
人間、誰しもが年をとる。同じ年齢でも見た目に差が出ることもあれば、寿命も平等ではない。医療が進化するとともに、私たちの体は「酸化」「糖化」「炎症」が加わると、老化のスピードが速くなり、病気がちになったり、見た目にも変化が出たりすることが明らかになった。その3つの状態を遠ざけることこそが老化を止め、老いない体をつくることになる。そのための最強のルーティンの作り方を専門家に取材。第3回は「糖化」が老化につながる仕組みと、糖化対策について紹介する。【全4回の第3回】
高温調理は老化を促す物質を増加させる
酸化が「体のサビ」なら、「体のコゲ」と呼ばれるのが糖化だ。熊本リハビリテーション病院サルコペニア・栄養支援センター長の吉村芳弘さんが説明する。
「糖化は、過剰な糖がたんぱく質や脂質などと反応することで起こります。高血糖の状態が続けばAGEs(終末糖化産物)が過剰に作られ、細胞に蓄積してたんぱく質の変性を引き起こします。糖化が進めば血管や神経、臓器など全身にダメージが広がり、動脈硬化や糖尿病、高血圧、心臓病などにつながっていきます」
肌を構成するコラーゲンが糖化すれば、しわやくすみ、たるみとなって外見にも老化の影響が現れる。
糖化を防ぐには、糖質の摂取を見直すことが肝要だ。甘いものを控えているつもりでも、意外なところから糖を摂っている場合がある。千葉県在住の会社員・Cさん(58才)が言う。
「甘いものはなるべく控えているつもりですが、果物は体にいいと思ってできるだけ食べるようにしています。ただ果物は高いし、忙しい朝はフルーツジュースで済ませることもあります」

順天堂大学医学部附属順天堂医院の泌尿器科助教で、アンチエイジングに詳しい池端嘉裕さんは、現代人の食事には果糖が多く含まれていると指摘する。
「炭酸飲料やフルーツジュース、スポーツドリンク、ジャム、甘いヨーグルトなどには果糖が多く含まれています。果物はそのまま食べれば食物繊維もビタミンも豊富ですが、品種改良によって糖度が上がってきているので、食べすぎには注意が必要です。糖化対策という点では、少し酸っぱくて甘みが足りないくらいの果物がいいでしょう」
看過できないのが、AGEsは体内で作られるだけでなく、食品にも含まれている点だ。揚げる・炒める・焼くなどの高温調理は、AGEsを増加させる。金町駅前脳神経内科院長の内野勝行さんが解説する。
「なるべく『煮る』『蒸す』といった調理法を選びましょう。もし炒めるのであれば、黒酢炒めにする、肉にレモンをもみ込んでおくなどすると、酢酸やクエン酸でpHが下がるので、AGEsの生成量を減らすことができるとされています」(内野さん・以下同)
糖化対策のポイントとしてもう1つ忘れてはいけないのが、「血糖値スパイク」を防ぐことだ。
「野菜や海藻類など食物繊維の多い食材から先に食べる『ベジファースト』をすれば、血糖値が上がりにくくなります。ただし、野菜を食べてすぐにご飯を食べてしまうと、一緒に食べているのとほぼ変わりません。できれば15〜30分程度の時間をあけ、よく噛んで食べるといいでしょう」
食生活全体を俯瞰し、栄養バランスを整える視点も忘れてはいけない。東邦大学名誉教授で循環器専門医の東丸貴信さんが指摘する。
「糖化だけでなく、酸化や炎症を防ぐという点でも、地中海食や塩分を控えた和食は優れています。糖質を控えめにして、その分、たんぱく質を少し多めに摂る。たんぱく質は飽和脂肪酸を含む脂身肉よりも鶏肉、大豆などの植物性食品や魚介類を中心にするといいでしょう。ナッツ類もおすすめです」
京都府立医科大学大学院医学研究科教授の内藤裕二さんは精製や加工度合いが高い食品に偏らず、できるだけ素材に近い状態の食材が望ましいと話す。
「果物はジュースではなく、そのまま食べれば食物繊維も摂れます。りんごなら皮をむかずに丸ごと食べるのがいい。白米は糖化の原因になるので、玄米や雑穀を混ぜて食物繊維を増やすといいでしょう。副菜には豆類やきのこ類を取り入れてほしい。
私自身、朝食は全粒粉のパンにヨーグルト、アーモンド、卵、きのこの入ったサラダなどを食べています」
運動は酸化対策と同様、ハードな内容を課す必要はない。
「糖は筋肉で消費されるので、身体活動量が低すぎるのはよくありません。ただしやりすぎる必要はなく、毎日軽く外を散歩するくらいの活動量があれば、充分な運動になります」(内藤さん)

(第4回に続く)
※女性セブン2026年9月17日号