健康・医療

《血管炎治療薬「タブネオス」投与で20人が死亡》睡眠薬、降圧剤、糖尿病治療薬、総合感冒薬…注意が必要な処方薬・市販薬&のみ合わせを専門家が解説

解熱鎮痛薬で胃潰瘍や腎機能障害

 タブネオスは新しい薬だから未知なる副作用が出た——そう思う人は多いだろう。だが、病院で当たり前のように出される処方薬のなかにも危険な薬があることを知っておきたい。長澤さんは睡眠薬や抗不安薬を挙げる。

「トリアゾラムやニトラゼパムなどベンゾジアゼピン系の睡眠薬や抗不安薬には3つの問題があります。

 1つ目は翌日への持ち越し効果によるふらつきリスク。高齢者の大腿骨骨折にこれらの睡眠薬が関与しているケースは珍しくない。

 2つ目は依存性。長くのみ続けると依存が形成され、急にやめると、けいれん発作が起きることがある。

 3つ目は認知機能への影響で、こちらも長期服用で記憶力や判断力の低下が蓄積します。“眠れないから”という理由で何年も漫然と処方されている人がいますが、これらの薬は短期服用に限るべきです」 

 都内在住のAさん(53才)が振り返る。

「季節の変わり目に軽い風邪をひいて、家にあった総合感冒薬をのんだんです。すると電車のなかで立っていられないほどのふらつきを感じて、うずくまってしまいました。席を譲ってもらえたので、しばらくしたら回復したのですが、目の前が真っ暗になって本当に怖かった。かかりつけ医に相談すると、降圧剤と総合感冒薬の効果が重なったのでは、ということでした」

 実際にこういったケースはよくあるようだ。長澤さんによれば、ドキサゾシンメシル酸塩などの降圧剤、グリメピリドなどの血糖値を下げる薬のほか、総合感冒薬や鼻炎薬に含まれる抗ヒスタミン薬はふらつきを起こすことがあるため注意が必要だという。

注意が必要な危ない薬ののみ合わせ
写真3枚

 医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広さんは、患者の身体機能によるリスクを指摘する。

「薬は肝臓か腎臓で代謝されるため、いずれかの機能が低下している人は注意が必要です。薬剤の血中濃度が上昇しすぎて、本来の効果を超えた副作用が出現する可能性があるのです」

 ドラッグストアで買える薬にも、危険な「市販薬」があると大西さんが続ける。

「その筆頭がNSAIDs(エヌセイズ)と総称される解熱鎮痛薬です。頭痛や生理痛などで気軽にのむ人が多いジャンルですが、過剰服用や長期に使うと胃潰瘍や消化管出血、腎機能障害を起こし、重症化すると緊急手術が必要になることもあります」

 また、薬の恐ろしさは危険な「のみ合わせ」によって劇的に増す。特に高齢になると、整形外科、内科、眼科、耳鼻科……と各科で処方される薬が増えていくが、のむのは5種類以下にすべきだと岡田さんが言う。

「多剤併用には注意が必要。内容を問わず5種類以上の薬をのんでいる高齢者は、認知症リスクと転倒骨折を起こすリスクが圧倒的に高くなります」

 意図せず効能が重なり、危険な状態になることも。

「睡眠薬や抗アレルギー薬を常用している人が市販の総合感冒薬をのむと、そこに鎮痛薬として抗ヒスタミン薬が入っていることがある。すると、抗えないほどの強い眠気が起きることも。降圧剤をのんでいる人がアルコールを摂ると、血圧が下がりすぎることもあります」(大西さん)

 掲載のリストを参考に、薬は病気を治す武器であるのと同時に、扱い方を誤れば“凶器”にもなると心得るべきだろう。

※女性セブン2026年6月18日号

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