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《穏やかで苦しみのない最期を迎えるために…》「緩和ケア医」「在宅医」の選び方 医学的な正しさを追求するよりも“患者の望む生き方”をサポートする医師を

穏やかで苦しみのない死を迎えるために必要なこと

 幸せに死ぬには、優秀な医師と出会い、家族のサポートを受けるずっと前から準備しておくことがある。後閑さんは「痛くない死に方につながる生活習慣が大切」と話す。

「痛くない死に方ができるのは単に運がいい人ではなく、早めに準備を重ねた人です。自分らしい最期を迎えるには『食べる力を保つ』『人と話す』『歩く・動く習慣』『孤独になりすぎない』『自分の気持ちを言葉にする』という習慣を身につけることが必須です」

 安井さんは「体力」に注目する。

「誰しも病気を完全に防ぐことはできないので、いくつになっても体力をつけることが重要です。筋トレやウオーキングなどで基礎体力をつけて日常生活動作能力(ADL)を上げておけば、たとえば脳梗塞になっても元のように動ける可能性が高くなる。ADLを下げないよう日常から努力することはピンピンコロリにもつながります」

家族の誰かに、“委ねる”ことができたら、最期の迎え方が大きく変わるという(写真/PIXTA)
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 小澤さんは「何より大切なのは患者本人の気の持ちようだ」と訴える。

「死期が迫ってきた際、体が弱って自力でトイレに行けなくなると、多くの患者は精神的に落ち込んで尊厳を失います。でもそのとき、家族の誰かに“委ねる”ことができたら最期の迎え方が大きく変わります」

 小澤さんの知る80代女性はすい臓がんの末期で、在宅で緩和ケアをしていたが次第に歩けなくなり、絶望のあまり毎晩悪い夢を見るようになった。

「でもあるとき、もうここまで来たら息子に任せようと介護のすべてを委ねることを決意した瞬間、彼女は笑顔を取り戻して悪夢を見なくなりました。いくら医療が痛みを取り除いても、本人が失った尊厳は戻ってきません。それにいくら自分らしく後悔しない最期を迎えようとしても、死が迫ると人間はできることが極端に少なくなります。だからこそ穏やかで苦しみのない死を迎えるには、本人がありのままの現実を受け入れて、信頼できる誰かにすべてを委ねることが必要になるのです」(小澤さん)

 命のともしびが消えるとき、そっと穏やかに暗くなりたい——最期に寄り添う専門家たちの意見をヒントに自分なりのやり方で、理想の死の準備をしてほしい。

日本人の死因トップは「がん」
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家族の死は「痛そう」だったか
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(前編から読む)

女性セブン202621926日号

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