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厚労省、再生医療の医療機関に注意喚起 届け出と異なる治療など問題を指摘、制度10年で再点検、救急対応や試料保管の徹底も求める

厚生労働省が再生医療についての注意喚起を出した(picturedesk.com/時事通信フォト)
厚生労働省が再生医療についての注意喚起を出した(picturedesk.com/時事通信フォト)
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 厚生労働省が、再生医療を行う医療機関に対して、法律に基づく手続や安全管理を改めて徹底するよう2026年3月に注意喚起した。

 再生医療を行う際は、届け出た計画通りに実施することや、急変した患者に対応できる準備をしておくべきだと強調している。

届け出た内容と違う治療が行われる例も

・計画通りの実施が必要→再生医療は、届け出た内容に沿って行うことが改めて求められた。
・変更時は手続が必要→医師や治療内容が変わる場合は、事前に計画の見直しが必要となる。
・全身投与は慎重に判断→点滴などで全身に投与する治療は、重い副作用の恐れもあり注意が必要。

 日本では、再生医療を行う際、法律に基づいて事前に治療計画を作成し、認定を受けた委員会の意見を聞いたうえで国に提出する必要がある。

 ところが、制度が始まって10年以上たった今も、提出した計画に書かれた内容と違う再生医療が行われるなど、法令違反にあたる事案が確認されているという。

 このため厚労省は、都道府県などを通じて、医療機関にルール順守を改めて求めた。

 特に、実施する医師が変わる場合や、治療内容に変更がある場合は、事前に計画を見直し、必要な手続を済ませなければならないとしている。

 また、細胞を使った治療を点滴などで全身に投与する場合には、重い副作用が起こる恐れもあるとして、実施の可否を慎重に判断するよう求めた。重い持病がある患者では、治療による利益と危険性を十分に見極める必要があるとしている。

急変時の備えや、トラブル発生時の保存も重要

・急変への備えが必要→救急カートや医薬品など、患者が急変した時の準備を整えるよう求めた。
・連携は文書で確認→他の病院と救急対応を行う場合は、覚書などで正式に決めておく必要がある。
・試料の保管も重要→健康被害が疑われる時に備え、細胞加工物や検体などを保存するよう求めた。

 通知では、再生医療を行う施設は、急変した患者に対応できる準備をしておくべきだと強調している。

 重いケースを扱う施設では救急医療に対応できる設備が必要で、比較的リスクが低い再生医療でも、少なくとも救急カートや医薬品など、初期対応の準備を整えておくよう求めた。

 他の病院と連携して救急対応を行う場合も、口約束ではなく、覚書や協定などの文書を作る必要があるとしている。さらに、再生医療を行う医師には、その場で救急処置ができる技能が必要で、委員会の審査でも確認されるべきだとした。

 加えて、治療中や治療後に健康被害が疑われる事態が起きた場合には、原因を調べられるよう、使った細胞加工物の残りや点滴バッグ、注射器、血液や尿などの検体も保管するよう求めた。

 今回の通知は、再生医療を行う施設に対し、治療そのものだけでなく、事前の手続、急変時の備え、トラブルが起きた後の検証まで含めて責任を持つよう求めたものといえる。再生医療への関心が高まる中で、安全性を確保するための基本を改めて徹底する狙いがある。再生医療を検討している人にとっても、このような注意が出されていることは理解しておく意味があるだろう。

参考文献

再生医療等の安全性の確保等に関する法律に基づき再生医療等を 提供するにあたり医療機関が留意すべき事項について(注意喚起)

【プロフィール】 星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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