたいですよね。本当にありがたい。ただ役者の場合は、なんだかんだ言っても共同作業だけど、パイセンは一枚看板。藤井フミヤの前に藤井フミヤなし、藤井フミヤの後ろに藤井フミヤなし、みたいな。だけど、僕はそういう〝ワン&オンリー〞な人がすごく好きで。
藤井:でも地味だよ(笑)。いつも旬な人たちに会える悦ちゃんがうらやましいよ!
◆豊川悦司
大阪府出身。1992年放送のドラマ『NIGHT HEAD』で一躍注目を浴び、以降、数々の人気ドラマ、映画に出演。日本を代表する俳優に。現在、冷酷なリーダー役が話題を集める『地面師たち』(Netflix)、そして『NoActivity』シーズン1、2(Amazon Prime Video)が配信中。
◆藤井フミヤ
福岡県出身。1983年にチェッカーズとしてデビュー。1993年以降はソロアーティストとして『TRUE LOVE』をはじめ、数々のミリオンヒットを世に送り出す。デビュー40周年を迎えた2023年から2024年にかけて、初の47都道府県ツアーを行い、2025年、早くも再訪が決定。
プロデュース/マキ・コニクソン
撮影/荒井俊哉(YARD) スタイリング/富田彩人(豊川さん分・WHITE Co.) ヘア&メイク/山崎聡(豊川さん分・sylph) 構成・文/滝沢裕子 衣装協力/ラルフ ローレン パープル レーベル/ラルフ ローレン 撮影協力/AWABEES
『reShine冬号』では、飯島直子さんが表紙を務める。映える&効きめがある&気分が上がるおしゃれ・美容・趣味・暮らしの実例を紹介。林真理子さんのエッセイの他、特集記事「美しい人のマイルール」では、黒田知永子さん、松本孝美さん、岩井ヨシエさんほか、大人世代の人気モデルたちが、今の年齢だから楽しめるおしゃれのヒントを紹介している。
※『ReShine』2024年冬号