家事・ライフ

元専業主婦から「世界の山ちゃん」トップに!山本久美さん「決めたら迷わない。失敗したらその時また考える」

家事は完璧を目指さないで好きなことを頑張る

――1人の女性として、今後やってみたいことは?

山本:もともと優秀な社長が引き継いでくれるまで頑張ろうと思ってやってきたので、今後は少しずつ家庭での時間を増やそうと思っています。子供たちとの時間、いつか生まれるかもしれない孫との時間を大事にしていけたら幸せだなと思います。

会社のほうは、働くみんなが幸せになれる会社にしていきたいですね。飲食はブラックだとよく言われますが、私たちはそういう会社じゃないと思っています。私はこれからも“会社にいるみんなのお母さん”のつもりで、適材適所で仕事を任せながら見守りたい。社員の皆さんがもっと成長できて幸せになれる会社にしていくことが私の仕事だと考えています。

――代表に就任した当初、山本さんにはまだ小さいお子さんもいて、家事・育児と仕事の両立はハードだったと思うのですが、コツや考え方を教えてください。

山本久美さん
3児の母として子育てと仕事を両立
写真9枚

山本:代表になったとき、下の子がまだ小学校2年生でした。上の2人は中学生だったので、「これからはママがお父さんとお母さんの両方をやるけど、きっと完璧じゃないし、今までと同じにはできないこともあるから協力してほしい」と話しました。彼女たちなりに理解してくれたようで、ちょっとした片付けなどをやっておいてくれることがありました。

1つ、こだわったのは「食」ですね。子供たちが大きくなり、今子供たちにしてあげられる事は少なくなっているので食事だけは絶対に手を抜かないと決めています。朝早く起きて、朝食と昼のお弁当を作って、夜の分まで下ごしらえして。

冷凍食品やミールキットも美味しくて便利だと思うんですが、使う習慣がないんですよ。ただし、うちが監修させていただいた手羽先をテイクアウトして副菜にすることはあります。帰り道にあるお店でフライドチキンを買って帰ることもありますよ(笑い)。あの味は家庭では出せませんし、子供も喜ぶので。

料理は頑張っていますが、掃除や片付けはしばしばおろそかになっていたり…。全部を完璧にはできないので、自分にもストレスにならないよう、あまり無理しなくてもいいのかなと思っています。

「男だから」「女だから」という考えはない

――女性の登用についてはどのようにお考えですか?

山本久美さん
性別に関係なく人をフラットに見ることを意識
写真9枚

山本:当社では私が代表になって、女性のスタッフが増え、女性の店長も誕生しました。ただし、私は「男だから」「女だから」という考えはないんです。特別に「女性を引き上げよう」というのではなく、性別に関係なく人をフラットに見て、頑張っている人にはふさわしいポジションを。そういう方針です。

――最後に、同年代の女性にエールをいただけますか?

山本:失敗を恐れずに、興味を持ったことはやってみるといいと思います。この年齢になると、何をするのもおっくうになりますよね。体も疲れやすくなっていますし。でも、すごく壮大なことは難しいかもしれませんが、小さなことから始めれば今からでもまだまだできると思います。

何事も自分一人でできることには限りがあるので、ぜひ周りを巻き込みながら挑戦してください。自分のダメなところをさらけ出して、素直に「助けて」と言えば助けてくれる人はきっといる。やってみて失敗したら後戻りするのは簡単なことです。やってみなければ失敗もないけど成功もない。ぜひやってください、体が動くうちに!

◆株式会社エスワイフード代表取締役・山本久美さん

やまもと・くみさん。1967年生まれ。居酒屋「世界の山ちゃん」などを展開する株式会社エスワイフード代表取締役。2000年、エスワイフード創業者・山本重雄氏と結婚。2016年8月、急逝した夫に代わり、専業主婦から転身して同月より同社の経営トップに就任した。3児の母でもある。『世界の山ちゃん』は1981年に創業し、現在60店舗(4月1日オープン新店含む、のれん分け店舗含む)を展開。エスワイフードグループは77店舗(他業態・海外店舗含む)を展開。https://www.yamachan.co.jp/

取材・文/赤坂麻実

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