“超単身社会”の到来で問われる家族の在り方
単身者は年々増加の一途をたどり、女性の単身者も増えている。
働き方や価値観の変化であえて結婚をしない人や、経済的な事情で結婚できない人も増える一方だ。特に、貧困や格差の問題は、家族の在り方にも影響を及ぼしていると山田さんは分析する。
「格差の問題抜きには、現在の家族を取り巻く問題は語れないと思います。現役世代が貧しくなってきたので、結婚できない人が増えた。そのうえに介護の負担ものしかかっているのです。これでは、家族と離れたくなるのは必然ではないでしょうか」
「相続よろず相談所」の代表・武井敦司さんは近い将来、“超単身社会”が到来すると説く。

「2030年には、ひとり暮らしの世帯が全世帯の41%になるという予測があります。世帯の半分くらいが、単身者になる未来もそう遠くないでしょう」
今後は孤独死がさらに増加し、家の断絶も次々に起こっていくと予想されている。山田さんは、これまでのように家族に依存できない時代が訪れると警鐘を鳴らす。
「今後、家族だから助けてくれるはずだという常識は通用しなくなるでしょう。親子やきょうだいでも無条件で関係を維持できるわけではなく、そのためには相応の努力が必要になってきます。特に姑は要注意です。お金がないうえ、嫁にいじわるもする……となれば、確実に“しまわれる”時代になるかもしれません」
遠藤さんも言う。
「かつての家族は親きょうだい、親戚という大きな結びつきがあり、お互いが支え合い、助け合ってきました。
しかし、戦後に核家族化が進むと家族の範囲が小さくなりました。頼れる人が少なくなり、家族のなかで起こる問題の解決が困難になったのです。都心では単身者の増加で家族が個人単位になり、家族の結びつきが強い地方では過疎化が進んでいるため、支え合いすら困難になってきています。
現状の日本では、まだまだ血縁関係を優先させることが多いのですが、どこかでこの慣例を見つめ直す動きが生まれることでしょう。そのときまでに、家族でなくとも、人と人がお互いに支え合うことができるシステムを作っておく必要があると思います」
単身世帯の増加は、「確定した未来」である。家族じまいの果てにある、単身者であふれる世界をどう生きるべきなのだろうか。家族の在り方について、根本的に考え直す時期が訪れているのかもしれない。

※女性セブン2025年2月13日号