健康・医療

【放っておくと危ない病気の予兆「頭・顔」編】いつもの“偏頭痛”や“まぶたの下垂”はくも膜下出血のサインか “視野狭窄”は脳梗塞の可能性も 

放っておくと危ない病気の予兆とは(写真/PIXTA)
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 こんなことで病院に行くべきではないかも──そう悩んでいる間に、病気は静かに進行しているかもしれない。今回は専門家に、頭から足先まで「放っておくと危ない痛みと違和感」を部位別に取材した。【全3回の第1回】

 日々の忙しさの中で、体の小さなサインを「老化」や「いつものこと」とやり過ごしている人は多い。

 肩こりや頭痛、腰痛、顔のむくみ—どれもありふれた不調に思えるが、その裏には命にかかわる病気が隠れていることがある。都内在住の主婦・Aさん(59才)が言う。

「鏡を見るたびにまぶたが垂れてきたなと思っていましたが、“年のせいだろう”と特に気にしていませんでした。でもあるとき、風邪の症状で診てもらったかかりつけの内科医から“一度きちんと検査をした方がいい”と言われたので受けてみたら、肺がんだとわかりました。転移はありましたが、幸いにも分子標的薬が効いています。咳をすることはあったものの、まぶたの違和感ががんのせいだなんて想像すらしませんでした」

 菅原脳神経外科クリニック院長の菅原道仁さんは、何気ない違和感でも軽視すべきではないと話す。

「肺がんでも顔がむくんだり腫れたり、まぶたが垂れたように見えることがあります。これは、肺がんがリンパ節に転移すると『上大静脈症候群』といって、大静脈が圧迫されて血液が心臓に戻りにくくなることによる症状です。ちょっとしたむくみや腫れでも、気になる症状があれば病院を受診してください。早く見つかれば治療の選択肢は広がるし、何もなければ安心できる。自己判断では手遅れになることがあります」

「頭・顔」むくみが取れないのはがんの疑い

 まず知っておきたいのは、痛みや違和感には個人差があるということ。きくち総合診療クリニック理事長の菊池大和さんが指摘する。

「いつもの自分の体調と比較して判断することが大事になります。見分けるポイントは“これまでに感じたことのある症状か”“痛みや違和感はどのくらい続いているのか”“複数の症状が出ているか”の3つです」

 脳動脈瘤が破裂するくも膜下出血では、激しい頭痛が特徴だ。

「破裂した瞬間は、頭を突然殴られたような衝撃を感じることがほとんどです。その痛みは一瞬ではなく継続するので、異変を感じて病院に来る人は多い。ただし、まれに症状が軽い人がいて“いつもの片頭痛に似ていた”という人もいます。そこでただの片頭痛だと見逃さないよう、片頭痛が起きる予兆のような体調の変化を感じていなかったら警戒してほしい。痛みに加えて吐き気が同時にあれば、脳腫瘍や脳出血が疑われます」(菊池さん)

頭・顔に出る「予兆と病気」
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 たかが頭痛と市販薬でやり過ごしてしまう人は少なくないが、脳の病気は突然命を奪う形で姿を現すこともある。東邦大学名誉教授で循環器専門医の東丸貴信さんは、頭痛が頻繁に起きる人は一度脳のMRI検査を受けた方がいいと話す。

「くも膜下出血は、ほとんどが脳動脈瘤の破裂が原因で起きる。動脈瘤があれば必ず頭痛が起きるわけではないですが、くも膜下出血の原因になるような脳動脈瘤があるかもしれません」

 脳の病気が目に現れることもある。

「くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤が大きくなると、破裂する前にまぶたが下がってくる人がいます。まぶたの神経と血管は近い場所にあり、血管が膨れてまぶたを動かす神経を圧迫するのが原因です。

 脳梗塞では後頭葉に障害が起きるので、視野が狭くなる視野狭窄(きょうさく)が起きることがあります」(菅原さん)

 まぶた以外でも顔の症状や違和感からわかることは多いと指摘するのは、医療経済ジャーナリストの室井一辰さんだ。

「がんになるとリンパの流れが悪くなることがあり、むくみが取れない場合の背景にがんが隠れている可能性がある。首や脇の下にはリンパ節が多いので、特に顔や首がむくみやすくなります。一重まぶたの人が二重になるなどのときは、腎臓にがんなどの病気を抱えていてむくみの症状になっていることもあり得ます。

 顔色が青白いときは、白血病や心不全で貧血になっている可能性がある。大腸がんで腸から出血しているときも同様です。肝臓がんで黄疸(おうだん)が出ているときは、顔が黄色くなります」

(第2回に続く)

女性セブン2025124日号