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《美容整形の光と闇・後編》女性たちの強い欲望を支える美容整形の進歩 施術の幅が広がりコストも大幅に軽減、一方で満足できずに手術を繰り返す「アディクション」の懸念も

カウンセリングは2〜3か所で受けると治療の理解が深まる

 美容整形に踏み切って新しい人生を歩もうとする女性が増える一方、光が強いほど闇は深くなる。

「何度も美容整形を受けたのに理想の顔になりません。助けてください」

 うつ状態が続き、そう訴えて精神科を受診する女性も多いという。片田さんが指摘する。

「美容整形を繰り返しても自分の顔に満足できず、受けることをやめられない状態を、精神医学で『アディクション(嗜癖)』と呼びます。こうした女性は自己肯定感が低く、容姿を変えても満足感を得られずうつになり落ち込む傾向がある。もともと心に問題を抱えているのにそれを直視せず、“容姿を変えればうまくいく”と思い込む。美容整形を受けてもうまくいかずダウンタイム後に落ち込み、また一発逆転を狙って整形するという悪循環に陥りやすい」

 トラブルが生じるのは精神面だけでない。まぶたが閉じない、鼻が変形した、脂肪吸引後に痛みがあるなど、体に異常が生じるケースもある。UP CLINIC院長で美容外科医、美容後遺症診療医の朝日林太郎さんが指摘する。

「よくみられるのは、患者が治療の内容を充分に理解しておらず、術後の管理を怠るケースです。安静にすべきダウンタイム中に運動したり、傷口をぶつけたりすることで異変が生じます。

 医療側が不適切な治療を施すケースもあります。本来行うべき施術をしなかった、違う施術をしたなどの理由で患者に激痛が生じたり、失明や出血多量のリスクを負うことがあります」(朝日さん・以下同)

カウンセリングは2〜3か所で受けたい(写真/PIXTA)
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 近年、物議を醸しているのが、医師免許を取得後、2年間の初期研修を終えてから美容医療に進む「直美(ちょくび)」と呼ばれる医師の増加だ。

「通常は初期研修ののちに3〜5年ほど後期研修を受けて専門医資格を取得しますが、直美はそれをせず美容医療に進みます。

 直美のなかには優秀な医師もいますが、どうしても一般医療の経験値が少ないため医療事故などイレギュラーな事態への対応力が弱くなります」

 一般的な病気の治療ほど美容整形は診療ガイドラインが整備されておらず、病院も主治医も、場合によっては施術メニューすら患者に委ねられる。それゆえ、クリニック選びは重要だ。

「患者は医療従事者ではないので治療の専門的知識は必要ありませんが、医師のキャリアや資格など目に見える情報はきちんと把握すべきです。またカウンセリングは1か所ではなく2〜3か所で受けると治療の理解が深まり、医師との相性も見えてきます」

 とにかく大切なのは、即決、即断、その日に手術といった拙速な判断を避けて慎重に臨むことだ。

 いま美容整形は分岐点にあると朝日さんは言う。

「美容整形はQOLをものすごく上げるポテンシャルを持つ医療であり、サービスです。患者がそうした利益を享受できるよう、美容医療業界と厚労省などが一緒になってルールを作っていくべきです」

 こうありたいという欲望に突き動かされ施術を受ける女性たちは、回復するまでの「ダウンタイム」を経て、美しくなる。

 整形によって外見が変わることで人生が転換することもあれば、私たちは社会進出、仕事、恋愛、結婚、出産とさまざまな環境の変化でも欲望と迷いを繰り返し、転換を受け入れる。しかしいざ、その願いが叶っても燃え尽きたり、虚無感が入り交じる“人生のダウンタイム”に陥ることがある。

 そんなときは「さなぎが殻を破って蝶に生まれ変わるための大事な時間」と思って自分と向き合い、また欲望を抱き、突き進んでいけばいい—欲望とパワー、ダウンタイムは表裏一体なのだ。

※女性セブン2026年10月15日号

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