食べすぎや運動不足が続いて、気づけばぽっこりお腹に…。
その原因は内臓脂肪。内臓脂肪とは、皮下脂肪と違って指でつかむことができない、内臓の周りについた脂肪のこと。
糖質と脂肪は分解されエネルギーとして使われるが、余ったエネルギーは肝臓で中性脂肪となる。これらは生命活動に必要なエネルギーではあるものの、使われずに余った中性脂肪は内臓脂肪や皮下脂肪として蓄えられ、消費されずに溜まり続けると肥満になるという。
内臓脂肪が溜まるとお腹が出てスタイルが悪くなるだけでなく、生活習慣病などのリスクも高くなるので改善が必要。『女子栄養大学 栄養クリニックが教える 内臓脂肪を落とす 健康レシピ』(学研プラス)によると、特に次のような食習慣のクセに要注意なのだとか。
■人と比べて早食いである
■朝食を抜くことがある
■夜遅くにどか食いしてしまう
よく噛んで食べること、決まった時間に食べて体内リズムを整えることで食べすぎを防止し、脂肪の合成が活発になる時間の食事を避けることが内臓脂肪をつけない習慣の第一歩。
さらに、バランスよく食べることが内臓脂肪を減らす近道だという。「食べ物に含まれる栄養素の働きを最大限に引き出す『食べ方』を毎日続け、代謝をスムーズにさせることが重要で、これが内臓脂肪を落とす近道と言ってもよいでしょう」と、同書監修の女子栄養大学 栄養クリニック教授の蒲池桂子さん。
では、どのような食べ方が内臓脂肪を減らすのに効果的なのだろうか。今日からでも実践できる方法を同書からピックアップして紹介する。
5大栄養素を過不足なく摂る
体を作り、健康を維持するのに必要なのは、糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素。栄養素にはそれぞれ役割があり、互いにかかわり合って機能している。そのため栄養のバランスをよくすれば代謝がよくなり、内臓脂肪を減らすことにつながる。
◆朝食を抜くのはNG
また、欠食は必要な栄養素が不足しがちになり、どか食いの原因にも。特に、脳のエネルギー源であるブドウ糖やその他の栄養素を供給し、脳や体のウォーミングアップをする役割を果たす朝食を抜くのはNG。1日3食、栄養バランスよく食べて体が正常に機能すれば、糖や脂肪もエネルギーとして燃焼されやすくなり、太りにくくなる。
エネルギー源となる主食は毎食摂る
ごはん、パン、麺などの主食に含まれる糖質は、体内でブドウ糖に分解され、脳や体のエネルギー源になる。極端に糖質を制限すると、体はたんぱく質をエネルギー源にするため、筋肉が落ちて代謝の悪い体に。
主食の目安は茶碗1杯(120~150g)のごはんを1日3食。これを主菜や副菜と組み合わせて食べるのがよい。ときにはパンや麺でもいいけれど、ごはんは塩分を含まず、食物繊維や鉄も豊富でどんなおかずとも相性がいいので、1日2食はごはんを食べるのがおすすめ。なお、食パンの適量は1食で6~8枚切り1枚、麺は70gが目安。夕食が遅い時間になるときは主食は少なめに。
◆主食はビタミンB1を一緒に摂取を
また、主食は糖質をエネルギーに変えるビタミンB1を一緒に摂るのが、上手に食べるコツ。米や小麦は精製されると食物繊維やビタミンB1が減ってしまうので、七分づき米(玄米を7割ほど精米した米)や胚芽米を選んだり雑穀を混ぜて炊いたり、全粒粉を使ったパンや麺を選ぶことで、栄養価がアップする。ビタミンB1は、その他、肉、魚、大豆製品やきのこ類に含まれる栄養素なので、意識的に摂るようにし、丼ものや麺類など糖質過多でその他の栄養が不足しがちなメニューはなるべく避けるように。単品メニューを食べるのであれば、卵や野菜などの副菜をプラスして。
肉の脂肪は落とし、魚の脂肪は上手に摂る
脂質の摂りすぎは内臓脂肪の原因になるので、肉を食べるときは脂肪が少ない部位を選ぶことが大切。牛や豚はロースより赤身のヒレ肉やもも肉を、ひき肉も赤身が多いものを選んで。調理の際には豚ロース肉の脂身や鶏肉の皮を取り除いてから調理すること。また、茹でる、蒸す、グリルで焼くなど、余分な脂を落とす調理法を取り入れるのがおすすめ。
◆DHAやEPAを含む青背魚を積極的に摂取を
一方、いわし、さんまなどの青背魚の脂肪には、血中の中性脂肪を減らす働きのあるDHA、EPAといった不飽和脂肪酸が多く含まれているので、積極的に摂ってOK。ただし、旬の脂がのった青背魚は意外と高カロリーなので、1食あたり切り身1切れ(70~80g)程度を目安に食べすぎには注意を。また、青背魚だけでなく、白身魚や他の魚介類もバランスよく取り入れるように心がけて。
食物繊維が多い野菜の摂取量を増やす
内臓脂肪を落とすには、低エネルギーかつ体の代謝に不可欠なビタミンやミネラルを豊富に含んでいる、野菜たっぷりの食事を心がけることが何より大切。また、野菜に多く含まれる食物繊維は、中性脂肪やコレステロールに吸着し、腸内での吸収を妨げる働きをしてくれる。さらに、食物繊維は消化されにくいため、満腹感を得られやすく食べすぎの防止にも。
◆緑黄色野菜は炒め物にするとβーカロテンの吸収率UP
肉や魚がメインの主菜にも、付け合わせ程度ではなくしっかりとした量の野菜を加えて、とにかく野菜の摂取量を増やすこと。ミニトマトやレタス、ベビーリーフなど、洗うだけでそのまま食べることができる野菜を常備したり、彩りにもなるにんじん、ブロッコリーなどは茹でて保存したりしておくと便利。市販の冷凍野菜も賢く取り入れて。また、キャベツなどの葉野菜は加熱調理でかさを減らすと、たくさんの量を食べることができる。ほうれん草や小松菜などの緑黄色野菜は油を使って炒め物にするとβーカロテンの吸収率がアップ。食材に合わせた調理法を取り入れてみて。
【データ】
学研『女子栄養大学 栄養クリニックが教える 内臓脂肪を落とす 健康レシピ』
監修:蒲池桂子(女子栄養大学 栄養クリニック教授)
料理:今泉久美(女子栄養大学 栄養クリニック特別講師)
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