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水野真紀、50才で幼稚園教諭一種免許、52才で保育士資格を取得「新たな学びのなかでの出会いや気づきが、私の人生を支えてくれている」

50才で幼稚園教諭一種免許、52才で保育士資格を取得した水野真紀
50才で幼稚園教諭一種免許、52才で保育士資格を取得した水野真紀
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さまざまな理由で若い頃に勉強ができなかった人たちが、時間的・経済的余裕ができたタイミングで“学び直し”をするケースが増えている。厚生労働省では、仕事をしながら学ぶ「リカレント教育」を推進。各教育機関でも広く門戸を開いており、社会からの追い風も吹く。実際に学び直しをした人たちは、「人生が変わった」と目を輝かせる。いまや年齢は関係ない。50才で幼稚園教諭一種免許、52才で保育士資格を取得した俳優の水野真紀(55才)も学び直しをした1人だ。水野に話を聞いた。

学びの夢を諦めたままでは自分を見失う

「20代の頃、仕事に追われて自分を見失いそうになるたび、学び直しへの思いが強くなっていきました。あの頃の私にとって、それが自分を保つための唯一の手段だったのかもしれません」と言う水野。

高校卒業後は短期大学に進学し、学業中心の生活だったという。

「当時は4年制大学への進学を考えていましたが、事務所と相談し、2年で学業を終えられる短大へ進みました」(水野・以下同)

短大を卒業するとすぐNHK連続テレビ小説『凜凜と』で俳優デビュー。22才で松下電工(当時)のCMキャラクター「きれいなおねえさん」(初代)に選ばれてからは多忙を極めた。

「あまりの忙しさに自分が壊れてしまうような危機感がありました。心療内科を訪れたり、『いのちの電話』に電話をかけたりしたこともあったほどです」

追い詰められた水野は、学生時代に諦めた“学びの夢”を実現させたいと強く願うようになったという。

「短大生のとき、事務所がレッスンを受けさせてくれていたこともあり、夏期留学を諦めたことがありました。自分を見失わないためにも、自分がやってみたかったことにチャレンジしたくなったのです」

事務所と話し合い、大河ドラマの撮影終了後、3か月間休みをもらい、ロンドンへ留学した。学生時代の忘れものを取り戻しにいく感覚だったという。

「お菓子作りが趣味だったので、料理製菓専門学校『ル・コルドン・ブルー』のロンドン校を選びました。ホームステイをしながら語学も学びました」

海外の食文化に触れたことで日本食への興味も湧き、31才のときには服部栄養専門学校に入学。翌年、調理師免許を取得した。

「このときも、事務所に直談判(笑い)。水曜の午後と、土・日曜は仕事をし、残りの日はすべて授業にあてました。大変でしたけど、同じクラスに社会人が多くいらして、刺激になりました」

人の役に立ちたい…学びの姿勢に変化が

仕事に押しつぶされそうになるたび、学びで自分を取り戻してきた水野。

「前向きな自己逃避かもしれません(笑い)。服部栄養専門学校での学びと仲間は、私の宝物です」

年齢を重ねるうちに、学びへの意識も変わっていったという。

「44才の頃、人生の後半戦は何らかのかたちで人のお役に立てたら、と思うようになりました」

そこで48才のとき、聖心女子大学の2年次に編入学。人間の成長に大きく影響を与える“教育”について学ぶことにした。

聖心女子大学では20代の同級生に交じって実習を受けた水野真紀
聖心女子大学では20代の同級生に交じって実習を受けた(写真提供/水野真紀)
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「大学で学ぶなか、何らかの気づきや出会いがあるのでは、と考えていました」

しかし、大学のオリエンテーションと重なり、息子の中学校の入学式に出席できないといったことも…。

「あの頃は保護者会にもほとんど顔を出せませんでしたね」

しかし、反抗期だった息子とは、お互いに学生ということで、ちょうどよい距離感を保てたという。

「同期編入生に私と同年齢のかたがいて、3人の子育てをしながら幼稚園教諭免許取得を目指すと言うんです。私は免許取得のために編入したわけではなかったのですが、彼女に誘われるかたちで教職課程を選択しました。それからはもう大忙し。週6日、朝から夜7時近くまで大学にいたことも。保育との出会いを作ってくれた彼女には感謝しかありません」

大学卒業後、幼稚園教諭一種免許と保育士資格を取得し、いまも幼稚園でボランティア活動を続けている。

いまでも週1~2回、幼稚園でボランティア活動を続けている(写真提供/水野真紀)
いまでも週1~2回、幼稚園でボランティア活動を続けている(写真提供/水野真紀)
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「新たな学びのなかでの出会いや気づきが、私の人生を支えてくれています」

これからも学び、働くことで社会の役に立っていきたいと笑顔を見せた。

水野真紀の学び直しヒストリー
水野真紀の学び直しヒストリー
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◆俳優・水野真紀

東京都出身。17才のとき「東宝シンデレラ」コンテストで審査員特別賞を受賞し芸能界入り。2004年に現・徳島県知事の後藤田正純氏と結婚。1児の母。

取材・文/植木淳子

※女性セブン2025年6月5・12日号

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