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懐かし恋愛ソングで歌われるスイーツ問題 「ケーキ」より「パイ」の存在感が強いのはなぜか

竹内まりや
竹内まりやは河合奈保子、薬師丸ひろ子らアイドルに楽曲提供を行う作詞家・作曲家としても活躍(Ph/SHOGAKUKAN)
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歌謡曲におけるパイ人気の理由、プロの見解は…?

このように、歌に愛されるスイーツ「パイ」。実は過去、私は歌謡曲におけるパイ人気の理由として、「女性の胸を表現する“ぱい”という音と掛けて、恋心の胸騒ぎを表現していた」という仮説を立てていた。我ながらいい線なのでは、とも思っていた。

そして数年前、音楽の第一線で活躍している方にお会いする機会があり、上記の説を披露しつつ、歌の世界でケーキよりパイが人気な理由を聞いてみた。すると「(パイに比べて)ケーキという言葉はメロディに乗せにくい」という意見が返ってきて、さすがプロの目線は違う、と感動した。

と同時に、オヤジギャグのような深読みをした自分が猛烈に恥ずかしくなり、以来この仮説は封印している。

パイという可愛らしい音、それだけで十分。なにやら肯定の返事「はい」とも通ずるではないか。そこに恋の甘さ、純粋さを表すフルーツやベジタブルがプラスされることで、たまらなくテイスティな名曲が生まれていく……。それに尽きる。深読みなど野暮の極み!

答えなどなくていい。歌謡曲は、ミステリアスくらいがちょうどいい。

バイバイ、パイ——。一方的な分析はここで終わりにしよう。書くだけ書いたらパイが食べたくなった。ということで、たまらず買ってきたアップルパイを食べて締めることにします。いただきます……。

アップルパイが食べたくなって(イメージ、Ph/Photo AC)
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おいしい。サクサク歯ごたえ最高。生地に包み込まれた、甘く煮たリンゴとジンジャーのハーモニーよ。ただ、食べている端からボロッボロ落ちていく。こぼしたくないから受け口になる。ひいっ、パイ生地のカスでテーブルが大変なことに!

とっても美味しいが、キレイに食すのがものすごく難しい。

嗚呼、やっぱりパイは恋と似ている。

◆ライター・田中稲さん

田中稲
ライター・田中稲さん
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1969年生まれ。昭和歌謡・ドラマ、アイドル、世代研究を中心に執筆している。著書に『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)、『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)がある。大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し、『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。他、ネットメディアへの寄稿多数。現在、CREA WEBで「勝手に再ブーム」を連載中。

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