
「もういい年だから…」と、年齢を理由に自分の可能性を狭めていないだろうか。そんな世間の“年齢の壁”を軽々と乗り越え、80才を過ぎたいまも第一線で活躍している先輩がいる。少年野球の指導をしている棚原安子さんに、いくつになっても枯れることのない「元気の秘密」を聞きました。
「ほんの1週間前にぎっくり腰になったのですが、グラウンドに立ったら痛みなんか忘れちゃいました」
そう話すのは、少年野球の指導をしている棚原安子さん。ソフトボール選手として国体などで活躍し、55年前に夫・長一さん(88才)と少年野球チーム「山田西リトルウルフ」を立ち上げ、これまでに1400人以上を指導してきた。86才になったいまもグラウンドに立ち、週末には、幼稚園児から小学6年生までの約150人を相手に、300〜500本のノックをこなしている。

「運動は週末の練習だけ。そこで1週間分体を動かすので、平日は家でゆっくり過ごすことが多いですね」(棚原さん・以下同)
6年前に長一さんが大動脈瘤破裂で倒れ、長期入院してから足腰が弱って歩行に支障が出たため、棚原さんは介護も行っている。
「頭はしっかりしていて会話はできるので、一緒にいるときはできるだけそばで話をするようにしています。主な介護は夜中のトイレの付き添いと、入浴の手伝い。大変なこともありますが、夫は誰よりも大切な存在なので、お世話も大事な務めと思っています」

夫の介護と野球指導を両立するため、自身の食事には気を使っているという。
「1日3食しっかりと食べます。今年の夏、食欲が落ちて体重が3kg減ったから、いま一生懸命食べて、体力を戻しているところです」
台所には、手作りみそや梅シロップなどがずらりと並ぶ。
「自分で作ったものは安心して食べられるので、できる限り手作りをしています。おみそは自家製ですし、毎年夏には梅シロップを仕込みます。梅やヤマモモを使ったジャムも作って、毎朝パンにつけて食べています。
特に梅干しにはクエン酸が含まれているので、疲労回復に効果的でしょう?梅を天日で干して、お茶に入れて野球の練習時に持っていくこともあります。塩分とクエン酸の両方が摂れて水分補給もできるので、汗をかいた後にはピッタリです」
子供たちから“おばちゃん”と親しまれている棚原さんの、何よりのパワーの源は、子供たちと接することだ。
「子供と野球が大好きだから、毎週末が待ち遠しくて『早く子供らに会いたい、野球がしたい』とワクワクしています。
子供たちはパワーの塊なので、指導者はそれ以上の活力を持って接しないと子供たちにいい影響が出ないと思うんです。だから、練習に行く前に自分自身に気合を入れるようにしています。人間、年を取ったら気合が大事。気合があったら体は後からついてくるもんや、と思っています。そのおかげでいままで大きな病気をしたこともありません」
◆少年野球指導者・棚原安子さん(86才)
1940年、大阪府生まれ。1972年に夫とともに少年野球チーム「山田西リトルウルフ」を創設し、今年で指導歴55年。卒団生は元プロ野球のT-岡田を含め1400人超。著書に『親がやったら、あかん! 80歳“おばちゃん”の野球チームに学ぶ、奇跡の子育て』(集英社)。
撮影/二村海
※女性セブン2026年10月15日号