肌のためによいと思いこんで、長年していたことが実は肌を傷めていた…なんてことがあるかもしれません。もしそうだとしたら、一刻もはやく改善したいものです。そこで、医学博士で銀座ケイスキンクリニック院長の慶田朋子先生に、勘違いしている人の多い美容法についてお話を伺いました。真面目で頑張りがちな人こそ、落とし穴があるのだそうです。
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勘違いしている人が多い顔のマッサージ法
お風呂や洗面所でクレンジングをしながら、ついでにむくみを取るマッサージも…ということが習慣になっている人は多いと思います。肌のためによいことと思われがちですが、実はくすみの原因になっている恐れがあるんです。
クレンジングしながらのマッサージは避けて
クレンジングをしながらマッサージをするのがNGという理由は、肌に長くクレンジング剤をつけていることになるからです。洗浄剤が過剰にバリア物質を取ってしまうので、カサカサになったり、肌がくすんだりする原因になります。
くすみはメラニンが増えて生じると思われがちですが、角層の状態が悪くなることでも生じます。健康で美しい角層は、細胞間脂質の量が十分で水分量が高いので光をふんわり反射します。洗いすぎるとバリアの要である細胞間脂質まで流れ出し、乾燥して角層のキメが悪くなり、くすみが発生してしまうのです。クレンジングは30秒程度で、メイクが乳化したらさっと洗い流しましょう。
顔のマッサージの適切な方法は?
たるみやむくみが気になって、顔のマッサージをしたいのであれば、化粧水のあとに乳液をつけたときがいいですね。刺激にならないように、すべりがよくなるものを塗ってから、やさしくなでるようにしましょう。
顔のじん帯は足や膝と比べると細くて弱いので、摩擦や強すぎる刺激は避けてくださいね。年を重ねるにつれて顔のじん帯が切れたり弱ったりするために、たるみが発生します。ですから、弱ったところにさらに刺激を与えてしまうのは老化を加速することになり危険なのです。
カッサも!肌に負担がかかる落とし穴習慣
真面目にコツコツ、肌のために…とやっていることが、意外と落とし穴になっていることもあるんです。ほどほどならいいけれど、やりすぎ注意の美容法を解説します。
カッサの顔マッサージは頑張らないのが◎
さきほどのとおり、顔のじん帯は細くて弱いので、カッサを使うときも注意しましょう。じん帯が切れる原因になるだけでなく、頑張りすぎると摩擦のせいで肝斑がひどくなってしまうこともあるんです。
毎日テレビを見ながら1時間くらいカッサで顔のマッサージをしている、という人は自分のやり方を見直してみてください。やさしくなでるように、リンパの流れを軽く刺激するくらいなら害はないのですが、力を入れすぎると逆効果です。また、こすりすぎると防御反応としてメラニンが増えるので、肝斑やメラニンぐすみが悪化します。
カッサが気持ちいいので使いたい、習慣になっているという場合は、力を弱めるか、できればプロから指導を受けていただくのがベストですね。
化粧水は叩き込まず、塗るだけでOK
化粧水をつけるとき、ぱんぱんと手で叩き込むのは実は無駄なんです。そもそも化粧水は肌の角層までしか入らない上に、叩き込んだからといって深部までは浸透しません。塗って放っておけば浸透しますし、叩くとむしろ刺激になって、肌を傷めてしまう恐れもあります。
肌のためになにより大切なのは保湿。化粧水を塗りこむことを意識しすぎるよりも、その後に乳液、クリームでしっかりと潤すことを心がけてくださいね。
“ばっかり食べ”ダイエットがNGの理由
50代以降にとってはあるあるの“ばっかり食べ”ダイエット。
今この年代のかたが20代くらいのときに流行っていたのが、寒天、りんご、こんにゃく、ゆでたまごだけを食べる偏った食事のダイエット法です。実際にやっていたかたも多いのではないでしょうか?
過度な脂質やカロリー制限は見た目の劣化につながる
年を重ねてからも極端に油を抜いたり、カロリーを減らすことで体重を調整している人は要注意。油抜きやたんぱく質不足などで痩せ過ぎてしまっている人は、顔の骨や脂肪の萎縮が激しい傾向にあります。年を重ねるだけでも顔の骨や脂肪のボリュームは減っていくものなので、それを少しでも遅らせるような食生活をしましょう。
栄養バランスを意識した食事を
食事はやはり、たんぱく質を摂ることを意識しながらバランスよく。食事を減らすのではなく、間食やスイーツなど余計なカロリーを摂りすぎていないか、燃焼効率を高める筋トレをしているか、というところから見直してみてください。
◆教えてくれたのは:皮膚科医・慶田朋子さん
銀座ケイスキンクリニック院長。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医で医学博士。東京女子医科大学医学部医学科卒業。同大にて皮膚科助手、美容クリニック勤務などを経て、銀座ケイスキンクリニックを開設。メスを使わないエイジングケアをモットーに医療機器や注射によるナチュラルな若返りに定評あり。食と美容、健康など幅広い知識を持ち、現在は雑誌やテレビでも活躍。著書に『女医が教える、やってはいけない美容法33』(小学館)、『365日のスキンケア』(池田書店)などがある。銀座ケイスキンクリニック
構成/イワイユウ