香ばしくてスッキリとした味わいの麦茶は、昔から長く愛され続けています。大量に作って冷蔵庫にストックしている家庭も多いのではないでしょうか?
身近ゆえに知っているつもりになって飲んでいる麦茶の特徴や活用法を、食品保存アドバイザー・料理研究家の島本美由紀さんに聞きしました。
Q:麦茶の成分、特徴は?
A:ノンカフェインが最大の特徴
「麦茶は焙煎した大麦を煎じたお茶です。ノンカフェインであることが特徴で、子供からお年寄りまで、さらにカフェイン摂取を控えたほうがよいといわれている妊婦さんでも安心して飲めます。ノンカフェインだと睡眠を妨げませんし、強い利尿作用もないので夏場の水分補給にピッタリ」(島本さん・以下同)
麦茶の香ばしい香りの成分であるアルキルピラジンには血液サラサラ効果があり、夏は汗で血液がドロドロになりやすいため、血流の改善にも役立ちます。また、抗酸化作用のあるカテコールやゲンチシン酸などのポリフェノールが含まれているので、健康効果が期待できます。
Q:開封した未使用の麦茶パックの保存法は?
A:密封して涼しい所へ
「麦茶パックは香ばしいにおいが特徴なので、パッケージを開封するとどうしても香りが逃げてしまう。ジッパー付きの袋の場合は、空気を抜いてしっかり締めましょう。ジッパーがついていない場合は輪ゴムでとめるのではなく、保存容器に入れ替えて密封するといいですね。
容器に隙間があいていると虫が侵入したり、わく原因になります。直射日光に当たらない涼しい場所に保管してください。夏場は室内が熱くなってしまうので、冷蔵庫で保存するのもありです」
作った麦茶は冷蔵庫に入れて、3、4日を目安に飲み切るようにしましょう。
Q:麦茶パックとペットボトル、どちらがいい?
A:一長一短。生活スタイルに合わせて。
「ペットボトルは作る手間がかからず、常に一定の味わいを楽しむことができます。ただし、開封すると空気が入ることで雑菌が繁殖しやすいので、時間が経つと味が変わってしまいます。ペットボトルは2日ほどで飲み切れるサイズを購入するといいでしょう。
1人暮らしの場合は2リットルもあると余ってしまう可能性があるので、500mlを何本か用意するほうが安全です。いろんな種類を楽しむこともできますね。パックは安く大量に作れるのが最大のメリット。作る手間はかかりますが、心おきなくガブガブ飲めるのでファミリー向きです」
Q:使用後の麦茶パックの中身の利用法は?
A:消臭剤から料理のチョイ足しまでさまざま。
「使用後のパックは、軽く絞ってシンクの四隅の掃除をするなど、スポンジ代わりになります。また、よく乾燥させると消臭剤になります。においがこもりそうなシンク下、冷蔵庫内、下駄箱などに置くといいですね。半乾きだとカビが発生するので、カラカラに乾かすのがポイントです。
家庭菜園をしているなら肥料になりますし、お風呂に入れると香ばしいにおいを楽しめます。カップに使用済みパックと熱湯を注いでテーブルに置くと麦茶アロマになるので、麦茶のにおいが好きな人にはおすすめ。
しっかり乾燥させたものをパウンドケーキやクッキーを作るときに入れたり、炒めて味付けをしてふりかけを作ることもできます」
Q:暑いときにおすすめの飲み方は?
A:「麦茶氷」を使うと味わいを損ねない
「製氷皿に麦茶を入れて凍らせて、麦茶氷をストックしておくと便利です。麦茶を飲むときは水氷の代わりに麦茶氷を入れると、薄まらずに風味を損ねません。急激に冷やしたいときにも麦茶氷を入れるとすぐに冷えるので便利です」
◆教えてくれたのは:食品保存アドバイザー・島本美由紀さん
料理研究家・食品保存アドバイザー・ラク家事アドバイザー・食品ロス削減アドバイザー・防災士。食べ物をムダにしないレシピや家事が楽しくラクになるアイデアなどに定評がある。雑誌やテレビ、講演会など多方面で活躍し、著書は70冊を超える。近著に『生のまま! 野菜&フルーツ最新冷凍術』(秀和システム)がある。http://shimamotomiyuki.com/
取材・文/小山内麗香