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《座右の銘はスヌーピーの言葉》シーラ・杉本宏之会長✕高知銀行・河合祐子頭取「いじめ」も乗り越え「女性初の地銀頭取」に

シーラホールディングスの杉本宏之会長
写真2枚

河合さんの座右の銘は「スヌーピー」の……

杉本:河合さんのお話をうかがっていて思い浮かぶのは、引き寄せの法則です。やっぱり物事に感謝して前向きな考え方を持つ人のもとには、いい仲間が集まってくる。私自身も20年以上、経営者として生きてきて、何度も「ここで終わりかもしれない」と追いつめられる局面がありました。でもありがたいことに、そのたびに手を差し伸べてくれる人が周囲にいた。運もありますが、それも努力のうちだと思います。

河合:1人では何もできないですからね。とはいえ、誰も彼も近くに居れば良いというわけではなく、自分の心を折りにくる人がいないということもとても重要だと思っています。心さえ折れなければ女性は人から覚えてもらいやすいというメリットがあるので、それをありがたく使わせていただければよい。会社組織の中で女性が少人数という場面では、成果を出せば目に留まって、「よくやった」と評価されやすい部分はやっぱりありますからね。

杉本:ただ性別に限らず、妬みや嫉妬などから現実には“心を折りにくる人”も過去にいたと思います。どのように対処されてきましたか?

河合:結局は自分の心の持ち方です。自分の軸を持ち、他者の言葉に反応しすぎないことですね。私の座右の銘は、スヌーピーの言葉です。
《僕のことを好きじゃない誰かのことで、くよくよする時間はないんだ。僕は、僕を大好きでいてくれる人を大好きでいるのに、忙しすぎるから》
つまり、心を折りにこようとする人に、自分の心や時間を必要以上に奪われる必要はないんです。自分を好きでいてくれる人に重きをおけばいい。

杉本:スヌーピーとは意外でした。人を批判するために立ち止まるよりも、前に進み仲間とともに未来を考える。とても心に刺さる素敵な言葉ですね。私は、父が海軍として戦争を経験していた影響もあって、山本五十六の《言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かじ》という言葉が、上場を経験したことでより深く心に響くようになりました。

河合:そうだったのですね。とても経営者らしい言葉だと思います。

杉本:ありがとうございます。いくら折れない心を持っていても、人の上に立って組織をまとめる立場になると、人間関係の見え方も違ってくると思います。部下をまとめるうえでの大変さはありますか?

河合:人をまとめるのが、大変だと思うことはそう多くありません。いろんな人がいても個性の違いですし、それぞれの考え方や立場を尊重しながら、最終的に組織として一つの方向に向かえばいいと思っています。能力も含めてみんなが違って当然で、意見がぶつかるのも自然なことです。なので、一つの方向に無理に固めていこうとはしないですね。

杉本:なるほど。共感できるところがとても多いです。昔は社員の個性なんておかまいなしで、ただ数字と業績だけを追って尻を叩いて働かせていた時期がありました。それが1つ目の会社を民事再生させた一因だと感じ、このままでは同じ失敗を繰り返してしまう。そう思い、いまは人材や文化を幅を持って根付かせていくことが結果として会社の成長に繋がっていくと気づかされています。
話は変わりますが、河合さんとお話ししていると、力強いパワーというか、あふれる自信を感じます。子供の頃からいまのようなエリートタイプだったんですか。

河合:いえいえ、そんなことはありません(笑い)。小学校のときは実はいじめにあっていて、自分に自信を持てなかったんです。そんな環境の中でも勉強はしていましたが、それは自己肯定感を高めるためというのもあったと思います。勉強くらいしか自分を認めてもらう手法が学生時代にはなかった。だからエリート街道の真ん中を歩いてきたわけでは全然なかったし、いまでもそんなに自己肯定感は高くないんですよ。

杉本:そんな辛い経験をされていたとは存じ上げませんでした。でも、そうして少しずつ努力を積み上げてきたからこそ、いまの河合さんがいる。学歴などを拝見すると華やかな印象ですが、ご本人にうかがってみないとわからないものですね。
実は私もこう見えて小学校時代にいじめられていました。高校に入ると父親との確執もあって、その反動でグレたこともあるんです。それで、河合さんとは真逆の方向にいってしまった時期もあったんですけれど(笑い)。でもどんな過去も無駄じゃない。遠回りしても自分を見失わなければいいのだと思います。

河合:素敵な考えですね。過去を振り返ってみると、そこには両親だったり数少ない友人だったり当時の同僚や先輩だったりと、必ず人がいます。その過去の支えが自分を見失わない大事なカギだった気がします。(後編へ続く)