人間関係

「もう年なんだから」はNG。年々頑固になる実親や義親との付き合い方【50代からの人間関係のコツ】

年齢を重ねるにつれ、人間は頑固になっていくものですが、50代ともなると、実親・義親も高齢になりその傾向が顕著に。自分の親でも手こずるのに、義理の親ともなれば、モヤモヤや悩みは尽きないもの。そんな親たちとうまく付き合うにはどうしたらよいのでしょうか。

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精神科医の水島広子さんに、実親や義親との付き合い方を教えてもらいました。

何かと口出しをしてくる義親…ギクシャクしないためには?

「特に義理の親との関係は難しいですよね。結婚すると突然登場するのが、義理の家族関係です。中には、子育てや家事、仕事にといちいち口を出してくる義親に疲れてしまうという人も多いのですが、それは自分がよい嫁でいたいと思っているからなんです」(水島さん・以下同)

◆よい嫁でいたい気持ちがあるから断れない

嫁姑
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例えば、「義母が孫のためにと、センスの悪いランドセルを勝手に買ってきた」「夫の実家に行くといろいろ手伝わされる」など、本当はイヤだと思っているのに断れないのは、自分がよい嫁でいたいという気持ちが働いているからだといいます。「イヤだ」と言えないことが結果として負担になり、関係もギクシャクするハメに。

「同居となると、いろいろとぶつかり合いながらも同居を前提とした関係性を育てていく必要がありますが、その予定もないのであれば、義親は『パートナーの家族』と割り切って、言いにくいことは血縁者である夫に話してもらうとよいでしょう」

◆血縁者である夫の言葉なら、義親も受け入れやすい

誰でも自分の意見を否定されるのはうれしくありませんが、実の家族に言われると、最終的には受け入れる習慣を持つ人が多いといいます。

「血縁というのは、理屈を超えた親近感や受け入れやすさをもたらす場合が少なくありません。もちろん、『実の家族』でも血のつながらないケースもありますが、基本的に長い間生活を共にしていて義親も夫の成長過程を見ているので、『結婚して責任感が出てきたのね』『もともとそんな性格の子供だから仕方ない』などと受け入れやすいのです」

夫婦
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夫を間に立てたのに、義親から「あの子がこんなこと言うのよ。あなたから説得してみて」と言われてしまった場合は、「一応、話してみますね。でも頑固だからどうかな」などと受け流しておきましょう。

◆“毒親”の場合は距離をおくことも考慮する

もしも、親がギャンブル依存症でお金を借りにくるなど、問題の多い“毒親”である場合はどうしたらよいのでしょうか。

「義親、実親にかかわらず、そこまでの“毒親”である場合は、絶縁するくらい距離をおいても構わないと思います。縁を切るとなると、『親にあんなにしてもらったのに』と後ろめたい気持ちになるかもしれませんが、自分が子供だった頃にかわいい姿を見せてあげただけでも親孝行。子育ては『ギブ・アンド・テイク』ではありませんから、最悪の場合は割り切って考えましょう」

加齢とともに頑固に。意固地な親に免許返納させる方法

実親、義親の両方に言えることですが、「高齢になるにしたがってどんどん頑固になって困る」という悩みもよく耳にします。特に多いのが、免許返納に関するトラブル。「高齢だから、事故を起こすかもしれない」と心配する子供に対し、特に父親はなかなか返納しようとしない人が多く、説得するのは至難の業です。

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◆衰えた体力を認めたくない「喪失の認否」

そもそも、年を重ねるにつれて頑固になるのは、「喪失の認否」と「経験の過信」がテーマである場合が多いと、水島さんはいいます。

「喪失の認否とは、年齢とともにさまざまな機能を失っていくのを認めるのがつらいために、否認するということです。つまり、衰えつつある体力をそれなりに自覚していても、認めたくないのです。経験の過信とは、高齢であるためそれだけ経験したことの数が多いのですが、それが『今まで大丈夫だったからこれからも大丈夫』という方向に働くと厄介です」

子供の立場としては、親が心配だから言っていることでも、親からしたら「あなたはもう高齢でいろいろな機能を失っているから、心配なのですよ」と受け取るため、過剰に刺激してしまうことになるのです。

◆かかりつけ医や友人など第三者にアドバイスしてもらう

先生と患者
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「まずは、話の中から『もう年なんだから』などというトーンを除くことです。そして、家族がガミガミ言うとかわいそうなので、専門家の力を借りましょう。例えば、親のかかりつけ医に『○○さんは元気だけど、そろそろ運転はやめたほうがいいよ』とアドバイスしてもらい、家族としては『お父さん、そんなこと言われちゃったのね。かわいそう』と言う立場でいるのがいいと思います」

さらに、すでに免許を返納した友人に経験を語ってもらうことも有効だといいます。「免許返納したら、楽になったよ」などと、ポジティブな言葉をかけてもらうと不安が解消されて受け入れやすくなります。

「子供の言葉は『生意気』だと聞かない人でも、高齢者は権威のある人を尊重する傾向が案外強いものですし、第三者の言葉は意外と受け入れやすいものなんです」

実親・義親との関わりにおいて、究極の選択は「ほっておくこと」だともいえますが、その前に、夫や第三者をうまく使ってよい関係づくりを心がけてみてはいかがでしょうか。

教えてくれたのは:精神科医・水島広子さん

水島広子
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精神科医。慶應義塾大学医学部卒業、同大学院修了(医学博士)。慶應義塾大学医学部精神神経科勤務を経て、対人関係療法専門クリニック院長、慶應義塾大学医学部非常勤講師(精神神経科)。日本における対人関係療法の第一人者として臨床に応用するとともに、その普及啓発に努めている。2000年6月から2005年8月まで、衆議院議員として児童虐待防止法の抜本的改正などに取り組む。『50代からの人間関係』(PHP研究所)、『夫婦・パートナー関係もそれでいい。』(創元社)、『女子の人間関係』(サンクチュアリ出版)など著書多数。http://www.hirokom.org/

取材・文/青山貴子

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