認知症や高血圧、糖尿病など症状や、冷え性や肌トラブル・便秘などの多くの人が悩まされる不調まで、高カカオチョコレート(カカオ成分を70%以上含んだチョコレート)にはこれらの対策に有効な成分が含まれています。そう教えてくれたのは、『医師が教える 最強の間食術』(アスコム)の著者で医師の鈴木幹啓さん。そこで、どんな成分が含まれ、どんな効果が期待できるのか詳しく教えてもらいました。
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カカオポリフェノールのさまざまな効果
カカオ成分72%の高カカオチョコレートには、赤ワインの約15倍の量のポリフェノールが含まれています(100gあたりのポリフェノール含有量を比較)。自然の食べ物から摂ることが難しいと言われるポリフェノールですが、カカオマスに含まれる「カカオポリフェノール」はチョコレートから簡単に摂ることができます。では、カカオポリフェノールにはどんな効果が期待できるのでしょうか。
脳を活性化させて「認知症」対策に
認知症のおよそ半数を占める「アルツハイマー型認知症」は、はっきりとした原因がわからない病気ですが、多くの研究により、防ぐために必要なことは解明されてきています。
加齢のほか、生活習慣の乱れや飲酒・喫煙により発生する活性酸素は、脳を含む体内の細胞を傷つけ、加齢を早めたり脳にダメージを与えたりします。その結果、脳が委縮し、認知症が発生しやすくなるのです。
ポリフェノールには抗酸化作用があり、脳細胞の酸化を防ぎ、活性酸素を減らす働きがあります。また、高カカオチョコレートを食べることで、加齢とともに減るといわれている脳の活動を支えるたんぱく質の一種「BDNF(ビーディーエヌエフ)」が増えることもわかっています。さらに、カカオ豆を含むごくわずかな植物からしか摂ることができない「テオブロミン」には血管拡張作用があり、脳を活性化して認知機能をアップします。
「高血圧」をストレスなく予防できる
高血圧とは、最高血圧が140mmHg以上、最低血圧が90mmHg以上の状態のこと。日本人のおよそ3人にひとり、約4300万人にみられると言われる症状です。高血圧の状態が続くと、脳卒中や心筋梗塞などの重大な病気につながるおそれがあります。
特に肥満やストレス・喫煙・塩分の摂りすぎといった習慣は、高血圧につながるリスクが高いとされています。肥満や塩分の原因となる食べものをひかえることはひとつの対策にはなりますが、それによってストレスがたまり、悪化する可能性があるのが、難しいところです。
カカオポリフェノールがなぜ高血圧に効果的かというと、血液の壁に炎症が生じると、それをおさえる作用があるからです。炎症が軽減されることによって腫れて狭くなった血管が広くなり、血流がよくなるため血圧が下がるのです。さらに、カカオのリラックス成分やストレス緩和成分による効果で、ストレスも軽減できます。私自身、チョコレートを食べて減量した際にストレスなく高血圧を改善できました。
血管を整え「動脈硬化」を遠ざける
動脈が硬くなったり、血管の壁が厚くなったりすることにより、血液が流れにくくなる動脈硬化。悪化すると脳梗塞や脳卒中、心筋梗塞などの命に関わる病気をひきおこします。動脈硬化の主な原因は、肥満や喫煙などの生活習慣。予防するには、中性脂肪や悪玉コレステロールを増やしすぎないようにすることが大切です。
カカオポリフェノールには善玉コレステロールを増やす作用があり、抗酸化力も持っているほか、血管をしなやかにする効果もあります。またチョコレートには血液をサラサラにする働きもあり、血圧を下げて血管への負担を減らします。
この効果は、日本ではへそまわりの腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上の状態をさすメタボリック・シンドロームの改善にも役立ちます。
血流がよくなり「冷え性」の改善も
また、高血圧や動脈硬化の症状がない人も、血流がよくなることで、冷え性が改善することも期待できます。
・手先や足先が常に冷たい
・生活が不規則で睡眠時間も少ない
・運動不足だ
・ストレスを感じることが多い
・冷たい飲み物やお酒を毎日飲む
・湯船にゆっくりつかれない
ちなみに上記の項目が3つ以上当てはまる人は冷え性の可能性大です。