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「生きていること自体が宝物だと最近しみじみ思う」と語る安藤和津が明かす“奥田瑛二との夫婦関係” アンミカは「やっぱり和津さんは利他の極み」

安藤和津とアンミカ
安藤和津とアンミカが対談!(撮影/飯岡拓也)
写真3枚

大きな笑顔でいつもポジティブなモデル・俳優のアンミカさんが、お迎えしたゲストの人生を軽快かつ奥行きのあるトークで深掘りする連載「アンミカのカラフル幸福論」(女性セブン掲載)。第4回となる今回は、エッセイスト・コメンテーター・安藤和津さんとの対談後編。「幸せは色彩豊かじゃないといけない」と話す安藤さんが前編で語ったのは壮絶な幼少期と介護うつで悩んだ“モノクロの世界”。後編では、それでもポジティブに人生を歩む安藤さんの口から、夫婦関係の局面が変わる衝撃発言が飛び出して…!?

77才のいま、本気で卒婚します

アンミカ:後編では和津さんと奥田さん(俳優・監督の奥田瑛二)ご夫婦の話を聞きたいと思っています。家族ぐるみで仲よくしていただいていて感じるのは、奥田さんのパートナーは和津さんじゃないと無理!ということ。奥田さんがどれだけ自信みなぎる雰囲気でドシッとされていても「和津さんがいらっしゃるからですよ!」っていつも思います。

安藤:ありがとう! でもね、そろそろ“長男”の手を離すときが来たなと思っていて。10年以上前に卒婚宣言をしたんですが、孫が生まれたのをきっかけに、私が“家事バァバ”をやり始めると、なし崩し的にいつのまにか夫も紛れ込んできちゃってたの(笑い)。

アンミカ:娘さんたち(映画監督の安藤桃子、俳優の安藤サクラ)も第一線で活躍されていますから、お孫さんの面倒を見ることは2人を応援することになりますもんね。でも、それはあくまで娘と母親の話であって…。

安藤:私も母に助けてもらいながら子育てをしたので、同じように娘の子育てを支えたい。30~40代なんて働き盛りじゃない? でもそこにもれなく大きな“長男”が、孫と一緒についてくるのよ。いよいよ体力の限界ですから、77才のいま、本気で卒婚します!

アンミカ:1回目の卒婚宣言よりも、温度と濃さが違いそうです。

聞こえてこない「ありがとう」

アンミカ:夫婦生活を振り返ると、やっぱり奥田さんのことを支える場面が多かったですか?

安藤:自分で言うのも変ですが、支えてきたと思います。奥田が映画製作で大借金をしたときは、初対面のかたに土下座までして資金集めに奔走しました。

アンミカ:親しい映画関係者にお金を持ち逃げされてしまったんですよね?

安藤:そうなの。夫婦ともども性善説の人間だから、そんな悪い人がいるのかとショックでした。ほかにも怪しい投資話に夫が乗っかっちゃったり。

アンミカ:そんなことまであったんですね…。

安藤:映画を作るのって数億円かかるんです。最初の映画のときに、明日のロケのお弁当代が払えないと言うから家中のお金をかき集めて、自分でやっと買ったブランド品や毛皮や宝石を何もかも売り尽くして。

そして次の作品を撮るときに、また同じことの繰り返し(笑い)。夫は過去から学んで立ち止まるよりも、いま作りたいという情熱が先に立つ人なのよね。

アンミカ:映画監督に向いている気質なのかもしれないですね。でもそうやって情熱を持って作り続けられるのは、和津さんの支えがあってこそ。和津さんは求めていないかもしれないですけど、奥田さんって感謝の気持ちを 「ありがとう」と口に出すタイプですか?

安藤:言いたくないタイプなの。だって典型的な昭和夫ですから。でも映画製作の会社もあるし、夫婦でもありチームでもあるから潰すわけにはいかないじゃない?

アンミカ:お金集めに協力されているけど、それは社員だからではなくチームだから。義務感ではない情熱を和津さんからも感じます。

安藤和津
安藤和津(撮影/飯岡拓也)
写真3枚

安藤:それなのにあの人は、自分の仕事は聖域だと思っているから私を会社のメンバーにはしたくないの。私はね、自分のことを“獏のフン掃除係”と呼んでいます。獏って夢を食べて生きているでしょう? それで、夢の食べかすとしてフンをするじゃない? それをせっせとほうきできれいにするのが私の役目だと思うの。

アンミカ:そうやってユーモラスなたとえを使いながら「まぁいっか、私がいないとダメなんでしょ」とサポートに徹する。やっぱり和津さんは利他の極みだと思います。恨みごとは言わず、だからといってきれいごとじゃなく、しっかり事実も伝えながら、ユーモアという逃げ道を残す。相手を四面楚歌にしない寛大さが光っています。千手観音さまみたい。

安藤:恨みの代わりに鋭い刃を一つの手に忍ばせている、きつい毒を吐く千手観音(笑い)。

アンミカ:もう、面白すぎます(笑い)。どんどんユーモアのある毒を吐いてください。そうもしなくてはしんどい世の中ですから。

安藤:そうね、内に毒をためちゃだめよね。

なんでもできるけど、なんにもしない…

安藤:これからもチームとして夫を最大限支えるけれど、「明日の朝5時に炊きたてのごはんで作ったおにぎりを用意して」と夜中に突然言いだして、妻が応じることを当たり前と思わない夫と過ごす生活にしたいです。

アンミカ:それは、リアルな生活でのエピソードですか?

安藤:もちろんそうよ。

アンミカ:それは大変! せめて、そこに 「ありがとう」のひと言があれば、ですよね。言葉はその人の心ですから。昭和の男だからとか、おれは昔からこうなんだとか関係なくて。

安藤:言葉は絶対に大事よね。そういった卒婚の理由もきちっと夫に説明します。

アンミカ:奥田さんはそれを聞いてどうなさるんだろう。でも、何があってもぼくから離れない、妻は支えてくれるという自信があるのかもしれませんね。

安藤:まさにそう。先日、私が脚本を手伝った映画のトークイベントがあったときに「妻が脚本を肉付けした」と、初めて公共の場で言ってくれたのね。20年以上の年月をかけてやっと認めてくれたと壇上でうるうるしたんだけど、それもつかの間。イベント中に「ぼくが何をしても、この人は認めてくれるから」と言ったのよ! 即座に「認めません!」と返しといた。

アンミカ:改めてそうやって言葉にされるときっぱり否定しなくては、と思いますよね。甘えるんじゃない!って。

安藤:でも、あの年代の男の人って、みんなそうなのよ。“これが男だ”と思ってる。ご近所の同年代の奥さんたちと女子会をしていると、みんな「ウチの旦那、どうにかしてほしい」って本当に同じこと言ってますね。男性たちが時代に取り残されちゃってるのよね。

アンミカ:ウチはたまたま国際結婚だから、その悩みがないのはラッキーなのかもしれません。アメリカでは、年頃になると親元を離れて生活を始めることが、自立や責任感を育てる大切な一歩と考えられています。「信頼して送り出すこと」が、家族の愛情表現でもあるようです。

昭和世代の日本人男性が家事を妻に任せきりで自立できないまま定年退職を迎えたときに、急に妻から離婚を突きつけられて、孤独死するケースなどが、すごく心配なんです。

安藤:そういう話は最近よく聞くわよね。

アンミカ:奥さん側は、さんざん無碍にされてきて、まだ面倒をみるんですか?って気持ちになるからバッサリと切るわけで。

安藤:でも何が腹立つって、ウチの夫はなんでもできるのよ。

アンミカ:できるんかーいっ!

安藤:いろいろな役をやっているから器用なの。お寿司は握れるし、カリフォルニアロールのような裏巻きまでできるのよ。それなのに私が料理していても「手伝おうか?」とかもない、子供や孫がいても先に食べ始めちゃう。私がコロナになったときなんて、うつると大変だからと、看病どころかとっとと家からいなくなっちゃって。

アンミカ:私だったら、ちゃぶ台を100台くらい並べて、毎日ひっくり返して憂さ晴らしをしちゃいます!

暗闇の出口は不意にやってくる。私もスポーンと急に飛び出した

アンミカ:和津さんはどうストレスを発散されているんですか?

安藤:仲よしメンバーと麻雀かな。勝っても負けても楽しいし、勝つとスカーッとしますよ。

アンミカ:私、麻雀にすごく興味があって、老化防止に始めたいねってテディ(夫の愛称)とふたりでよく話しているんです。

安藤:一緒にやろう!

アンミカ:ぜひ! 麻雀は仲よしな4人が揃わないとできないですもんね。

アンミカ
アンミカ(撮影/飯岡拓也)
写真3枚

安藤:ピーター(池畑慎之介)でしょ、北原さん(ブリキのおもちゃコレクター・北原照久さん)夫妻でしょ。あと、モデルの秀香の家が雀荘なの。

アンミカ:うわぁ、ピーターさんは恩人ですし、秀香さんは大尊敬するモデルの先輩です。ぜひ、仲間に入れていただきたいです。

安藤:もちろん! でもうるさい麻雀よ。誰かがリーチとなると辺見マリさんの『経験』のメロディーに乗せて『やめてぇ、リーチはやめてぇ♪』と合唱して踊りだすの。

アンミカ:すごい楽しそう! みなさんで大笑いされている光景が浮かんで、それだけで気分が明るくなります。お母さまの介護でご苦労が続いた時期に、和津さんの目に映る世界から色が消えてしまったと前編でうかがいました。でも、いまは、お孫さんたちやニャンコ、麻雀仲間など愛する宝物に囲まれて、カラフルな毎日を心軽やかに過ごされているんですね。

安藤:生きていること自体が宝物だなって最近しみじみ思うの。きれいな色がちゃんと目に入ってきて、味がしなかった食べ物をおいしいと味わえて。

うつ状態から元の自分に戻れたきっかけがね、さっきアンミカちゃんが大笑いする光景が浮かぶと話してくれたけれど、ずばり笑った瞬間だったの。苦しいトンネルの中にいたある日、テレビでお笑いを見てプッと噴きだした途端、口から“まっくろくろすけ”みたいな黒い球も一緒にプッと出てきた気がしたの。そこでパッと魔法がとけたみたいにモノクロだった世界がカラフルになった。本当に不思議な経験でした。

アンミカ:笑うって本当に大事で、笑うことで取り戻せるものがある。いま、暗闇の中にいるかたたちも多いと思うので、「何かちょっとしたきっかけで出口はある」とお伝えしたいですね。

安藤:出口は不意なタイミングにやってくると思います。私は暗闇から光のある世界へ、スポーンと急に飛び出しましたから。

アンミカ:私が好きな言葉に、与謝蕪村の「この泥が あればこそ咲け 蓮の花」という句があります。蓮の花は真っ暗な冷たい泥の中から光だけを信じて上がってくる。つらい時期を経験したうえで水面に上がるからこそ、花や葉の力強い美しさがあるのだと思います。

夫婦愛?男女愛?人間愛?家族愛?

安藤:蓮のように暗闇のトンネルの中に居ても日々少しずつ、少しずつでも変化はしていく。ウチの旦那もね、孫ができてやっと少しずつ愛というものを表現できるようになったの。

アンミカ:家族みんなで「大好きだよ」と言い合っているんですよね。素敵な関係です。

安藤:私が言葉にするのは娘たちと孫たちね。夫には大好きだよとは言わないもの。

アンミカ:あらー! 言わないだけで、愛はあるんでしょうけどね。

安藤:夫婦愛、男女愛があるかはわからないけど、人間愛や家族愛はあるかな?

アンミカ:それをうかがって安心しました(笑い)。和津さんの話って全部オチがあってあたたかいですよね。麻雀の会も、楽しみにしています!

安藤和津さんのHLLSPD

安藤さんに、Happy、Lucky、Love、Smile、Peace、Dreamについて答えてもらいました。今回はSmile、Peace、Dreamについて直撃!

Smile:あなたを笑顔にする宝物は?

孫たち、娘たち、ニャンコたち。

Peace:心が穏やかになる趣味や場所は?

陶芸を始めました。土に触れ、ろくろに向き合い、金継ぎに集中しているときは心が穏やか。

Dream:子供の頃の夢は?

中学・高校生→小説家と舞台女優

大学生→ジャーナリスト

◆モデル・俳優・アンミカ

アン ミカ/1972年生まれ。1993年パリコレ初参加。モデル業以外にもテレビ・ラジオMC、俳優、歌手、テレビCM出演と多彩に活躍。20個以上の資格を生かし、さまざまな商品をプロデュース。

◆エッセイスト・コメンテーター・安藤和津

あんどう かづ/1948年生まれ。キャスターを経て、エッセイストやコメンテーターとして活躍。自身の介護体験をもとにした著書多数。講演活動も行う。夫は俳優・映画監督の奥田瑛二。長女は映画監督の安藤桃子、次女は俳優の安藤サクラ。

 衣装:ブラウス、スカート/ともにLEONARD ピアス、リング/ともにアジュテア ケイ(アンミカさん)、ブラウス、パンツ/DUE deux(安藤和津さん)

※女性セブン2026年2月12日号