《山村紅葉がミステリー作家デビュー》きっかけをくれたのは映画『国宝』 編集者から文章の形が母に似ていると言われ「とってもうれしくて。やっぱり『母と似ている』と言われたかったんだなあと気づきました。」
似ているところを探していた
執筆はパソコンではなく、原稿用紙にペンというスタイルを選んだ。
「母も原稿用紙にペンだったと思って、同じようにやってみたら、不思議なことに筆が進むんです。母が降りてきたようで、あんなにダメだと言われていたけど、もしかしたらちゃんとDNAを継いでいるんじゃないか。母が後押ししてくれていると実感しました」
最初は400字詰めの原稿用紙を使っていたが、寝室のサイドテーブル、移動用の車など、どこでも書けるようにコンパクトな200字詰めに変えた。
「編集者のかたからは、書くスピードが速いことと、文章の形が母に似ていると言われています。
そう言われると、とってもうれしくて、やっぱり『母と似ている』と言われたかったんだなあと気づきました。顔も似てないし、性格も違うので、ずっと似てないと言われてきましたが、本当は似ているところを探していたんですね。書いているときはなぜか、母が好んだピンクや花柄、フリフリの付いた服が好きになりました」
小説には紅葉の人生経験のすべてが詰まっている。作中ではホストクラブの描写も出てくるが──。
「そこは母に連れて行ってもらったわけではなく、40代の頃の経験が生きています。小説の中に出てくる、ホストにお寿司を食い逃げされたのは私の経験談です。『ぼくも連れて行ってください』と、担当のホストだけじゃなく、みんな付いてくるんですよ。この小説が売れたら、そのときのお寿司代もちょっとは元が取れるかな(笑い)」

執筆に力を注ぎこんだ数か月は、母を理解する時間になったと紅葉は話す。
「書き上げたときには『やった!』と達成感がこみ上げてきましたが、その後が長いんですよね。文章の直しが大変で。母が『アイディアはいくらでもあるし、書くこともいくらでもできるけど、出版するのが面倒なのよね』と言っていた意味がよくわかりました。手直しの期間は、母もお気楽に見えて、大変だったんだなと尊敬する気持ちが湧きましたね」
最後に、次回作の構想を尋ねると「まずはこの作品を育てたい」と映像化への意欲を示した。果たして、自身の出演はあるのか──。
「想定している役はあります。でも、すごく若いときから年配になるまで出てくるので、私は最後の方しか出てこないなとか、いろいろと考えています」
今度は「山村紅葉サスペンス」に期待したい。
※女性セブン2026年7月2日号