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《ひろみちお兄さん闘病記3》「絶対に孫の顔が見たいんです」最愛の妻と見据える復活の道「譲れない目標」

脊髄梗塞を発症して衝撃的な病状を告白した「ひろみちお兄さん」の愛称で親しまれた佐藤弘道さん(撮影/横田紋子)
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《下半身麻痺となり歩けなくなってしまいました。病名は「脊髄梗塞」です》──『おかあさんといっしょ』(NHK)で体操のお兄さんを務め、「ひろみちお兄さん」の愛称で親しまれた佐藤弘道さん(56才)が、聞き慣れない病名とともに衝撃的な病状を告白したのは6月13日のこと。あの日から約半年が経過した。「脊髄梗塞」の発症で味わった先の見えない不安。暗闇から抜き出した原動力。そして今後の目標まで、最愛家族とのエピソードも交えながら語り尽くした。【全3回の最終回。第1回から読む

「退院を早める大きなモチベーションになりました」

――11月5日に結婚30周年を迎え、家族4人でお祝いした様子を佐藤さんは自身のブログにアップしました。

佐藤:退院は12月頃になりそうだと言われていたのですが、今年の結婚記念日は節目の30周年ですし、11月5日の記念日までに退院することを目標にリハビリを続けたんです。大学の同級生だった妻とは20才から交際を始めて、26才で結婚して、そこから30年ですからねぇ。まぁ、30年もよくもったなぁという感じです(笑い)。9月には妻の誕生日があったので、誕生日を祝うこともできました。

家族で結婚30周年をお祝いする(佐藤弘道公式ブログより)
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――10周年と20周年は貴金属をプレゼントされたそうですが、30周年の今年も何か贈られたんですか。

佐藤:結婚30周年は「真珠婚」にあたるので、真珠のアクセサリーをプレゼントしたいなと考えていたんです。でも脊髄梗塞を患ってしまい、退院後もリハビリ中心の生活でまだ買えていないんです。なるべく早く良いものを選んで、プレゼントしたいと思っています。

久美子さん:そう言ってくれるだけでうれしいですよね。私にとっては、帰ってきてくれたことが一番のプレゼントなんですから。

――10月5日放送の『おかあさんといっしょ』(NHK)の65周年特番に出演。退院後の元気な姿に、多くの視聴者が勇気づけられました。

佐藤:オファーをいただいたのは入院中の7月頃でした。『おかあさんといっしょ』は僕にとって特別な番組なので、声をかけていただけたのは本当に嬉しかったし、光栄なことでした。でも病院に相談したところ、撮影のための一時外出は認められないと言われたんです。となると、収録に参加するには、絶対に退院するしか方法がなかったんです。『おかあさんといっしょ』への出演オファーは、リハビリを頑張り、退院を早める大きなモチベーションになりましたね。

退院後に『おかあさんといっしょ』(NHK)の65周年特番に出演した佐藤弘道さん(撮影/横田紋子)
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「絶対に孫の顔を見たいんです」

――目標を達成した退院当日、家族でお祝いされたそうですね。

佐藤:妻がお寿司に誘ってくれて、行きつけのお店にふたりで向かったんです。お店に到着すると、いつもはカウンターに通されるのに、その日は個室に案内されて。お店に気を遣わせちゃって、申し訳ないなと思っていたんです。でも個室の扉を開けて、その理由がわかりました。そこには息子たちをはじめ、親族が勢ぞろいしていたんです。本当にうれしかったですね。妻と息子たちが僕に内緒で計画してくれたそうです。

佐藤弘道さんの大きな目標は孫の面倒を見ること(撮影/横田紋子)
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――これからはどんなお仕事、活動に取り組んでいきたいですか。

佐藤:「脊髄梗塞」という珍しい病気を広く知ってもらうための啓発活動をやっていきたいです。それと、「ヘルプカード」(※障害のある人などが災害時や日常生活の中で困ったときに周囲に理解や支援を求めるためのもの)の周知などにも貢献できたらいいなと思っています。先日、僕も区役所で手に入れて今日もカバンにつけています。この「ヘルプカード」の認知度がまだまだ低いとのことなので、カードの持つ意味合いなどを発信していきたいと考えています。

「ヘルプカード」を付けて移動をする(佐藤弘道公式ブログより)
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――最後に、今後の目標を教えてください。

佐藤:家族の共通の趣味でもあるゴルフに、またみんなで行きたいですね。息子たちは小学生の頃から連れて行っていたので、もう彼らのほうが僕より上手いです。

それと息子2人はまだ独身なのですが、「孫の面倒を見る」のが僕の大きな目標なんです。というのも、僕の父と祖父は孫の顔を見る前に亡くなっています。だから僕は、絶対に孫の顔を見たいんです。すでに息子たちには「子(孫)育ては僕がやる」と言ってあります(笑い)。そのためにも、もっともっとリハビリを頑張らなければいけない。だって、孫と追いかけっこをしなきゃいけないですから。

家族は明るく振る舞ってくれた(撮影/横田紋子)
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取材・文/剣 慧人

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