昨今、避妊目的だけではなく、生理痛緩和、子宮内膜症予防と治療、ニキビ治療などに有効な薬として処方されているピル。
ともすれば、ピルにはマイナスのイメージがつきまとうが、婦人科に行く前に知っておきたい疑問を、自身もピルユーザーである赤羽駅前女性クリニック院長で産婦人科専門医の深沢瞳子さんに聞いた。
Q:何才からのんでいいの?
A:初経から3周期後であれば服用可。
「WHOの医学的適用基準では、初経があれば安全にのめるとあり、生理が3回起きていれば、中高生であってものめます。上限は月経があるうちで、50才まで」(深沢さん・以下同)。また、アスリートのピルによるコンディション調整も認められていて、ドーピング検査でも問題ない。
Q:副作用はある?
A:ある。
「重大な副作用として、1万人に3~9人の割合で、血管内に血栓が詰まる血栓症が報告されています。ほかにも、不正出血、吐き気、胸が張る、頭痛などの症状があります。一般に3か月ほどのみ続けると消失しますが、気になる症状があれば、すぐに医師に相談してください」
Q:飲むと太る?
A:太らない。
かつてのピルは、太る、むくむなどの症状が出るといわれていた。しかし、「現在使われている低用量ピルと超低用量ピルの場合、服用と体重の増加に因果関係はないとの研究結果が報告されています」。
Q:のみ忘れたら効果はない?
A:避妊効果は減弱する。
「のみ忘れた時点ですぐにのみ、その日の分も通常通り(つまりその日は2錠)のめば問題ありません。避妊以外の治療目的の場合は、数日ののみ忘れは治療効果に影響はありませんが、不正出血が起きる可能性があると頭に入れておきましょう」
Q:不妊になる?
A:ならない。
服用期間中は排卵が抑えられ、避妊効果があるが、服用中止後、早ければ翌月、遅くとも3か月後には排卵があり、妊娠可能になる。澤穂希さんは現役引退後に結婚して服用をやめたところ、すぐに妊娠したそう。「ピルには子宮内膜症の予防効果があるので、将来の不妊予防にもなります」。
Q:ニキビ改善のために男性がのんでもOK?
A:「ピルはあくまでも女性がのむための薬」
「重大な副作用である血栓のできるリスクが高くなったり、男性不妊になる可能性があります。適切な調査データもないので、男性にはおすすめしません」
Q:がんのリスクがある、という話もあるが…?
A:「ピルの服用によって卵巣がん、子宮体がん、大腸がんのリスクは大幅に下がります」
「乳がんと子宮頸がんに関しては微増するという報告がありますが、どちらも年1回、きちんと検診すれば、がんの早期発見も可能ですから、心配しすぎるのもよくありません。一方、初期発見が難しいとされる卵巣がんのリスクは5年服用で5%、10年以上で50%以上下がり、子宮体がんのリスクは4年で56%、8年で67%も下がり、服用をやめても効果は20年以上続くというデータがあります」
教えてくれたのは:赤羽駅前女性クリニック院長・深沢瞳子さん
産婦人科専門医、腹腔鏡技術認定医、女性ヘルスケア専門医。クリニックには、ピル専門外来もある。
イラスト/あらいぴろよ
※女性セブン2019年9月19日号
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