がんで闘病中であることを明かしていた経済アナリストの森永卓郎さんが1月28日、原発不明がんのため67才で亡くなった。2人に1人ががんになる時代、“終末期のがん”と共存しながら、最期の瞬間まで精力的に生きた森永さんは昨年末、『女性セブン』の取材に闘病のリアルな真相を語っていた。
水分も摂れず三途の川がはっきり見えた
2023年末にがん罹患を公表してから1年。2024年8月には、13冊もの本を執筆。森永さんの命を救い、支えていたのが、2014年に承認された新薬で世界初の免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」だった。
「私のがんはもともと、すい臓がんと診断されていました。それですぐに抗がん剤治療が始まったのですが、抗がん剤には相性があるようで、私にはまったくあわなかった。投与が始まるまでは、がんとは予想もしないくらい元気だったのに、抗がん剤を打ったら体調が急激に悪化。自力で立つこともできないし、食事はおろか水分もとれない。
“あぁこのまま死ぬんだな”と、三途の川がはっきりと見えて、死を意識しました。そこで抗がん剤をやめて、まずは気付薬のようなものをのむことにしたんです」
すると途端に体調が回復。仕事をしながら治療と検査を繰り返すことで、原発不明がんとの診断を受けた。
「つまり、がんがどこにあるのかいまだによくわかっていない。抗がん剤は、がんの種類によって違いますから、なんのがんかわからないと打てません。そうなると、自ずと選択肢は免疫に働きかけて免疫を強くする治療法しかないわけです。
現在は、オプジーボとNK療法という、血を抜いて免疫細胞を増殖させて戻すという2つの治療を並行しています」
森永さんは「オプジーボに効果があるかはわからない」とも打ち明けていた。
「だって治ってないですから。少なくとも、がんを消えさせる、寛解させる力は私に関してはまったくない。がんが浸潤した広がりが肝動脈の周りにあって、それがこの1年間、大きくも小さくもならずに拮抗状態が続いています。寛解に向かっているわけでも、死にむかっているわけでもない、極めて不透明な状態が続いている。10人以上の医師と相談しましたが、現状ではこれ以外の治療法はないそうです」
仕上がってない本をしっかり仕上げる
転移がない限り、森永さんは現状の治療を続けると話していた。
「毎月120万円かけてなんとか延命しているという状況です。でも、転移してしまえば、抗がん剤を含めた新しい治療法を考えなければいけません。それが私に合うかはイチかバチか賭けのようなもの。転移してしまえば、1か月足らずで死んでしまうかもしれない。だからもう毎日必死で生きて、やり残したことを全部やる。いままだオファーをもらった本で仕上がっていないのが13残っているので、ひとまずそれをしっかり仕上げます」
刊行予定の本について、「誰も言えなかったメディアの闇を全部書きますよ」と意味深に笑った森永さん。その言葉には生気が溢れていた。
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亡くなる前日まで、精力的に活動。27日にリモートで生出演した『大竹まこと ゴールデンラジオ!』では「実は1週間前から体調が急激に悪くなって。今はほとんど動けない。この1週間ほとんど何も食っていない」などと話していた。
“真実”を発信し続けたその姿はもうない。