秋冬は重たい色、素材の洋服が多く、抜け感を出すのが難しいイメージ。今回は、秋冬に取り入れたいレースに着目。レースと言うと、ガーリーになったり、セクシーになりすぎたり、扱いが難しいイメージもあります。そこで、皇后雅子さまのファッションから、大人女性にふさわしい、上品で華やかなレースのまとい方を探ります。スタイリストの横山麻里さんに最近のベルベットファッションの傾向についてうかがいました。
フェミニンすぎないレースアイテムが大人向き
「大人女性には白ではなくカラー(色)レースも人気、セクシーになりすぎないか気になるならトップスよりもボトムで取り入れるのがおすすめ、最近はレースを取り入れたパンツも豊富です。また、トップスは総レースではなく、部分使いされたデザインが普段使いにはおすすめ。華やかな、きれいめコーディネートに仕上げるよりも、カジュアルアイテムと合わせると、トレンド感のある着こなしになります」(横山さん・以下同)
カチッとスーツもレースのインナーで抜け感がプラス
1998年3月に、フェリペスペイン皇太子(当時)をお出迎えになった際は、鮮やかなロイヤルブルーのセットアップにレースのインナーをお召しに。
「鮮やかなロイヤルブルーのスーツは、シャープな印象になりがちですが、インにレースのトップスを合わせることで、抜け感が出て、女性らしい雰囲気になります。また、ロイヤルブルー×ホワイトのカラーのコントラストが、とてもさわやかな印象です。
これからの季節、ダークなカラーの洋服が増え、重くなってしまいますが、ニットのインに、白のハイネックのレーストップスを重ねて、首や手元からチラ見せするとおしゃれです。重ね着初心者やレースの甘さが苦手な人は、ニットと同色のレーストップスを合わせると取り入れやすいと思います」
レーススカートは落ち着いたベージュカラーで大人顔に
2019年10月、お住まいの赤坂御所で、「即位礼正殿の儀」に出席した外国王族をもてなす「茶会」を開かれた際は、レーススカートにジャケットを合わせられていました。フェミニンなレーススカートも、色味次第で都会的なムード漂う印象になります。レーススカートの甘さをベージュの落ち着いたカラーで中和して、さらにジャケットをプラスすることで、シャキッと都会的なムードたっぷりです。
「全体をベージュのワントーンでまとめた上品なスタイル。スカートのシルエットがタイトではなく、揺れ感のあるふんわりとしたデザインが、やわらかさを出しています。ジャケットを合わせることで、甘すぎず、大人っぽくコーディネートされていると思います。
今季レースアイテムをボトムで取り入れるなら、ロングスカートやパンツがおすすめです。トップスには、スウェットやローゲージニット、カーディガンを合わせて、カジュアルダウンさせると、きれいめカジュアルになります。足元は、ブーツなどで肌感をなくすと、好バランスです。ただ、子供っぽくならないように、カジュアルな着こなしのときこそ、アクセサリーは、きちんと感のあるパールや時計をプラスすると、大人っぽく仕上がります」
シースルーのレースジャケットでエレガントに
令和初の国賓として来日したトランプ米大統領(当時)とメラニア夫人を迎えた宮中晩さん会では、ロングドレスにアメリカの国花・バラの刺しゅうを施したシースルーのジャケットを重ねられた雅子さま。
ほんのりベージュがかったドレスに、足元はゴールドの靴を合わせ、胸元の装飾とリンクさせた、さりげなくもゴージャスな着こなしでした。
「ジャケットは重い印象になりがちですが、薄手のシースルー素材のレースジャケットを合わせることで、抜け感があり、とてもエレガントにまとめられています。ミルクティーのような優しいカラーのワントーンコーデは、ドレッシー感もプラスできます。メリハリがつくように、アクセサリーは存在感のあるゴールドでまとめられていて、とても上品な印象です」
パーティーなどではなく普段、ジャケットなどのアウターでレースを取り入れるときは、ゴージャスになりすぎないように、デニムパンツやニットパンツでラフにまとめると素敵です。雅子さまのように、ジャケットとトップスのカラートーンを合わせ、なじませるとゴージャス感がほどよく軽減されます。
ジャケットは、コーディネートの中で大きな割合を占めるので、合わせる洋服は、シンプルカジュアルなものをセレクトするとバランスがいいです。黒やグレー、ネイビー、ダークグリーンなどのダークカラーのレースを選ぶと、大人っぽく、着こなしやすいと思います」
◆ファッション解説:スタイリスト・横山麻里さん
ほどよくフェミニンで上品なカジュアルスタイリングが参考になると、同世代の女性たちからの支持多数。大人女性のファッション誌を中心にカタログや広告で活躍中。