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《「大人の発達障害」最新事情》急増する女性の受診者、特性を見られないように振る舞う“過剰適応”によって早期発見が難しい傾向 ストレスが加わり「二次障害」が生じることも

女性の受診者が急増している(写真/PIXTA)
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 落ち着きがない、忘れ物が多い、マルチタスクがこなせない、周囲となじめない──そんな生きづらさや対人トラブルの背景には、発達障害という特性が隠れているのかもしれない。かつては子供の疾患として捉えられてきたが、近年ようやく認められてきた「大人の発達障害」。急速に進む研究で明らかになってきたその“正体”とは。最新事情を追った。【全3回の第2回。第1回から読む

女性の発達障害はベールを覆うから見つかりにくい

 大人の発達障害と同様に、近年クローズアップされるのが「女性の発達障害」だ。発達障害の男女比はさまざまな指標があるが、おおむね男性の罹患者が女性を大きく上回る。

 だが、山口大学名誉教授で臨床心理士の木谷秀勝さんは「最近は女性の受診者が急増している」と語る。

「これまでは発達障害の男女比は男性が圧倒的に多いとされてきました。しかし最新の論文によると、大人になった段階の有病率を確認すると女性の割合が高まることがわかってきた。私の実感では2対1程度のバランスまで女性が増えている印象です」

 なぜ大人の女性の発達障害が増えているのか。木谷さんは、自身の特性を周囲に見られないように振る舞う「過剰適応(カモフラージュ)」によって早期発見が難しいことが一因だと指摘する。

「女性は幼少期から『女の子らしくしなさい』といった親や周囲の期待に応えようと、ベールを覆って自分の特性を隠そうとします。こうした過剰適応の振る舞いには3つの特徴があります。目立たないように振る舞う『同化』、周囲とは違う部分を補う『補償』、さらに特性を隠す『仮面』です。こうして幼少期からの過剰適応によって、自分の内側に障害を抱えたまま大人になってしまうのです」

過剰適応の3段階
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 50代になってから「発達障害の特性が見られる」と診断されたBさん(53才・女性)が言う。

「昔から食べ物の好き嫌いが多く、こだわりが強くて、母親からは“几帳面で扱いにくい”と言われたこともありました。人の名前を覚えることも苦手で、自分では丁寧に相手に接しているつもりでも、“バカにしているのか”と怒られることも。それでも、なにかおかしなところを注意されるたびに努力して改善してきました。なるべく目立たないように、周囲の人の様子をうかがいながら他人と違うことをしないように気をつけてきたんです。

 書店で発達障害についての本を見つけたとき、もしかしたらこれは私のことなんじゃないかと思いました。思いきって会社の産業医に相談したら、専門医を紹介してくれて。診断を受けてから両親や友人にそのことを伝えたら、みんな口を揃えて“やっぱり!”って。もっと早く気づかせてほしかったけど、なかなか直接的には言えないですよね。特性はあるものの診断基準には満たないのですが、定期的にカウンセリングを受けられるだけで気持ちがとても落ち着いています」

 人知れない葛藤を抱えたまま成長して社会に出て働き、結婚や出産、育児などのライフイベントのたびに妻や母としての役割を求められる。過剰適応を重ねた結果、心身のバランスを崩すケースも多いという。

 発達障害の特性にストレスが加わり抑うつや痛み、不安や緊張など別の問題が生じることを「二次障害」という。岡田クリニック院長で精神科医の岡田尊司さんは二次障害の連鎖に警鐘を鳴らす。

「そもそも発達障害は過敏や情報処理能力の低下といった特性がベースにあることが多い。幼い頃からこうした特性を持つ人がそのまま成長すると、学校や会社に行くことがストレスになって適応障害を起こしたり、不安が強くて不安障害を起こしたりする。

 それらがもっと進行してうつ病を発症するなど、二次障害のドミノ倒しが起きてしまいます」

 さらには命にかかわる重病を招くこともある。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが語る。

「発達障害の特性は、暴飲暴食などの生活習慣の乱れにつながりやすく、肥満や高血圧など心臓に負担をかけてしまう人も多い。実際にADHDは心疾患のリスクが2倍になるとの研究報告もあります」

 このように大人の発達障害はQOL(生活の質)の低下やうつ病などの精神疾患、重篤な心疾患などをもたらす。それだけにグレーゾーンの段階で細かなケアをすることが望ましい。

「医学的にグレーゾーンは発達障害との診断がつかず治療できませんが、教育的、福祉的な観点からはグレーゾーンにも治療が必要です。こうした課題は専門家の間でも現在進行形で議論されています」(木谷さん)

主な発達障害の症状
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(第3回に続く)

※女性セブン2026年6月18日号