
「美しくなりたい」「自分を変えたい」「理想の姿になりたい」──強い欲望を抱きながら、女性たちは美容クリニックに足を踏み入れる。その全貌を赤裸々に描いたNetflixで配信中のドラマ『ダウンタイム』が話題だ。美を追求する女性たちの“リアル”には希望や葛藤、コンプレックスが渦巻いている。そんな美容整形の光と闇に迫る。【前後編の前編】
「負担があることはわかっています。でもきれいになれるんだったらできる限りの挑戦がしたいんです。私にはこの機会しかないんです」
末期がんで余命を宣告された老婆が、体への負担が大きいフェイスリフトをどうしても受けたいと美容外科医に向かって懇願する。
夫にモラハラを受けながらも娘の前では明るく振る舞う女性が、女性器の整形後に「どうしてこんな簡単なことがいままでできなかったんだろう」と手術台で涙を流す。幾度となく整形を繰り返し、鏡に醜い老婆のような幻影を見てもなお「いまの状態は不自然」だと新たな手術を切望──。
いずれも人気沸騰中のNetflix配信ドラマ『ダウンタイム』のワンシーンだ。松岡茉優演じる天才形成外科医・沼田文と、仲里依紗演じるカリスマ美容外科医・遠山凜をW主演とし、美容整形をテーマに「美と生」を映し出す。ハイテンポな進行と予想外の展開、壮絶な手術シーンの連続に、全8話をイッキ見した人が続出している。
なかでも話題を呼んだのが、冒頭の研ナオコ演じる末期がんの老婆・坂下ゆり子が全身の美容整形を望むシーンだ。形成外科医として何より人命を重視する文が手術の中止を訴えると、美容外科医の凜は毅然としてこう言い返す。

「余命いくばくもない人が最後にきれいになりたいと願っているの。美容外科医がそれをどうして断れるの」
オペの直前にもゆり子が改めて美にかける思いを吐露し、全身麻酔のフェイスリフトに突入。顔の輪郭に沿ってメスを入れ、頬の皮をベロリと剥がすシーンは思わず目をそむけたくなるほどリアルだ。
ほかにも豊胸のために危険を冒してシリコンを入れるインフルエンサー、田舎の母に絶縁宣言をしてパパ活に走ってまで整形する声優など、彼女らの果てしない欲望に接した文は、たとえ愚かに見えても“命より大切なもの”があることを知り、徐々に自分の考えを改めていく。
美容医療ニュースサイト『ヒフコNEWS』編集長の星良孝さんが、ドラマの率直な感想をこう話す。
「美容医療をとりまく主な問題を網羅して“全部盛り”にした内容。硬派の社会派ドラマであり、美容整形をテーマにした人間の欲望や善悪への問いが描かれているように感じました」
作品名となった「ダウンタイム」とは整形手術などの美容医療の治療後に、腫れや内出血が落ち着いて普段通りの生活に戻るまでの期間を意味する専門用語。作中で凜はダウンタイムについて「さなぎが殻を破って蝶に生まれ変わるための大事な時間」と述べている。
作品が明らかにした、女性が美しく舞うまでの「ダウンタイム」の光と闇とは──。