「絶対に孫の顔を見たいんです」
――目標を達成した退院当日、家族でお祝いされたそうですね。
佐藤:妻がお寿司に誘ってくれて、行きつけのお店にふたりで向かったんです。お店に到着すると、いつもはカウンターに通されるのに、その日は個室に案内されて。お店に気を遣わせちゃって、申し訳ないなと思っていたんです。でも個室の扉を開けて、その理由がわかりました。そこには息子たちをはじめ、親族が勢ぞろいしていたんです。本当にうれしかったですね。妻と息子たちが僕に内緒で計画してくれたそうです。

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――これからはどんなお仕事、活動に取り組んでいきたいですか。
佐藤:「脊髄梗塞」という珍しい病気を広く知ってもらうための啓発活動をやっていきたいです。それと、「ヘルプカード」(※障害のある人などが災害時や日常生活の中で困ったときに周囲に理解や支援を求めるためのもの)の周知などにも貢献できたらいいなと思っています。先日、僕も区役所で手に入れて今日もカバンにつけています。この「ヘルプカード」の認知度がまだまだ低いとのことなので、カードの持つ意味合いなどを発信していきたいと考えています。

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――最後に、今後の目標を教えてください。
佐藤:家族の共通の趣味でもあるゴルフに、またみんなで行きたいですね。息子たちは小学生の頃から連れて行っていたので、もう彼らのほうが僕より上手いです。
それと息子2人はまだ独身なのですが、「孫の面倒を見る」のが僕の大きな目標なんです。というのも、僕の父と祖父は孫の顔を見る前に亡くなっています。だから僕は、絶対に孫の顔を見たいんです。すでに息子たちには「子(孫)育ては僕がやる」と言ってあります(笑い)。そのためにも、もっともっとリハビリを頑張らなければいけない。だって、孫と追いかけっこをしなきゃいけないですから。

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取材・文/剣 慧人