健康・医療

《介護予防指導士が指南》認知機能低下を予防する簡単「指トレ」8つ 「ひとりじゃんけん」も効果的

箸を持っている
指を動かす簡単トレーニングで認知機能をアップさせよう(写真/PIXTA)
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加齢とともに出てこなくなる人の名前や固有名詞、昔の記憶。「アレ、何ていう名前だったっけ?」が増えると不安な気持ちに―そんな不安を解消してくれるのが「指トレ」。特別な道具は一切不要! いつでも、どこでもすぐできる「指トレ」のやり方を介護福祉士・介護予防指導士の大野孝徳さんが教えてくれた。

なぜ手指の「動き」が認知機能の維持に重要なのか?

認知機能向上、脳の活性化のため、高齢者施設などでは指を使ったトレーニングが取り入れられる。なぜ指を動かすといいのか、そして具体的にどんな効果が得られるのか。

「手や指の神経は脳と密接につながっており、『第2の脳』と呼ばれています。すなわち手指を動かすと脳が刺激を受け、血流量が増えて活性化するのです。ただ、認知機能が落ちてくると物を掴むことや、目標物が見えているのに的確に触ることが難しくなります。そうした機能低下を防ぐためにも指トレーニングが必要になるのです」(大野さん・以下同)

大脳にあり、記憶や学習の働きを担う「前頭前野」や運動の指令を出す「運動野」、空間認識や知覚にかかわる「頭頂葉」などの働きが、指を動かすことで活発になる。

「手指の動きは体全体の動きの半分を占めているといってもいいほど活動量が多い上、掴む、つまむ、伸ばすなど、ほかのどの部位よりも複雑です。これらができるのも脳を動かしているから。すき間時間があれば、常にたくさん動かすといいでしょう」

空き時間に移動時間に「脳が活性化する指トレーニング」

難しいほど脳にいい。この中から苦手な指トレだけに挑戦してみよう。時間・回数に決まりはなし。

【1】脳の切り替え機能を鍛える「ひとりじゃんけん」

左右の手で勝ち負けがつくようにじゃんけんをする。まず、右手を勝たせるなら右がグー、左がチョキ→右がパー、左がグー→右がチョキ、左がパーのように順繰りに行う。次に、左手を勝たせるじゃんけんを行う。

「ひとりじゃんけん」のイメージ
左右の手で勝ち負けがつくように勝負する「ひとりじゃんけん」のイメージ(イラスト/つぼいひろき)
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「難しければ、最初はグーパーだけのじゃんけんでもOKです」

【2】集中力を高める「親指かくれんぼ」

両手ともに、指の中に親指を隠すグーをつくったら、パーに開き、次に、親指を外に出したグーをつくる。これをリズミカルに何回か繰り返す。

「親指かくれんぼ」のイメージ
親指だけ独立した動きをする「親指かくれんぼ」(イラスト/つぼいひろき)
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「親指だけの独立した動きが必要になるため、集中力が養われます。簡単にできる人は次のトレーニングに進みましょう」

【3】巧緻性(手指を器用にスムーズに動かす)を高める「左右バラバラ足し算」

まず、両手の指を折りながら10を数える。次に、その応用編に挑戦。片方の手は親指を折り(すでに1を数えた状態)、もう片方はパーに開く。そこから指を折りながら10数えていく。最初と同じ手の形に戻っていればOK。

「左右バラバラ足し算」のイメージ
指が1本ずつずれている状態で、正しく10数える「左右バラバラ足し算」(イラスト/つぼいひろき)
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「指が1本ずつずれている状態で、正しく10が数えられるかの練習です。これは難関です!」

【4】ワーキングメモリ(作業記憶・作動記憶)を鍛える「親指・小指入れ替え」

両手を握った状態で、左手は親指だけを横に出す。右手は小指だけを上に出す。次に、左手は親指をひっこめて小指を出し、右手は小指を折って親指を出す。これを何回か繰り返す。

「親指・小指入れ替え」のイメージ
親指と小指を交互に出す「親指・小指入れ替え」(イラスト/つぼいひろき)
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「これは上級のトレーニング。私も苦手で、なかなかうまくできません(笑い)」

【5】空間認識能力、脳の切り替え機能を鍛える「親指&ほかの指タッチ」

親指と人差し指をタッチする。次に、親指と中指、薬指、小指の順にタッチする(両手同時に)。慣れてきたら、自分で「中指」「小指」などと指を選んで指令を出しながら親指にタッチしていく。

「親指&ほかの指タッチ」のイメージ
親指で順に指に触れていく「親指&ほかの指タッチ」(イラスト/つぼいひろき)
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「指の名前はわかっていても、認知機能が下がるとうまくタッチできなくなります。誰かほかの人に指令を出してもらうとより難易度が上がります」

【6】認知機能にかかわる脳部位の活性化「箸で豆を掴む」

豆(乾燥豆や煮豆、お菓子の豆などなんでもOK)を1粒ずつ箸で掴み、別皿に運ぶ。

「箸で豆を掴む」イメージ
豆を1粒ずつ移動させる「箸で豆を掴む」(イラスト/つぼいひろき)
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「病気や事故で手の神経がまひした患者さんの作業療法としてもよく行われている方法で、認知症予防にもおすすめです。簡単にできる人は、利き手とは反対の手で行うといいでしょう」

【7】握力アップ「ぞうきん絞り」

ぞうきんを縦絞りする。次に、上下の手を入れ替えて同様に行う。

「ぞうきん絞り」のイメージ
手を上下に入れ替えて繰り返す「ぞうきん絞り」(イラスト/つぼいひろき)
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「握力が低下すると指が動かしにくくなり、認知機能が下がることもあるため、握力強化も重要です。ペットボトルのふたが開けづらくなったら始め時です」

【8】握力アップ「前腕の筋トレ」

まっすぐ立つか椅子に座り、ひじを直角に曲げる。手を軽く握ったら手首だけを内側に曲げ、戻す。これをリズミカルに繰り返す。

「前腕の筋トレ」のイメージ
リズミカルに手を握り、手首を動かす「前腕の筋トレ」(イラスト/つぼいひろき)
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「軽い運動なので、少し疲れたと感じるくらい続けましょう。個人差がありますが、目安は15〜16回」

両手で行っても、片手ずつでもOK。

◆教えてくれたのは:介護福祉士・介護予防指導士・大野孝徳さん

介護や福祉にかかわる多くの資格を取得し、年齢を問わず、健康に長生きするための健康指導を行う。A-assist代表。https://llc-a-assist.co.jp/

取材・文/佐藤有栄

※女性セブン2026年1月29日号