
すべて想像の逆を行く男、高須克弥の破天荒な人生を描く連載『YES!逆張り人生~高須克弥物語~』! 読めば悩みが全て吹き飛ぶ、そんなパワフルすぎる人生を、どうぞご堪能あれ。
第15話:ついに逆張り成功の話【後編】

同時に嫌がらせも始まった。
ミユキが受付の電話をとると半分は無言電話だった。切るとすぐに鳴る。それの繰り返しで、電話回線をパンクさせて予約を取らせないようにするという、同業者の嫌がらせが始まったのだ。
──今まで美容整形医は日陰にいなくてはならなかったのに、高須という男がメディアの王道であるテレビで明るく喋っている。これはいいのか? 俺たちも表に出ていいのか?
同じ美容外科医にとって、この衝撃はハンパなかった。美容外科医と胸を張るのが克弥しかいなかったので「美容外科医=高須克弥」という印象が定着している。高須の独り勝ちだ。これは許せない。差別されてきた時間が長かったからこそ、美容外科医たちの嫉妬は爆発し、テレビ局に苦情が殺到した。
「高須はニセの処女膜で男を騙す悪い奴だ」
「気持ち悪い高須の顔をテレビに出すな」
なぜこれが同業者からの苦情だと分かったかというと、その後に必ず「代わりに私を出してくれ」という売り込みがあったからである。しかしそういった美容外科医たちがテレビ出演をしても、克弥のように“おもしろ下品に”振る舞えるかというと、そう簡単ではない。克弥は、持って生まれたキャラと闇金フェイスで無双状態を続けた。
さらに深夜番組にも多く出演した。関西テレビが多かったので、関西からの患者が増えた。そこで克弥は1979年に大阪に高須クリニックを開いた。ここも予約制で週に1回だったが、名古屋と大阪の2か所だけで、すでに高須病院の売り上げと同額を稼いだ。これで克弥に反対する親族は誰もいなくなった。
「週7日あるから、あと5か所作れるな」
克弥は完全に高須病院から離れて、美容外科に専念する気満々だった。この結果、一時は固辞した妹の夫が正式に高須病院の院長に就任させられた。シヅの弟に続き、克弥によ
って人生を変えられた2人目の犠牲者である。
克弥が出演していた深夜番組はお色気系が多く、当然下半身にまつわる話を求められる。というかそれしかない。ましてや克弥のいやらしい風貌である。完全に「高須クリニック=下ネタ医者」というイメージが強固になった。実際患者のほとんどが、「美」に関するものではなく、「下」に関する治療を求めてやって来る。テレビ出演によって患者数はめちゃくちゃ増えたが、やっていることは今までと何も変わらなかった。
「下半身よりももっと上の、目とか鼻とかシワとかをやりたいんだけどなあ」
売り上げが伸び、喜ぶスタッフを他所に克弥の想いは切実だった。西ドイツで目の当たりにした、顔を変えてしまう魔法の美容外科術を実践できずに、立川で教わった腟、タマ、竿のいかがわしい手術に専念している。これは克弥が思い描いていた、美容整形で1番になる姿とはかなり違う。
この頃の克弥は、西ドイツで見た手術の光景に想いを馳せる時間が多くなっていた。懐かしむくらいは自由にさせてやりたいところだが、この「想いを馳せてしまった」のが運の尽き。なぜならこの“想い”がどこでどう繋がるのか、日本に包茎ブームを巻き起こしてしまうのである。
高須克弥35歳。文春砲を食らう10年前の話である。(第16話につづく)
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【プロフィール】
家守鷹主(いえす・たかす)/テレビ局プロデューサーとして高須克弥氏と出会い、十数年来の友人。今回、その人生を小説として描きたいと依頼したところ、高須氏は一言“YES”と快諾し、ペンネームも命名。かくして、希代の人生物語が幕を開けた。
高須克弥(たかす・かつや)/1945年、愛知県生まれ。医師(美容外科、整形外科、形成外科。学位は医学博士)。2018年に自身の全身がんを公表(発病は2014年)。
※女性セブン2026年10月1・8日号