映画界を席巻する日本の名匠たちもその才能の虜に
他にも、さまざまな監督たちが二宮の才能に魅了されてきた。
二宮が食べた料理の味を絶対に忘れない“麒麟の舌”を持つ天才料理人を演じた映画『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』(2017年)。メガホンをとった滝田洋二郎監督は、中でも「この顔を見るためにつくっていた」と確信したというクライマックスの二宮の表情に感極まったという。
「ニノは常にシャープ。人に見せていないところをどれだけ用意しているか。あの表情は現場でいきなり出たわけではなく、日常からずーっと訓練している、積み重ねから出たもの。この先、もっとすごい顔が出てくるんでしょう」(『映画.com』2017年10月27日)
『湯を沸かすほどの熱い愛』『長いお別れ』など、これまで様々な家族の形を描いてきた中野量太監督とは、映画『浅田家!』(2020年)でタッグを組んだ。中野監督は二宮について以下のように語っている。
「俳優さんにとって必要なのは、脚本を理解して、自分がなにをしなければいけないかを察知する力。そしてそれを表現する力。二宮さんは、この2つをしっかりと持っている。なにをやらなければいけないのかを読み取って、ドンピシャの芝居をしてくれる。すごいですよ」(『MOVIE WALKER PRESS』2020年10月9日より)
ビートたけしが初めて書きあげた恋愛小説を映画化し、二宮が手作りや手書きにこだわるデザイナーの水島悟を演じた映画『アナログ』(2023年)。同作のタカハタ秀太監督は芝居だけではなく、二宮の人間性についても賛辞の言葉を送った。
「二宮さんの芝居には余計なものがない。そんなに多くの言葉を交わさなくても理解してくれるところがあります。『この人なら、これを演じたら面白いだろうし、あれも演じられるだろう』と、彼がまだやっていないものを探して、撮ってみたくなります。何より、人としてすごく素敵。いい青年だなと思って、いつも見ています」(『SCREEN ONLINE』 2023年10月13日)
ただ歩いているだけ
そして、二宮の最新作となる、“異変”探し無限ループゲームを映画化した『8番出口』。二宮は役者人生初となる名前のない主人公を熱演している。『告白』『悪人』『君の名は。』の企画・プロデュースで知られ、長編のメガホンをとるのは自身の小説を映画化した『百花』以来、2度目となる監督・脚本の川村元気氏も二宮に魅了された1人だ。川村氏はメディア向けのオフィシャルコメントでこう語っている。
「二宮さんは、セリフやアクションで発散する芝居も素晴らしいのですが、それ以上に『惹きつける』芝居が抜群だと思っています。ただ歩いている、ただなにかを見ている。それだけでも観客が前のめりで観てしまう、視線を惹きつける力がある俳優。それは『硫黄島からの手紙』でクリント・イーストウッド監督が発見した彼の最大の魅力だと思っていて、それを『8番出口』では存分に活かしたいと思いました。脚本の段階から撮影の現場まで、彼の豊富なアイデアに、その多彩な演技に、大いに助けてもらいました」
様々な冠バラエティー番組やYouTubeなどに出演し、アイドル・タレントとして人を楽しませる一方で、ドラマ、映画に出演し、役者としても多くの人たちを惹きつける二宮。今後、役者としてどんな新たな一面を見せてくれるのか、期待が高まる。

