
夏に蓄積した疲労が回復しないまま、食欲不振や便秘などが起こる“秋バテ”に悩む人が多い季節。食べるだけで体の内側からケアをして、さまざまな健康効果を持つ「スーパーフード」があった。
朝晩と日中の激しい寒暖差や気圧の変化により、体調を崩しやすい季節がやってきた。そんないまこそ注目したいのが、伝統保存食の「切り干し大根」だ。大根を天日干しして水分が抜けることで、栄養素が凝縮。カルシウムや食物繊維といった栄養素の含有量が大きく増加する。
健康検定協会理事長で、管理栄養士の望月理恵子さんが言う。
「切り干し大根に豊富な食物繊維は、便のかさを増やして腸の動きを助けるので、便通がよくなり、腸内環境を整えます」
内科医でメディカルフード研究家の関由佳さんが続ける。
「水に溶けにくい不溶性食物繊維だけでなく、水溶性食物繊維もバランスよく含んでいる。これらが腸内で善玉菌のえさになり、腸内環境にいい影響を与えるのです」
腸内環境の改善は免疫力アップにもつながるという。
「腸内の善玉菌は水溶性食物繊維を分解するときに、短鎖脂肪酸という物質をつくります。これが腸内を弱酸性に保つことで悪玉菌の増殖を抑え、腸のバリア機能を高めてくれる。
さらに、短鎖脂肪酸は免疫細胞を刺激して、病原体が体内に侵入するのを防ぐ抗体をつくり出します」(関さん)
秋冬にかけて多くの人が悩む冷えについても、切り干し大根は頼れる味方だ。
「切り干し大根に含まれるビタミンB群は糖質や脂質、たんぱく質をエネルギーに変える酵素のパートナーとして働きます。エネルギーをつくる過程で熱が発生して体温が上がりやすくなるため、体の内側から冷えにくい体をつくることができます」(望月さん)
関さんが言い添える。
「ビタミンB群は細胞で熱をつくり出し、さらに筋肉でエネルギーを熱へと変換。血管を広げて全身へ熱を届け、熱産生から熱の輸送まですべてを活性化する役割を担う重要な栄養素です」
50代以降の女性が気をつけるべき、骨の健康でも重要な役割を果たす。閉経前後から女性ホルモンの減少に伴いもろくなる骨を強く保つためにも、切り干し大根が役立つという。
「骨を強くするために必要なカルシウムが、切り干し大根100gあたり500mgと豊富に含まれています。さらに、骨づくりにかかわるたんぱく質が働きやすい状態を整え、カルシウムを骨に定着させやすくするビタミンKも含まれています。切り干し大根を食べることで、丈夫な骨づくりを支える2つの栄養素を同時に摂ることができるのです」(望月さん・以下同)
カルシウムと前出のビタミンB群には、自律神経を整える働きもあるという。
「カルシウムは骨をつくるだけでなく、神経の伝達にかかわる働きもあり、不足すると自律神経の乱れにつながります。ビタミンBには、脳や神経に栄養を供給する役割を持ち、こちらも不足すると自律神経の乱れやメンタルの不安定化を招くことがあります」
効果はそればかりではない。加齢とともに気になる高血圧や高コレステロールの対策にも。
「切り干し大根には100gあたり3500mgのカリウムが含まれており、余分な塩分をキャッチして尿と一緒に体外へ排出する働きがあります。豊富な水溶性食物繊維は、コレステロールから合成される胆汁酸を吸着して、便と一緒に排出するのを助ける働きが期待できます」
戻し汁は捨てずにみそ汁や煮物のだしに
では、驚くべき効果を得るためには、どのように食べればいいのか。
「切り干し大根の1日の適正摂取量は、乾燥した状態で約10〜15g、戻した状態で約40〜60gが目安です。これは、小鉢で1〜2皿分程度の量なので、手軽に食べられます。一度に大量に食べるのではなく、継続的に食事に取り入れるようにしてください」(関さん)
望月さんが続ける。
「一度に大量に食べると、豊富な食物繊維が消化の負担になり、お腹の張りや腹痛、下痢、便秘の原因になることもあります」
切り干し大根は水に浸し戻して調理するのが一般的だが、その戻し汁にも旨みや栄養素が含まれているので、無駄にはできない。
「戻し汁を捨てずにみそ汁や煮物のだし、炊き込み料理などに活用することで、味にコクが出ますし、栄養を無駄なく摂取できます」(望月さん・以下同)
煮物と考えがちな人も多いかもしれないが、和食だけでなく中華風、洋風とさまざまなジャンルに使い分けることで、飽きずに食べ続けることができる。
「しょうゆや酢、砂糖、ごま油などを使った中華風の味つけや、ごまドレッシングを合わせればサラダとしてもおいしいです。和食なら煮物だけでなく定番のみそ汁や卵焼き、野菜炒め、炊き込みご飯に入れたり、洋風ならオムレツ、中華なら餃子の具材としても使うなどいろいろなアレンジができます」

切り干し大根ならどれも同じと思ったら大間違い。選び方には注意したい。
「国産のものを選び、原材料名が『大根』のみの商品を使いましょう。調理済みの商品は砂糖やしょうゆ、油分などが加わっており、糖分や塩分が高めになっているので避けて。
細切りのタイプはサラダや炒め物、みそ汁などの汁物に、太めのタイプは煮物や漬けものに向いています。料理に合わせて使い分けましょう」

“食べる薬”といっても過言ではないほどのパワーを持つが、ゆえに薬とののみ合わせは慎重に。
「切り干し大根に含まれるカリウムは野菜類ではトップクラス。利尿薬や一部の降圧剤を服用しているかたが大量に食べると、高カリウム血症を引き起こして手足のしびれや腹痛、不整脈などが生じるケースがあります」
小さな一皿を積み重ねて、寒い季節を迎える前の健康づくりにつなげよう。
※女性セブン2026年10月29・11月5日号