
いつも笑顔で前向きなアンミカさんがゲストの人生を深掘りする新連載「アンミカのカラフル幸福論」が、「女性セブン」で掲載中。前編では宝塚時代に挑戦を重ねて道を切り開いた過去を語った大地真央さん。後編では逆境を越える心の持ち方や、いまの幸せを教えていただきます。
「人生がカラフルだと人間味が出て、意外性が魅力にもなるんです」
アンミカ:人生にはたくさんの幸せがあって、そのひとつが、舞台空間でお客さまや共演者と過ごす時間だと前編でうかがいました。少し視点を変えて、プライベートな日常のなかにある幸せはいかがですか。
大地:家族と過ごすなかでの一つひとつの出来事がやっぱり幸せですね。私の話を聞いてもらってばかりなので、せっかくだからアンミカさんのプライベートでの幸せなお話を聞きたいです。
アンミカ:私は早起きして、夫(アメリカ人実業家、映像プロデューサーのセオドール・ミラーさん)の寝顔を眺めるのが趣味で、バラ色の頰や金色のまつげを見ながら毎朝泣くんです。“こんなにかわいい旦那さんが隣にいるんだわ”って。彼にしてみたら、起きると黒髪のスッピンの女が間近で泣いているわけなので、「心臓発作で倒れるよ!」とよく怒られていますけど(笑い)。
大地:あはは。そういうユーモアのある関係性、素敵ですね。
アンミカ:大地さんご夫婦にお会いした際、すごく空気がまあるくて、幸せオーラが満開だったのを覚えています。旦那さまの森田恭通さんはインテリアデザイナーですが、お住まいの内装はやっぱり森田さんが?
大地:全部彼にお任せしました。リビングの壁にはタンスの肥やしになっていた私のエルメスのスカーフが一面に飾られているんです。ソファは紫色。初めて見たときはビックリしましたけど、これが全然飽きなくて。家を建てて18年経ちますけれど、昔もいまもホッとする空間です。
アンミカ:お持ちのものの生かし方や色彩の感覚が光っていますね。「ここだけは私のサンクチュアリ」という大地さんの譲れないこだわりは、おうちのなかでどこかありますか。
大地:メイクルームのドレッサーの高さなどは私からリクエストしました。このドレッサーには驚かされることがあったんです。俳優として戦いに出る準備のための場だからと、夫が台の部分を白のクロコダイルで作ったんですよ! 「汚れたら替えるから気軽に使って」と言われても、クロコダイルですからね…。汚さないように白いタオルで覆って、たまにめくってちらっと覗いています。
アンミカ:せっかくのクロコダイルが隠れちゃってるんですね(笑い)。ご自宅では猫ちゃんも癒しだそうですね。

大地:4匹いるんですが、それぞれに性格が違って最高に愛らしいんです♡
アンミカ:私が30代の頃、NHKの『4時です 上方俱楽部』という番組のアシスタントをさせていただいているときに、大地さんがゲストでいらして。もう20年ほど前ですが、そのときも猫ちゃんたち5匹と過ごしていると話されていたのを覚えています。
大地:そうでしたね。猫はずっと飼っていて、いちばん多くて7匹いたことがあります。でも私、30年ほど前に猫アレルギーになったんですよ。俳優をとるか、猫をとるか、究極の選択を迫られたんですが、どちらも捨てられるわけがない。なのでできる限りの努力をしましたね。
掃除機はもちろん、猫と会うときはマスク、コロコロ、空気清浄機と考えつく対策はすべてやって、猫にこまめにシャンプーもしてもらって。そうしていると、1年半くらいで克服できました。いまではまったくアレルギーは出ないです。
アンミカ:すごいです! これぞ、「そこに愛はあるんか!」。
大地:あはは。またいつアレルギーになるかわからないから、寝室は別ですけどね(笑い)。
心が沈む日はシャワールームで1人おしゃべり
アンミカ:寝室は眠るための神聖な空間ですものね。心が穏やかになる場所も寝室ですか?
大地:お風呂かな。浴室も居心地のいいデザインで、モザイクタイルみたいなちっちゃいタイルのなかに、ときどきプラチナがキラッと混じっているんですよ。
アンミカ:宝探しみたいでうきうきするお風呂!
大地:湯船につかってぽけーっとしていると癒されるんです。
アンミカ:大地さんの穏やかさとピースフルな空気、そして輝く美の秘訣は、お風呂時間にあったんですね。オススメの入浴法はありますか?
大地:入浴するときはお塩や炭酸のタブレットを入れますね。心が沈むことがあったらシャワールームで自問自答することもあります。でもネガティブなことは口には出さず心でつぶやいて、「何言ってんのよ、大丈夫よ」とポジティブなことだけを口に出して自問自答していると“私っておかしな人”とプッと笑えてくるんです。それからレインシャワーをバーッと浴びると、すっきりします。
アンミカ:自分は文字にすると《自我を分ける》と書きますものね。「もぉ~、なんでこうやねん!」と言いっぱなしの人は同じことを繰り返すけれど、別の自分が「いやいや、そんなん言うてもしゃあないやん。そのときのベストやったんやから」と落ち着かせられる人は区切りがつく。最近そう聞きました。
いま、しんどい心の置きどころがわからない人がすごく多い気がするんです。疲れた心から目をそらしてやり過ごそうとしたり、乗り越えようと頑張りすぎてさらに疲れたり。
公演初日の前日に父の訃報を知った
アンミカ:生きているとハードなことは多くあると思いますが、大地さんはどう向き合ってきましたか。
大地:私の人生でいちばんハードだと感じたのは、両親が亡くなったときです。父との別れは40年以上前の宝塚時代でした。
アンミカ:最初は芸能界入りを反対されていたけれど、愛娘の活躍を人一倍応援してくださった、元職業軍人のお父さまですね。
大地:父が亡くなったと仕事関係者から聞いたのは宝塚の東京公演初日の前日でした。気持ちを抑えきれず、スタッフに止められましたが、淡路島の実家に帰ることにしたんです。
向かう最中に自動車電話を使って自宅へ電話。すると姉が「何言っているの、お父さんは元気よ」と気丈な声で話すんですが、母に代わってと頼んだら、そのあと“ピンポン、ピンポン…”とずっと保留音のままで話せなくて。電話をしたときにはすでに亡くなっていたので、母は嘘を言えずに出られなかったんですね。
アンミカ:お姉さまの愛情ゆえのお芝居だったんですね…。
大地:姉も次に話したときは大泣きでした。家族は私の心配をしてくれましたが、「私は絶対、舞台に穴をあけないから」と説得して船に乗って30分だけ淡路島の実家へ。その後、伊丹空港へ向かって飛行機でとんぼ返りして楽屋へ直行して、舞台に立ちました。
ただ、その舞台に「父の形見のこの地図を…」というセリフがあったんです。このセリフを言うのは、毎回つらかったですね。このとき、兄と妹の2役を演じていたのですが、妹はとぼけたキャラクターに作っていたこともあって、「こんなときにも人を笑わせなければいけないの?」と葛藤しましたね。
皆さんに心配をかけるから千秋楽までは泣くまいと、がまんし続けて、いざ千秋楽になって思いっきり泣けると思ったけど、泣けるものではなかったんですよね。いまだに父のことで思いっきり泣いた記憶がないんです。
アンミカ:その葛藤は俳優業の性、宿命といいますか…。
大地:プロとしては公演前日に帰郷してはいけなかったのかなとも思うんです。でも父に守られているようなヘンな自信があったんですよ。
置かれた環境のなかで心の目線を変えること
アンミカ:大地さんはいつも不思議な力に護られている気がします。晴れ女だったりします?
大地:はい。もう絶対晴れます。屋外の撮影は必ず晴れますし、撮影が終わって車に乗った瞬間にバーッと大雨になった経験もあります。
アンミカ:やっぱり! お父さまとお別れする悲しみを泣いて吐き出すことはできなかったけれど、ご自身の力、そしていろいろなご加護も信じて、悲しみを乗り越えられたんですね。
大地:乗り越えられない壁は与えられないと信じているんです。落ち込みたければ、落ち込めばいい。それをバネにして自分自身を奮い立たせるようにしています。

アンミカ:大地さんは柔軟な発想をお持ちですよね。その柔軟さによって、どんな逆境にあってもラッキーを見つけてこられたんだろうなって思います。
大地:私は運がいいなとつくづく思うんです。宝塚に入学できてお芝居を学べて、優等生として歩んできたわけではないのにトップをやらせていただいて、気づけば初舞台から52年ですから。
アンミカ:私の年齢とほぼ同じ!
大地:ということはアンミカさんが生まれた頃に私は初舞台を踏んでいるわけですね。いやぁ、アンミカちゃ~ん! 赤ちゃんみたいに思えてきたわ(笑い)。
アンミカ:んもうっ、キュートすぎます! きらっきらでつやっつやしたお肌を見ていると、時間の経過が信じられません。
大地:そう感じていただけるのもラッキーなんですよ。
アンミカ:お客さまを楽しませたいという気持ちや日頃のお手入れの賜物でしょうが、これまでの活動のなかで体調を崩されてどうしようもなくなったことなんてありましたか?
大地:宝塚を29才で退団した後、『クレオパトラ』(1997年)の公演中に声が出なくなったんです。人生で初めての休演という、それはそれは悔しい経験をしました。でも「クレオパトラをやれるのは大地真央しかいない」と劇場側が休館にしてくださって、大勢の関係者が祈って待っていてくださったんです。その想いが奇跡を呼んで、1週間の休演後には病院から劇場へ通えるまでに回復しました。
アンミカ:自分を待ってくれている人がたくさんいるということに、身も心も励まされますよね。
大地:本当に。私も絶対に大丈夫と信じて、入院中は24時間点滴をしていたんですが、点滴スタンドに「ポチ」と名前を付けて点滴スタンドと仲よくしたり(笑い)。置かれた環境で自分の力でテンションを上げていこうと努めました。
アンミカ:ポチ! なんてかわいいんですか! 心身が衰えたときにそうして気で負けないことは大事ですものね。心の目線を変える大地さんの姿勢は勉強になります。その後、声は問題なく出るようになったんですか。
大地:はい。ボイストレーニングをやり直したら、いままで出なかったキーまで伸びちゃって。
アンミカ:やっぱり、逆境でもラッキーを見つけていらっしゃる(笑い)。大地さんとお会いすると気持ちがパッと明るくなります。
小さい頃からダジャレ好きとおっしゃっていましたけれど、関西魂で笑いを大切にされているのも共感します。どんなに悲しいテーマでも人生には必ず笑いのシーンがありますものね。
大地:そう思います。ずーっとブルーとかホワイトとか、一色だけの人はいませんよね。カラフルだからこそ人間味が出て、意外性が魅力にもなる。役作りでも常に心がけています。
アンミカ:凜としたなかにもユーモアを。人生、深刻になりすぎずに気楽に楽しむ極意を今日は学ばせていただきました!
大地真央さんのHLLSPD
大地真央さんに、Happy、Lucky、Love、Smile、Peace、Dreamについて答えてもらいました。今回はSmile、Peace、Dreamについて直撃!
Smile: 幼い頃はどんな子供でしたか?
内弁慶
Peace:心が穏やかになる場所は?
浴室
Dream:これからの目標は?
これまでと変わらず一つひとつの仕事に真摯な態度で向き合う
◆アン ミカ
1972年生まれ。1993年パリコレ初参加。モデル業以外にもテレビ・ラジオMC、俳優、歌手、テレビCM出演と多彩に活躍。20個以上の資格を生かし、さまざまな商品をプロデュース。
◆大地真央
兵庫県出身。宝塚歌劇団に入団後、月組男役トップスターとして一時代を築く。退団後は、舞台を中心にテレビ、映画、CMで輝きを放ち続けている。芸術祭大賞ほか、受賞歴多数。
衣装:ジャケット、パンツ/ともにジョセフ ブラウス/ZARA ブレスレット、ピアス/ともにグロッセジャパン(アンミカさん)、コルコバード(大地真央さん)
※女性セブン2026年1月29日号