夫の話を「共感」で受けるためのルール作りを
家族の話は、共感で受けましょう。具体的には、「いいね」か「わかる」や「そう」で受ける。これを夫婦のルールにしたらいいと思います。
相手がポジティブな気持ちで話したことは、「いいね」で受けて。一言言ってやりたいことがあっても、「いいね」のあとにね。
高校生の娘が、来週から期末試験だって言うのに「カラオケ行ってきた」と言ったとき、「いいわね、青春真っただ中ね」と祝福してあげて。「試験勉強も頑張ってね」は、そのあとに言えばいいのです。
こんなとき、いきなり「期末試験の準備はできてるの?」なんて説教で返すと、子どもの口数が減ります。それは夫婦だって同じこと。
ネガティブトークならその形容詞をそのまま返す
相手の話が「たいへん」「ひどい」「つらい」「痛い」のようなネガティブトークなら、その形容詞をそのまま返す。「たいへんだったね」「ひどい話だな」のように。「ひどいと思わない?」のように尋ねられたら、「わかるよ」と応えましょう。
そして、相手の言ってることがよくわからなかったら、「そうか」「そうなんだ」「そう思うんだね」のように、「そう」で受けるの。すべてのアドバイスは、その後で。
そりゃ、命にかかわるとっさのジャッジのときは、「それはダメ!」を言ってあげなきゃならないけれど、テレビの前の夫婦の会話なんて、たいていは命にかかわらないでしょう? いきなり、「それ違うんじゃない」「何言ってるんだ?」と嚙みつかなくてもいいのでは、と、私は思う。
うちの息子は、テレビを見て、私やお嫁ちゃんが何か言うと、「そうだね、たしかにね」か「そう感じるんだ。面白いね」のどちらかを言ってくれます。前者は同意見だったとき、後者は意見が食い違ったとき。
夫は、こういうとき、黙っているか、「はぁ?」と言ってきます。黙っているときは同意で、「はぁ?」はわけがわからないときなんだそう。当然、息子には優しく、夫には厳しくなってしまう。自業自得だよね。
◆教えてくれたのは:脳科学・人工知能(AI)研究者・黒川伊保子さん
株式会社 感性リサーチ代表取締役社長。人工知能研究者、随筆家、日本ネーミング協会理事、日本文藝家協会会員。人工知能(自然言語解析、ブレイン・サイバネティクス)、コミュニケーション・サイエンス、ネーミング分析が専門。コンピューターメーカーでAI(人工知能)開発に携わり、脳と言葉の研究を始める。1991年には、当時の大型機では世界初と言われたコンピューターの日本語対話に成功。このとき、対話文脈に男女の違いがあることを発見。また、AI分析の手法を用いて、世界初の語感分析法である「サブリミナル・インプレッション導出法」を開発し、マーケティングの世界に新境地を開拓した感性分析の第一人者。2018年には『妻のトリセツ』(講談社)がベストセラーに。以後、『夫のトリセツ』(講談社)、『娘のトリセツ』(小学館)、『息子のトリセツ』(扶桑社)など数多くのトリセツシリーズを出版。http://ihoko.com/
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