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《リニア中央新幹線で”いちばん長い橋”初公開》全長754.2mの「釜無川橋りょう」工事現場に潜入!

建設中のリニア中央新幹線「釜無川橋りょう」
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8月5日、JR東海は「中央新幹線 釜無川橋りょう他新設工事」の現場を公開。山梨県内を流れる釜無川と常永川の2つの河川をまたぐ「釜無川橋りょう」と「常永川橋りょう」は、新設されるリニア山梨県駅(仮称・山梨県甲府市大津町)から約5㎞ほどの山梨県中央市に位置し、工事現場が公開されるのはこれが初めて。「釜無川橋りょう」の全長は754.2mにおよび、リニア中央新幹線が走行する品川~名古屋間では最も長い橋りょうだ。

橋りょう上からのぞむ名古屋方面。
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東京方面。
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工事は5割ほどが完成

2つの橋りょうを含む総延長区間1238mの全体着工が始まったのは、2021年4月。常永川橋りょうは同年9月、釜無川橋りょうは同年11月にそれぞれ着工した。今年5月時点で、柱や基礎などの下部工は概ね完成し、リニアが実際に走る橋桁などの上部工も5割強の進捗状況だという。報道公開後には、JR東海山梨東工事事務所の岡崎真人所長と山梨県県土整備部建設業対策室の鈴木伸太郎室長がプロジェクトについて説明。岡崎所長は「着工から着実に進め、現在は上部工を順次のばしている段階」と説明し、時速500㎞で走行するリニア新幹線を安全に走らせるために、工事の安全、環境保全を図りながら、地域住民との連携をもとに工事を進めていくと話した。

橋の上部から橋桁を左右に延ばしていく「張り出し工法」で建設される。
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基礎、柱部分から橋が左右に延びていき、つながっていく。川には足場を組めないため、移動作業車を用いてコンクリートを伸ばしていくという。
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工事現場を見られるのはいまだけ!

リニア中央新幹線は通常の鉄道とは異なり、車両を磁力で浮上して走行させるため、磁石がついたコの字型の「ガイドウェイ」が敷かれる。最終的には、防音などの環境対策のためフードなどで覆われるため、橋の外観が完成していく様子を見られる工事期間は貴重。JR東海は2026年8月までを工期としている。橋りょうが完成していく様子は、橋のたもとの「総合防災公園」などから見上げることができる。

この日は、山梨県内在住の小学5年生~大学生とその家族16名が参加しインフラ説明会も実施。普段は入ることができない、橋りょうの上部に上がり、工事担当者の説明を聞いた。参加者からかは想像以上に大きな建築物であることへの驚きや、リニア完成を楽しみにする声が上がるなど、実際に現場を見て期待感が高まった様子だった。

工事担当者の説明を聞き入るインフラ見学会の参加者たち。迫力ある橋りょうに圧巻の様子だった。
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釜無川橋りょうの高さは約16m、常永川橋りょうの高さは約19m。作業員が昇降する階段が設置されている。
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リニア中央新幹線が完成すれば品川~名古屋は約40分

品川から神奈川、山梨、長野、岐阜を通り名古屋までを結ぶリニア中央新幹線は、磁力を使った超電導リニアモーターカーで、最高時速は約500㎞。現在の新幹線最高時速320㎞を大きく超え、実走すれば品川~名古屋間を約40分で結ぶ。将来的には大阪までの延伸も計画され、自然災害や震災などにも対応できる、日本の”第二の大動脈”となることが期待されている。

工期の遅れなどから開業の具体的な時期は未定となっているが、8月7日にはリニア中央新幹線の早期実現を求める山梨県の期成同盟会の総会が開かれ、JR東海に対し静岡工区の早期着手や開業時期を明確にすることなどを求めるなどの決議が採択された。「あのとき作っていた橋の上を走っている……!」ーー工事現場を見ることで、リニアが完成したら、こんな思いを馳せながら乗ってみるのも楽しみのひとつかもしれない。

川にかかる橋りょうを上空から見た様子。/JR東海提供
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常永川橋りょうと釜無川橋りょうへと延びる、リニア中央新幹線の建設現場。/JR東海提供
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撮影/矢口和也

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