「食べ方がきれいなだけで人は信用されます」――そう語るのは、書籍『おとなの清潔感をつくる 教養としての食べ方』(サンマーク出版)の著者で教養エレガンスマナー講師の松井千恵美さん。食べ方で見られているのでは、表面上のマナーではなく知性だといいます。そんな松井さんが、今さら聞けない食べ方のルールについて、わかりやすく解説してくれました。
ルール1|ナプキンを「汚す」ことこそマナー
正式な席で、白くきれいなナプキンが用意されていると、汚すのに抵抗を感じるときがあると思います。しかし、松井さんは「汚してOK」だと言います。
「ここで言うナプキンは、テーブル席に折り畳まれて設置されている白い布のことです。ペーパーナプキンやおしぼりではありません。そして、ナプキンはどんどん使うのが礼儀です。洋食のイメージが強いですが、和食や中華にもよく出てきます。その目的は、『食事中に衣服を汚さないこと』『汚れた口元や指先をふくこと』です」(松井さん・以下同)
つまり、ある意味、汚すために置かれているのがナプキンということのようです。
ルール2|ナプキンは「裏」を使うのが原則
ナプキンの使い方については、慣れている人ならすでにわかっている人も多いと思いますが、松井さんが詳しく教えてくれました。
「四角いナプキンを半分に折り、『折り山』(輪っかの部分)を手前(自分側)にしてひざの上に置くだけです。食事中、口元や指先をふく際、折ったナプキンの内側を使います。するとその汚れた部分が目にはいることはありません。
食事中にやむなく中座する際は、ナプキンを椅子の上に、食事後はナプキンをテーブルの上に“適当”に畳んで置きます。これは『料理がおいしかったため、ナプキンの置き方にまで気が回りませんでした』という、“店への称賛”を含意します。そして、洋食ではいわばグラスを汚さないために『いちいち』口をふくのが礼儀になります」
ルール3|広げるタイミングは「席についてすぐ」ではない
もうひとつ、ナプキンの扱いで注意しておきたいこととして「広げるタイミング」があります。席についたらすぐ広げる人もいますが、もう少し待ったほうがよさそうです。
「正解は、『食前酒を注文したら広げる』です。ただし、忘れてならないのは、ビジネス接待の場面では特に、『目上の人から』という条件が大前提です。目上の人より先に広げてしまうと、『早く食べたい』と催促していることを意味し、“食いしん坊さん“のイメージを周囲に与えてしまうかもしれません」
◆教えてくれたのは:教養エレガンスマナー講師・松井千恵美さん
一般社団法人ジャパンエレガンススタイル協会代表理事。日本と西洋の作法に精通し、エグゼクティブから絶大な信頼を集める。各種マナースクールやフランス上流階級婦人らからの直接指導などで、西洋と日本のマナー両方を極める。マナー全般における講師養成をはじめ、大手CA養成スクールでの講師実績を積むなど、これまで1万人以上が受講。昨年11月、知的な食べ方について紹介した書籍『おとなの清潔感をつくる 教養としての食べ方』(サンマーク出版)を出版。https://japan-elegancestyle.org