マネー

《ただ預けるだけじゃもったいない》シニア層が活用したい「銀行サービス」 手数料無料、金利優遇、終活サポート、買い物代金割引、家事代行など

通帳を見る男女
具体的にどの銀行に預けるとお得なのか(写真/Getty Images)
写真5枚

物価が上がり続けているいま、年金生活に入ったシニア層がすべきことは、金融資産を減らさない努力。投資などのリスクを取って増やすのではなく、銀行のお得なシニア向けサービスを活用して、安全な方法で預けつつ増やすこと。その具体策を紹介する。

2024年以降、銀行の情勢が大きく変わった

「日本銀行が長年続けてきた『マイナス金利政策』が2024年3月に解除され、金利の引き上げが始まったいま、銀行は方針を変え、個人の預貯金を積極的に集めています。

なかでも各銀行はシニア層の獲得に注力。年金受取口座を開いてもらえれば、2か月に一度は必ず振り込みがあるからです」(ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さん・以下同)

2016年から約8年続いたマイナス金利政策下で、銀行は収益圧迫を避けるため、普通預金金利を0・001%という実質ゼロに近い水準にし、個人の預貯金を冷遇してきた。しかし、金利の引き上げが始まったことで一転、個人の預貯金を集め始めたというわけだ。

「金利が上がったので、銀行にお金を預けるだけでお金が増えるようになりました。たとえば、SBI新生銀行の『パワーフレックス円普通預金』の金利は0.3%~と、ゼロ金利時代に比べるとかなり高い金利になりました。加えて、シニア層に興味を持ってもらえるよう各銀行では、出金や振込手数料を無料にしたり、金利を上げたりといったシニア向けサービスを開始。いまは銀行に預けて損はないと言えます」(井戸さん・以下同)

ATMの利用明細
シニア向けサービスにはATM手数料無料なども(写真/Getty Images)
写真5枚

ネット銀行より実店舗&通帳ありを

各銀行がシニア層獲得のためにしのぎを削る中、どうやってお得な銀行を選んだらいいのか。

「大切なのは利便性です。金利が高くても近くにATMがなくて気軽に引き出せないとなると、後々不満を感じるようになります」

いまは実店舗のないインターネット銀行(以下、ネット銀行)が普及しており、実店舗があったとしても、ネット銀行をすすめられるケースが多い。しかし井戸さんは、なるべく紙の通帳を作ってもらえる銀行にするか、もともと通帳を持っているなら、それを温存した方がいいという。

「銀行の窓口やATMに行かず、パソコンやスマホで24時間365日、残高照会や振込、定期預金などの取引ができるネット銀行はたしかに利便性がいい。しかし、万が一自分に何かあったときに通帳がなく、ネット上だけでの取引になると、銀行口座の存在を周囲に見つけてもらえない可能性があります。事前に家族に伝えておけばいいのですが、それができない環境なら、周囲の人が見守りやすい方法を選んだ方がいいと思います」

理想はネットと通帳の両方が使える、実店舗のある銀行を選ぶことだという。

銀行のおすすめには慎重に対応を!

銀行を活用するうえで肝に銘じておきたいのが「銀行側のおすすめには慎重に対応する」ことだと、ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんは言う。

「銀行では、お金に関する相談にも乗ってもらえますが、そうした場合、保険や投資などをすすめられる可能性が高いです。銀行は手数料収入がほしいので、投資をしてほしいのです。しかし、65才以上の場合、金融資産は増やすよりも減らさないことが大切。投資のリスクを取って失敗したときに取り返しがつかなくなるからです。シニアは新たな投資をする必要はありません。銀行はあくまで、お金を預けるだけの場所と割り切り、それ以上のおすすめは聞かず、慎重に対応しましょう」(丸山さん)

お得なサービスを受けられる銀行の選び方

□近所に実店舗がある
□ネット銀行以外か、ネット銀行でも利用できるATMが近くにある
□比較的高い金利(利息)がつく
□振込&引き出し手数料無料
□(紙の)通帳がある
□行員が金融商品をすすめてこない

銀行とサービスのリスト
金利優遇や手数料待遇が受けられる銀行
写真5枚

SBI新生銀行「Bright 60(ブライト シックスティ)」

60才以上限定で円普通預金の金利大幅アップ。

井戸さん、丸山さんイチオシのサービスがこちら。

「ネット銀行ではありますが、セブン銀行やローソン銀行、イオン銀行、VIEW ALTTE(ビューアルッテ)のATMが使えるので利便性が高く、金利が高いのが魅力です」(井戸さん)

60才になったら年金受取口座用に開設し、サービスに申し込みを。

《主なサービス》

●円普通預金金利年0.4%(税引後、年0.3187%)。
●セブン銀行など提携ATM出金手数料が何度でも0円。
●他行宛てネット振込手数料が月10回まで0円。
●宿泊施設などで使える各種割引クーポンがもらえる。
●遺言信託手数料優遇。

《入会方法》

60才以上が条件。SBI新生銀行の口座(総合口座パワーフレックス)を作ったうえで、「Bright 60」の入会申し込み(無料)をする。

東京スター銀行「スターワン円普通預金」

年金受取口座に指定すると金利優遇。

「スターワン円普通預金」口座を開設し、年金受取口座に指定すると(事前手続き必要)、金利が年0.7%になる。

もともとATM手数料やネット振込手数料無料(回数制限付き)のサービスも付帯されているので、メイン銀行にするとお得。

《主なサービス》

●給与振込・年金受取で年利0.7%(※)。
●セブン銀行、ゆうちょ銀行など全国の提携ATM利用手数料が最大月8回まで実質無料。
●インターネットバンキング他行宛て振込手数料、最大月5回実質無料。

《入会方法》

スターワン口座を開設し、「年金請求書」と「スターワン口座キャッシュカードの写し」等を年金事務所に提出。「年金証書」を受領すると年金受取があった翌月の原則第5銀行営業日より金利優遇。

※スターワン円普通預金金利の場合。変動金利/税引後0.5577%(’26年3月1日現在)。

年金手帳を触っている
「年金証書」で金利が優遇される銀行も(写真/Getty Images)
写真5枚

イオン銀行「シニア向け代理手続きサービス」

クレカと連動。買い物で使うとさらにお得。

イオンマークのクレジットカードを持っている満65才以上が申し込めるのが「シニア向け代理手続きサービス」。

WAON POINTの交換・照会、覚えのない明細の調査、早期完済・一部入金手続きなど、さまざまな手続きをあらかじめ代理人として登録していた人が代理として手続きできる。

《主なサービス》

●普通預金口座を開設した満55才以上は毎月15日、買い物代金が5%オフ。
●イオン銀行ATMで24時間365日入出金手数料0円。
●他行ATM入出金手数料、他行宛て振込手数料最大月5回まで0円。
●普通預金口座で年金を受け取るとMyステージのスコアが貯まる。

《入会方法》

クレカ機能のついたキャッシュカードなどを選択(※)し、申し込みフォームに入力。口座開設結果の連絡が来たら、通帳アプリやネットバンキングに登録。

※電子マネー、デビットカード機能付きの3種から選べる。

ゆうちょ銀行&郵便局「年金配達サービス」「郵便局のみまもりサービス(高齢者見守り)」

見守り&代理など福祉サービスが充実。

口座を持つシニア向けの福祉サービスがあり、そのひとつが「年金配達サービス」。体が不自由で窓口に行けないなどの場合、年金や恩給を自宅に届けてくれる。

そもそも郵便局にも、局員が定期的に自宅を訪問し、生活状況を確認して家族へ報告してくれる「郵便局のみまもり訪問サービス」がある(有料)。いずれも事前申し込みが必要なので、一緒に検討するのもおすすめ。

《主なサービス》

●約3万1200台あるゆうちょ銀行ATMで平日、土日・祝日でも預け入れ・引き出し手数料0円。
●ALSOKのヘルスケアセンターが毎日電話し、体調相談などに対応(有料)。

《入会方法》

専用アプリから開設できるが、ゆうちょ銀行で本人が手続きすると(マイナンバーカードと印章必要)、即日開設できる。

銀行とサービスのリスト
相続・見守り・生活サポートなどが受けられる銀行
写真5枚

◆教えてくれたのは:ファイナンシャルプランナー・井戸美枝さん

社会保険労務士、日本年金学会会員。生活に身近な経済問題をはじめ、年金・社会保障問題を専門とする。著書は『私の老後のお金大全 一番シンプルで堅実な人生後半のお金の備えガイド』(日経BP)など多数。

◆教えてくれたのは:ファイナンシャルプランナー・丸山晴美さん

節約アドバイザー。独自の節約術や「らくらく節約生活」を提唱し、テレビ出演や講演会などで活躍。著書は『50代から知っておきたい! 年金生活の不安、解消します』(幻冬舎)など多数。

※女性セブン2026年4月30日号