
男女ともに健康寿命1位を誇る長野県のスーパーフード「高野豆腐」。私たちの体に必要な栄養素がたっぷりと含まれ、ダイエットや腸活、血糖値上昇の抑制など、挙げたらキリがないほど健康効果はバツグン。夏に向けてバテない体をつくるために、高野豆腐を日々の食事に取り入れよう。
いま日本の伝統食材である「高野豆腐」が、スーパー健康食品として改めて注目されている。近年の研究では、血糖値や中性脂肪値を下げる働きだけでなく、腸内環境の改善によって代謝を促す効果まで多岐にわたることが明らかになった。
豆腐の約7倍の栄養価!
そもそも、「高野豆腐」とは何か。信州大学医学部教授の田中直樹さんが話す。
「高野豆腐は、豆腐を凍らせてから低温貯蔵し熟成させ、解凍、乾燥させたもので、90%以上が長野県で生産されています。“畑の肉”といわれる大豆の成分がぎゅっと濃縮されており、100g当たりのたんぱく質は普通の木綿豆腐の約2~7倍に相当します。保存性が高く、カルシウム、鉄分などのミネラルも凝縮されており、少量で大豆の栄養を効率よく丸ごと摂取できるスーパーフードです」(田中さん・以下同)
豊富なたんぱく質が肥満予防にも寄与するという。
「食物繊維のような働きをする『レジスタントたんぱく』が多く含まれているので、体内でコレステロールや脂質の吸収を抑え、体外へ排出されやすくなります。さらに私たちの動物研究では、高野豆腐に含まれるたんぱく質やレジスタントたんぱくが、近年“ダイエット薬”として注目されているホルモン『GLP-1』の腸での産生を促進することもわかりました。GLP-1は脂肪燃焼を促す働きがあり、肥満や脂肪肝の予防にも重要な役割を果たしています」
『たった2週間で内臓脂肪が落ちる高野豆腐ダイエット』著者で、よこはま土田メディカルクリニック院長の土田隆さんは、高野豆腐にはほかにもダイエットに効く栄養素があると話す。
「高野豆腐に豊富に含まれる大豆たんぱく質の一種『β-コングリシニン』には、“やせホルモン”と呼ばれる『アディポネクチン』の分泌を促進する働きがあります。アディポネクチンは血糖値の上昇を防ぎ、脂肪分解をサポートするので、高いダイエット効果が期待できます」
消化吸収がよく、食物繊維が多く含まれており、腸内環境の改善にもつながる。
「普通の豆腐に比べると、不溶性食物繊維が1g当たり約5~8倍含まれており、便のカサを増やしてぜん動運動を促します。加えて、大豆オリゴ糖が腸内の善玉菌を増やし腸内の環境を整えてくれることで、便秘の解消や免疫力の向上も期待できます」 (土田さん)
これだけではない。高野豆腐は、筋肉量が減少して身体機能が低下する「サルコペニア」を防ぐうえでも、大きな役割を持つ。
「年齢を重ねると、食事量が減るとともに、肉の脂っぽさを重く感じたり、魚の調理が面倒などのいう理由で、たんぱく質が不足しがちになります。たんぱく質は、サルコペニアの予防にはもちろん、心の安定や幸福感をもたらす“幸せホルモン”のセロトニンの材料にもなるので、心身の健康維持には欠かせません。高野豆腐で良質な植物性たんぱく質を効率よく摂取し、健康的な体を維持してほしい」(田中さん)
パウダー状にして毎日取り入れるのも◎
この優れた食材を日々の食事で取り入れるには、どうすればいいのだろうか。田中さんが言う。
「高野豆腐は穀類などに比べて糖質が少ないものの脂質はあるので、肉より野菜と合わせるのがよいです。しいたけなどのきのこ類や小松菜など、食物繊維を豊富に含む植物性食品と組み合わせると、より効果が期待できます。カレーのお肉の代わりに使うのもいいでしょう」

健康にいい食材は、続けて摂ることが何よりも大事。土田さんがすすめるのは、パンの代わりにする方法だ。
「一度水で戻してからカットして、乾かしてトースターで焼けば、パンの代わりになります。糖質が少なく、お腹の中でふくらむので満腹感を得やすい。
水で戻したものは早めに使い切る必要があるので、乾燥状態のままミキサーなどで粉状にして常備しておくのもおすすめです。スープやみそ汁に振りかけるだけで、いつでも手軽に大豆の栄養をプラスできます」
田中さんも言い添える。
「長野県の南部には高野豆腐を粉末状にした『粉豆腐』という伝統食材があり、昔から煮物や炒り煮に混ぜて食べています。ハンバーグのつなぎやギョーザのタネ、パンケーキに混ぜれば、無理なく毎日の食事に取り入れることができます」
都内在住の主婦・吉岡亜希子さん(仮名・57才)は最近、高野豆腐をご飯や肉に置き換えているという。
「以前は便秘に悩まされていたのですが、高野豆腐を取り入れてから毎日お通じがあります。ウエストも1か月ほどで5cmも減り、内臓からスッキリしているのを実感しています」
味付けは風味を加える程度
「高野豆腐は味わいが淡泊なので、味をつけて濃くしたくなりますが、塩分の摂りすぎには気をつけましょう。唐辛子や香辛料、だしなどで風味を加えると、より健康的に食べることができます」(土田さん・以下同)
健康な体を維持するには、高野豆腐とほかの食事とのバランスや運動も欠かせないと土田さんは言う。
「筋力をつけるため、脂質が低い鶏のささ身や豚のヒレ肉など動物性たんぱく質をできるだけ組み合わせて食べるようにしましょう。運動も大切です。ストレッチや簡単な体操など何でもいいので、無理なく毎日の習慣に運動を取り入れることが、高野豆腐のパワーをさらに引き出すコツです」
手軽に買えて、保存性にも優れた「高野豆腐」。健康維持のためにも、毎日の食卓に上手に取り入れたい。
※女性セブン2026年6月18日号