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麻木久仁子、53才で国際薬膳師、国際中医師の資格を取得 “学び直しは何才からだろうと遅くはない” 「思いついたらまずはやって、つまらなかったら次に行く」

53才で国際薬膳師、国際中医師の資格を取得した麻木久仁子
53才で国際薬膳師、国際中医師の資格を取得した麻木久仁子
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さまざまな理由で若い頃に勉強ができなかった人たちが、時間的・経済的余裕ができたタイミングで“学び直し”をするケースが増えている。厚生労働省では、仕事をしながら学ぶ「リカレント教育」を推進。各教育機関でも広く門戸を開いており、社会からの追い風も吹く。実際に学び直しをした人たちは、「人生が変わった」と目を輝かせる。いまや年齢は関係ない。53才で国際薬膳師、国際中医師の資格を取得したタレントの麻木久仁子(62才)も学び直しをした1人だ。麻木に話を聞いた。

大病を経験したことで知識を深めたくなった

還暦を機に放送大学で学び始め、今年で3年目を迎える麻木。いつでも好きな時間に、自宅でオンライン受講できるスタイルが自分に合っていると話す。

「前期と後期に4講座ずつ無理のない範囲で受講しています。好きな講座を好きなだけ学べるところが放送大学のいいところ。授業料も受講した分だけ。わかりやすいでしょ(笑い)」(麻木・以下同)

放送大学1年目に全科目最高評価の「(A)」を取得した
放送大学1年目に全科目最高評価の「(A)」を取得した(写真提供/麻木久仁子)
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高校卒業後、学習院大学に進学したものの、第二外国語の単位を落として留年が決まり、奨学金がストップしたことで中退を決めた。

「大学を中退したことに後悔はありません。あの頃はバブル景気の最中で、中退しても仕事をしていける時代でしたから」

麻木が学び直しを決めたのは、果たせなかった大学卒業が目的ではなく、純粋に知識を深めたいと思ったからだという。そう思えた一因に、40代後半で脳梗塞や乳がんなどの大病に襲われたことがある。

「それまでは健康を意識した生活を送っていませんでした。でも食べることや料理は好きでしたから、これを機に薬膳を勉強してみたいと思い立ったんです」

薬膳の専門学校へ見学に行ったところ、理論的な東洋医学の授業がおもしろく、すぐに入学を決めた。

「行動力があるように思われるかもしれませんが、見学に行くまで2~3年かかり、入学したのは52才のとき。私以外にも大人の生徒さんが大勢いました」

仕事と両立できるよう、週1度のペースで通学。午前中は授業を受け、午後は薬膳の調理実習。授業のない日は自宅でも勉強し、1年かけて国際薬膳師、さらに3年学び、国際中医師の資格を取得した。

「周りからは、偉いね、すごいね、なんてほめていただいたけれど、運動が苦手な私からしたら、週に3回ジムに通っている人の方が偉い(笑い)。自分のやりたいことだけを、自分のペースで無理なく取り組めるのが、学び直しのいいところだと身をもって体験しました」

石橋を叩いて渡るのはもうやめよう!

専門学校卒業後は、独学で温活士、温活指導士の資格を取得。58才のときには、合格率が40~50%の公的資格「登録販売者」も取得した。この資格があると、一般用医薬品を販売できる。

「コロナ禍で、仕事のキャンセルが相次ぎ、比較的時間のある時期でした。テキストを買い、約3か月間、集中して勉強しました」

こうして学んだことを生かし、中医学の理論にもとづいた食養生など、さまざまな情報を講演会やSNSで発信する機会が増えた。いまある知識をさらに深め、内容にもっと厚みを持たせたいと、60才で新たに入学を決めたのが、放送大学だ。

「60代に入り、いつ何があるかわからないからこそ、社会福祉を自分事として考えたいと思いました。公衆衛生や地域介護についても知識を深め、老後の健康や備えなど、皆さんの生活に役立つ情報を発信できればと思っています」

大学ではこれまでに、「がんとともに生きる」「睡眠と健康」などの講座を受講。この春からは「地域福祉の課題と展望」など、福祉にまつわる講座を中心に受講しているという。

全国の放送大学のキャンパスを訪れ、さまざまな年代の学生と“面接授業”を受講するのも楽しみのひとつだという(写真提供/麻木久仁子)
全国の放送大学のキャンパスを訪れ、さまざまな年代の学生と“面接授業”を受講するのも楽しみのひとつだという(写真提供/麻木久仁子)
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こうして学んだ知識の発信と同時に、麻木は何かにチャレンジしてみたいけれど、日々の雑事に追われてなかなか行動に移せないシニアに対し、「お互いに、石橋を叩いて渡るのはもうやめよう!」と呼びかける。

 

「石の上にも三年、なんて若い人だから言えること。還暦を過ぎ、人生の残り時間が不明確のなか、慎重に行動していたら、あっという間に時間は過ぎてしまいます。思いついたらまずはやって、つまらなかったら次に行く。いい意味で軽薄に、いろいろなことを繰り返していくうちに、これなら!と思えることに出会えると思います」

学び直しは何才からだろうと決して遅くはないと、力強く背中を押してくれた。

麻木久仁子の学び直しヒストリー
麻木久仁子の学び直しヒストリー
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◆タレント・麻木久仁子

東京都出身。学習院大学在学中にデビュー。キャスター、コメンテーターとしても活躍。著書に『おいしい!かんたん! 温活薬膳レシピ』(毎日新聞社)など。

取材・文/植木淳子

※女性セブン2025年6月5・12日号

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