50代になって、シンプルなコーディネートがしっくりこなくなったらファッション見直しのサイン。そのまま若い頃のファッション概念を引きずっていては、買い物だって失敗続きのはずです。そこで、スタイリストの石田純子さんが50代女性にも使えるおしゃれファッションを教える著書『おしゃれな人には理由がある』(三笠書房)から、すぐに役立つ洋服の買い物にまつわるアドバイスを紹介します。
買い物はひとりで行くべし
本気モードの買い物は、ひとりで行くべきだと石田さんは言います。それは、友人や家族などの意見に流されず、プロである店員にアドバイスを求めるべきということです。
プロの店員にアドバイスを求めよう
「だれかの意見を聞きたい気持ちもわかります。気に入った服を『似合うわ』と言ってほしいし、決断の背中を押してほしい。逆に『お母さんらしい、らしくない』と娘さんにジャッジしてもらえれば、失敗はしない。
なにより、だれかといっしょのほうが、お店も気楽にのぞけるような気がします。でも、他人の洋服はしょせん他人のものです。どんなに親しい友人や家族でも、自分の洋服を選ぶときのように真剣にはなりません。その人の『似合うわ』の本気度と、あなたの『買おうかどうしようか』の本気度には温度差があります。
それに、本人が気に入って試着した洋服を『似合わない』『いやこっちのほうが絶対にいい』と言える人はめったにいないものです。本当にアドバイスを求めたいのであれば、プロのショップ店員を頼るのが一番です」」
3通りの着回しが思い浮かぶかどうかで判断
石田さんが洋服を買うときに決め手としていることは、3通り以上の着まわしがイメージできるかどうかだそうです。
数日、お店に取り置いてもらうのも手
「『あ、この洋服いいな』と思ったら、手持ちの服とのコーディネートをまずは考えてみましょう。頭の中に手持ちの服をパーッと思い浮かべて、3パターンくらいの組み合わせができると思ったら、それは『買い』です。
洋服は、普通に着るだけではおしゃれに見えません。どんなに高価なものでも、凝ったデザインのものでも、そのままでしか着られない服は『また同じ服』になります。でも、角度を変えたコーディネートができれば『あの服は、こんなふうにも着られるのね。おしゃれ』となるのです。
『あ、この服いいな』と思ったら、数日、取り置いでもらうのも手。たくさん考えたあとに買ったものに失敗はありません」
試着なしで買うのがリスキーな理由
石田さんは「試着こそ、洋服を買う醍醐味」と言います。それは、洋服は着てみないとわからないことだらけだからだそうです。
体のラインがどう見えるかがポイント
「とくにいまの服はデザインに遊びがあったり、立体裁断だったりするので、ハンガーにかかった状態では『いい』も『悪い』もわかりません。まずは洋服の中に体を入れてください。すると『あ、この服ってウエストラインがきれい』とか『背の低い私をすらりと見せてくれる』と気づくのです。
実際、私のショップでは、スタッフが着ている服がとてもよく売れます。中に体が入っているからこそ、その服の魅力が伝わえるのです。
逆に、『この洋服って、私の好みにぴったり』と思っても、着てみたら『あれれ?』と思うこともあります。『好きな洋服の系統が、もう何年も変わっていない』という人にありがちなのですが、その服を着た自分のイメージと現実がずれてくるのです。
大切なのは、体のラインがどう見えるかということです。トップであれば、丈の長さが長すぎたり短すぎたりしないか、背中に横じわが入っていないか、下着からはみ出た段差が外から見えていないかなど、チェックポイントはたくさんあります。試着室では『NG探し』も必要なのです」
石田さんの著書『おしゃれな人には理由がある』には他にも、「洗練されて見えるのは、チェック柄よりストライプ」、「大人のワンピはレイヤードで着る」、「3首マジックで、すぐに細見せ」など、50代女性が気になって仕方ないおしゃれの参考になる法則とテクニックが満載です。
教えてくれたのは:スタイリスト・石田純子さん
雑誌『装苑』編集部を経て独立し、女性誌のファッションページや、広告・テレビなどで女優のスタイリングを担当。百貨店の研修やトークショーなども精力的に行う。また、2016年に東京・月島にセレクトショップ「DUE deux」をオープン。30~80代にわたる幅広い世代の女性を対象にしたパーソナルなスタイリングアドバイザ―としても活躍。監修書に、『大人の着こなしバイブル』をはじめとする累計30万部超のベストセラー「大人のおしゃれバイブル」シリーズ、『第一印象で素敵な人になるおしゃれの法則』『捨てられない服』(すべて主婦の友社)のほか、多数。