健康・医療

冬と朝こそ気をつけたい血管病の注意すべきポイント「心筋梗塞で痛みを感じる部位に男女差」「朝の高血圧が最後の一撃に」…予防のためには「適度な室温を保つこと」が重要

血圧の急低下で脱水症状に

突然の発症から命を守るためにはどのようなことを心がけるべきか。2人が声を揃えるのは「適度な室温を保つこと」だ。

「部屋や脱衣所、浴室、トイレなどは暖かすぎない、寒すぎない温度に整えましょう。血圧が急激に下がることを血圧サージとはいいませんが、急変動という点では同じくらいのダメージがある。湯船につかるなど温かくなりすぎると血圧は一気に下がります。そうすると脱水状態となって、血管が詰まりやすくなる。寒さ対策だけではいけません」

自分の血圧を正しく知るためには1日に何回か測定するといい(写真/PIXTA)
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高沢さんも続ける。

「朝方の血管収縮に備え、寝室は暖かくしておきましょう。部屋が冷えていると、些細な収縮、痙攣が大きなダメージを与えることになりかねません」

高沢さんは、血圧、LDLコレステロール、ヘモグロビンA1cの値に気を配ってほしいと続ける。

「多くの人は、冠動脈や大動脈の詰まりや破裂で血管病が起こると考えますが、これは脳の血管はもちろん、体を張り巡るあらゆる血管の異常でも起こりえます。予防するためには、高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙という4大危険因子をできるだけ取り除くことが必要。血圧とLDLコレステロールは140以下、ヘモグロビンA1cは6.5%以下を保つことが望ましく、常に2割以上超えているなら受診や治療をおすすめします」

“悪玉”LDLコレステロールに注意したい

女性の場合、特に気をつけたいのはLDLコレステロールだ。

「コレステロールにはHDLといういわゆる善玉と、LDLという悪玉と呼ばれるものがあります。HDLコレステロールは、血管を塞いで心筋梗塞を起こすLDLコレステロールを肝臓に運んで処理し、血管の破裂を防ぐ働きがある。しかし、女性は閉経後にエストロゲンが減少することにともないHDLコレステロールも減少してしまいます。女性の心筋梗塞が閉経後に増えてくる原因のひとつです。

HDLコレステロールは食事などから摂取することが難しいものの、運動での増加が認められています。LDLコレステロールを減らし、HDLコレステロールを増やすためには運動習慣をつけることが大切です」(高沢さん・以下同)

運動といっても体を激しく動かす必要はない。家に閉じこもったり、座りっぱなしを避け、こまめに動くことを心がけよう。

家事の合い間、スーパーのレジに並んでいるときなど、ふとした瞬間に上げ下げしてみて(写真/PIXTA)
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「つま先立ちをすると、第二の心臓といわれるふくらはぎが下半身の血液を心臓に戻してくれて血流がよくなります。かかとを上げ下げするなど、日常の中でつま先立ちを取り入れてみてください。

また、睡眠はきちんととること。前述の通り、睡眠時は副交感神経が優位になり体全体、血管も柔らかくしなやかにしてくれる。血管のダメージを減らすので、よく眠りましょう。睡眠は免疫力も高めますから、感染症が流行するいまの時期は一石二鳥の効果がありますよ」

食生活では、ミネラルや抗酸化物質が豊富な野菜を多く摂ることが血管の老化を予防してくれるという。

「食事の際に野菜を先に食べることで、LDLコレステロールやヘモグロビンA1cの値がずいぶん改善したかたは多くいます。厚労省は1日350gを摂取目標にしていますが、数字にとらわれず“たくさん野菜を食べよう”と心がけることが大切です」

患者数は男性の方が多いから、いまのところ症状がないから、などと油断している間にもあなたの血管は悲鳴をあげているかもしれない。自分の体の声に耳を澄ませ、血管をいたわり命を守ろう。

※女性セブン2025年2月13日号

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