
はだけたトレンチコートの内側に覗くのは、扇情的なレースが施された淡いピンク色のランジェリー風ロンパース。ペチパンツの裾からは、黒いストッキングに包まれた細い足が艶かしく伸びる──。
年の瀬に、そんな寒々しい装いで豪華列車のオリエント・エクスプレス号でパリ・オステルリッツ駅に颯爽と降り立ったのは、ハリウッド女優のリリー・コリンズ(36才)。彼女が主役を演じるネットフリックスのドラマ『エミリー、パリへ行く』のシーズン5の公開に合わせたプロモーションの一環だったが、居合わせたパリ市民たちは彼女の“無防備な服装”に「下着の上にコート!?」と目のやり場に困ったようだ。しかしこれは、仏ブランドのイブ・サンローランが手がけた、れっきとしたドレスなのだ。
同アイテムは、同じく12月に米テレビ番組『サタデー・ナイト・ライブ』に出演した米歌手のリリー・アレン(40才)も着用しており、世界的なファッショントレンドの一つと見ることもできる。9月に行われたサンローラン・ファッションショーでは、ブラックピンクのロゼ(28才)が同じシリーズのアイテムを身につけている。
こうしたランジェリー風ドレスを展開しているのは、イブ・サンローランだけではないという。海外ファッション事情に詳しいファッションライターが解説する。
「今年、欧米の気鋭ファッションブランドによって、就寝時に着用するナイトウェアと下着に着想を得た『ランジェリー・インスパイヤード』と呼ばれるスタイルのアイテムが続々と発表されました。LA発のブランド『リフォーメーション』は、1950年代風のギャザー入りの襟ぐりやスカラップエッジをあしらったミニドレスを展開。『外出先でも着られるヴィンテージ風ナイトガウン』として注目を集めています。ロンドン発の『ダムソン・マダー』も、花柄のレースをあしらった『夜から昼まで、何の努力もなく着こなせる』というコンセンプトのベビードール風ドレスをラインナップしています。また、12月にロンドンで行われた『ファッション・アワード』では、妊娠7か月目に入った米英女優のシエナ・ミラー(43才)が、ジバンシーのベビードール風ドレスを着用して話題となりました」