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【追悼】岸恵子さん、鶴田浩二さんとの伝説的な初恋も…「恋に彩られた93年の生涯」と「宝物として愛した“孤独”」

100才までは生きたくない

 多くの恋愛を経験し「恋はぱーっと燃えさかるものでしょう」と語っていた岸さんは、2013年に自身を題材にした小説『わりなき恋』(幻冬舎)を発表している。

「古希を間近に控えたヒロインが10才近く年下の会社役員と人生最後の恋に落ちるストーリーで、成熟した男女の性愛描写も話題になりました。岸さんは小説の男性はあくまで創作と語っていましたが、執筆と前後して、年下の男性との“最後の恋”を経験したといわれています」(前出・芸能関係者)

 2024年に上梓した最後の著書『91歳5か月 いま想うあの人 あのこと』(幻冬舎)では、大スターの鶴田浩二さんとの燃えるような伝説の初恋についても赤裸々に明かした。

《人目を避けるためについ暗い道を選ぶ、人混みの中では顔を隠すようにしてものすごく速足で歩く。

 それは私の性には合わなかった。

「ネオンのキラキラしたあかるい街中を走りましょう。鶴田さんと賑やかな銀座のド真ん中を歩いてみたい」》

 2人は密かに思いを寄せ合ったが、映画会社が交際を許さなかった。何より、鶴田さんには別に婚約者がいたため岸さんは身を引かざるを得なかった。

 離婚後も、精力的に日本映画に出演した岸さんは、1977年に『悪魔の手毬唄』、1978年に『女王蜂』、そして1983年の『細雪』と市川崑監督と数多くの作品でタッグを組んだ。2001年に市川監督の映画『かあちゃん』で共演した原田龍二(55才)が振り返る。

11才年上のシャンピ監督(左)との結婚生活は18年で終わりを迎えた(写真/共同通信社)
写真6枚

「岸さんがお亡くなりになられたと聞いて、悲しみの思いに打ちひしがれるとともに映画でご一緒したときの優しい、凜としたお姿が目に浮かびます。

 岸さんは長屋の大家族の“かあちゃん”の役で、豪快なたたずまいでお芝居をされていましたが、常にエレガントで独自の繊細さを漂わせていらっしゃいました。初めて撮影所で岸さんのお姿を目にしたとき、薄暗いセットの中で、岸さんがお釈迦様のように気高く輝いて見えたことを覚えています。同時に、まるで少女のような透明感を感じました。岸さんからいただいた、『人に優しくすることの素晴らしさ』を忘れることなく、その教えを糧に精進する思いでいます」

 女優としての最後の主演作は、2019年に放送されたドラマ『マンゴーの樹の下で~ルソン島、戦火の約束~』(NHK)。幼少期に横浜で空襲を経験し、ジャーナリストとして紛争地を渡り歩いた岸さんの反戦への思いが込められた意欲作だった。

「晩年は施設や病院に入ることを嫌がり、コロナ禍以降は自宅で執筆活動に専念していたそうです。書きたいテーマがいくつもあって、トークショーでは“100才までは生きたくない。いま書きたいと思っている2冊の著書を書いたら、さっさと逝きたい”とジョークを言って会場を和ませていました」(別の芸能関係者)

 2019年に『孤独という道づれ』(幻冬舎)と題したエッセイを出版しているように、岸さんが著書などでたびたび語ってきたテーマのひとつが“孤独”だ。

 2021年に出演した『徹子の部屋』(テレビ朝日系)で、司会の黒柳徹子(93才)から“孤独”について尋ねられた岸さんはこう答えている。

「だって人間って、生まれたときも死ぬときもひとりじゃない。孤独に取り込まれてしまったら、メタメタっと寂しくなると思う。孤独ってすごく自由で私は好き。離婚してから何十年になるんですけど、いまだにひとりで快適です」

 孤独を悲しむのではなく、「宝物」として愛した岸さん。最期まで気高く生き抜いたその姿は、彼女が残した作品や言葉とともに輝き続ける──。

※女性セブン2026年9月10日号

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